私の身体は、「私のもの」 ミチカケ MOOND by LPCで月経カップに触れた
年末年始の帰省の折に、大丸梅田店5階にオープンしたミチカケに行ってきました。女性の性と生理にフォーカスした売り場として話題になってますね。産婦人科医の宋美玄さんによるレポートにもあるように、TENGAが展開する女性向けののブランドiroha(イロハ)の売り場では、ローターやバイブレーターなどのマスターベーション用のグッズが「セルフ・プレジジャー・アイテム」と銘打って、和モダンをテーマにした店内で、お洒落に美しくディスプレイされていました。従来の「アダルトグッズ」というイメージを根本から刷新し、まるで季節の和菓子やお値段高めの化粧品コーナー(化粧品のブランドで言うと、SUQQUに近い感じです。)を眺めているような気分になりました。いやはや、デザインや見せ方ってやはり重要だなぁ、と。こういうことって、実際の売り場に行ってみるとよく分かりますね。個別の店舗よりも、より公共性の高いデパートという空間に売り場が設けられることのインパクトって確かにあるなと思いました。
私が興味を持ったのは、irohaの隣の「女性のセクシュアルライフをポジティブに応援するフェムテック専門店」MOOND by LPCです。LOVE PIECE CLUBは北原みのりさんが1996年から運営するラブグッズストアで、以前からよく知っていましたし、ウェブサイトで公開されるコラムなども読んでいました。私が2000年代の前半に女性のセクシュアリティに関連してさまざまな製品があることや、ローターやバイブレーターにもいろいろな種類があることを知るきっかけになったのはLOVE PIECE CLUBのサイトだったと思います。
店内では、生理に関連するグッズのほかに、フェミニズムに関連する書籍もあり、色々な商品に目移りしつつ、ほーっと感嘆の声を上げていると、車椅子ユーザーのスタッフの方が商品を丁寧に説明してくれました。
印象深い商品はさまざまにあったのですが、その中でもいいなと思ったものの一つは私がスタッフの方に接客していただいている間に、他のお客さんが購入していったムーンパンツ。ナプキン不要で、1日分の経血を吸収して、簡単に洗濯できるんだそうです。ナプキンを装着して使うサニタリーショーツとは違うスッキリしたデザイン。レースがついたデザインもあります。ナプキン使わなくていい、ポーチに詰めて持ち歩かなくていいっていうのは気分的にかなり楽だろうなーと。
それから実際に触ってみてインパクトが強かったのが、月経カップ。経血を膣内で溜めておくゴムやシリコン製の器です。存在は知っていたけれど、実物に触れて大きさや感触を確かめたのは初めてでした。一個4000−6000円ぐらいの値段のものが販売されていました。一回装着したら12時間膣から出さなくても大丈夫、洗浄も簡単、一個を7、8年は使える(長い目で見たら凄く経済的)、一つ持っておけばナプキンのように複数個ストックをする必要がない(従って、災害時などの非常時に生理用品の備蓄を心配する必要が減る)などのメリットをスタッフの方から聞くにつけて、つくづく便利なものだなーと思いました。その上、ものを捨てない、資源消費量を減らせる、という点でも優れている。10代、20代ぐらいの時に月経カップのことを知っていて、日本で市場に出回っていたら生理との付き合い方はもっと違っていただろうなぁ、と。もちろん、人によって身体に合う、合わないはあると思うのですが、一度試してみたかった。経血を自分の手で測量する習慣があれば、より自覚的に体調を把握できていたかもしれません。また同時に、経血はナプキンで処理するもの、と初潮時から教えられてきたことや、性交が未経験の段階で膣にものを挿入することは、私が10代だった30年前は現在よりもタブー視されていたことを考えると、月経カップが現在に至るまで徐々に認知されるのには時間がかかったのは致し方ないことだったのかな、とも思います。
月経カップをしげしげと見つめていると、20代ぐらいの女性二人組で来ていたお客さんの一人が、私に「それ、めっちゃいいですよ。私も使ってますけど、生理が楽になりました!」と笑いながら話しかけてくれました。いやー、私はもう生理こないんだけどねぇ、と内心思いながら、知らない者同士で生理の話が気楽にできるのは嬉しかったです。私は10代の終わり頃、20代の頃に、ストレスとか体重が落ちたことで、生理不順や無月経の状態になったことが何度かあって、産婦人科を受診していました。生理のことを話題にするのは、「病院でしか相談できないこと」のように思っていたのでしょうね。デパートの店内で買い物しながら笑いながら明るく話せる、っていうことが私にはとても良い経験でした。ネットショッピングでは体験できない、人と人が出会う売り場ならではの体験ですね。
ムーンパンツも月経カップも、現在の私には必要ではないので購入しませんでしたが、いずれ娘が初潮を迎える年齢に差しかかったら、「こういうものがあるんだよ。」ぐらいは伝えておこうと思います。接客して貰って、何も買わずに店を後にするのもなんだったので、買ったのがパンツのステッチつきのバッジ。パンツには大きく「MINE」。私の身体は、「私のもの」。8歳の娘に見せたら「パンツのバッジ?キモい」との返答で一蹴されましたが、「私のもの」という言葉の重さが分かるのはまだちょっと先のことかもしれません。
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