「あいつと仕事すればヒットするな」と思われる信頼と実績を、量で勝負する|第4回「映像の企画」
この人、ビール飲んでない???
誰かが喋っている合間に映る右手には、金色の缶に青色の「PREMIUM」の文字。いや、ノンアルコールかもしれない。そう考えている間にも講義は進んでいく。
コピーライター・阿部広太郎さん主催の連続企画講座『企画メシ』、第4回は元テレ東ディレクターの高橋弘樹さんをお招きしてのゲスト講師会だった。
講義を受ける前の課題で、Abema番組『世界の果てに、ひろゆきを置いてきた』や著書『1秒でつかむ』を事前に見て臨んだ今回だったが、なんだか納得だった。こういう人からこういう面白いコンテンツが生まれるのか、と。
でも、面白さの中には筋の通ったロジックがあった。特に、本当に面白いところがリアルかどうかは、自分の企画を見つめ直すうえでひとつの指針となりそうだ。
少しやばい企画を出す高橋さんの講義を、少しやばい熱量を保ったまま残したい。
量をこなすのは当たり前
決して健全な働き方をしているとは言い難いテレビ業界。
1年でトータル4、5本の企画しか通らないこの業界で高橋さんは、圧倒的な企画量で勝負してきた。
なぜそんなに書けるのか?
幼いころのメディアへの興味は「人並み」だと語った高橋さん。ざっくばらんに話す裏の謙虚さ。もはや圧倒的な企画量が当たり前という領域。
私もたくさん記事書いて、「このくらい当たり前っすよ」とか言いたい。
企画は通してなんぼ
私はまだ、自分の作品を真似されたことはない。
けれども、自分が頭の中で考えていたことを誰かがカタチにしていると(さらにそれで評価されていると)「それくらい私も考えてたのに!」と思ってしまうことがある。
表に出て、実際やったもん勝ち。
そして企画が通るか通らないかは「8割9割、企画内容は関係ない」。
高橋さんの場合は、圧倒的な量と、それに伴った実績が信頼につながったんだと思う。
たしかに仕事は何でも「この人なら大丈夫そう」と思われて舞い込んでくる。一定のスキルは必要になるけれども、「私なんかよりできる人はたくさんいるし……」とか、あまり思わなくていいかもしれない。
置かれた場所でちゃんと頑張る。でも、置かれたくない場所に置かれないようにする
やるからには結果を出す。自分の勝負する道を選ぶ。
企画の通し方にもパターンがあることを高橋さんは教えてくださった。
たとえばVTRで勝負をするか、業界のコネクションで勝負をするか。
ひとつの恋愛企画を「ぜったい面白くする人」か、「必ず橋本環奈をキャスティングできる人」か。これはどちらも企画を通せる。勝負の仕方はそれぞれなのだ。
まずは勝負パターンを把握しないといけない。
「自分の企画見てください!」と言える企画をつくれていたか?
講義の後半、自分の企画を添削してもらえる時間があった。
「こんなん、めっちゃ勇気いるじゃん?!無理無理」と思っていたのに、多くの人が手を挙げて高橋さんから実際に講評をいただいていた。
すごいと思った。とても怖くてできなかった自分が今、悔しい。
私は本人に面と向かって企画を提案できる勇気がなかった。
そこまでの自信を持てなかった。
他の人の講評内容はとても勉強になった。高橋さんのブラッシュアップはどれも企画が生まれ変わり、けれども元の企画の良さはそのまま活かされていた。
その企画は、本人に目の前で読まれても恥ずかしくないものか?
私が企画するうえで大事にする基準がひとつ増えた。