![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/114701363/rectangle_large_type_2_dcd6309f00cd67da3684120474935865.jpeg?width=1200)
「ジェンダー・クィア」日本語版出版に向けて (03) アメリカで展開される「禁書運動」
『ジェンダー・クィア』は、アメリカで2019年に刊行されて以降、クィアとしての生き方や経験を描いた優れた著作として数々の賞を受賞し、スペイン語、ポーランド語、チェコ語、フランス語に翻訳されて世界中で読者を獲得しています。しかしその一方で、アメリカ国内で一部の保守層が人種差別、セクシュアリティ、ジェンダーアイデンティティに関連する書籍を「challenged books(問題視された図書)」として公立学校や図書館からの撤去を求める「禁書運動」を展開したために、いくつかの州の図書館・学校では「禁書」扱いを受けています。図書館で「Challenged Book」として扱われる本は2022年に前年から40%増え、『ジェンダー・クィア」は最も禁書として扱われた本となっています。
![](https://assets.st-note.com/img/1693280688579-YZVvVa1y2U.png?width=1200)
『ジェンダー・クィア』が「Challenged Book」として扱われる理由として、マイア・コベイブが、思春期の頃からが自らのジェンダーのあり方をどう表現すれば良いのか、どのように性的な感情や欲動が働くのかということを語るために、マスターベーションやマッチング・アプリを通して出会った人との行為も含めて描いている箇所に問題がある、と指摘されているからです。確かに、指摘された箇所はコベイブ自身の性的なファンタジーや経験を語る描写ではあるのですが、成長過程において自分の心身に向き合い、他者との関わり合い方を模索する過程を描く上で必須の要素です。また、いわゆる性的なファンタジーを投影してセックス・性的な行為を扇情的に描くポルノグラフィ(いわゆるエロ漫画的なもの)とは性格を異にしていることは強調しておいて良いでしょう。
今回は試し読みとして、マスターベーションに関する記述・描写のある箇所を紹介します。私個人としては、マスターベーションは、自分の体の感じ方を理解する上でも大事な行為だと思うので、成長期、思春期の中で描かれるのは有意義だと思います。
![](https://assets.st-note.com/img/1693283252363-PZT8ttA20G.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1693283352058-XDD82VOCjD.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1693283499415-3Dj6U6xRRn.png?width=1200)