介護現場におけるICT活用
介護現場でのICT活用が注目されているいっぽうで、その具体的なメリットや導入手順に疑問をもつ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ICTを介護現場に効果的に導入し、その利点を最大限にいかす方法についてくわしく解説します。
とくに以下の重要な内容に焦点をあてています。
筆者は20年以上にわたり医療・福祉の現場で経験をつみ、今年から介護現場でのICT機器導入の責任者として活動しています。
この記事を通じて介護現場のICT化がどのように業務効率やサービスの質を向上させるか、その具体例を提供し皆さんのみらいの業務改善への道標とすることを目指しています。
ぜひ最後までお読みください。
ステップ1:ICT導入の具体的手順とポイント
介護現場においてICTを導入するさいには、計画的で効果的な手順が必要です。以下に介護現場でのICT導入にひつような手順をくわしく解説します。
介護現場にICTを導入する手順
厚生労働省は介護現場のICT化を推進するために様々なガイドラインを提供しています。
これらのガイドラインは介護サービスの質を向上させるとともに、業務効率を高めるためのものです。
具体的には以下の手順でICT導入をすすめることが推奨されています
1. 現場のニーズの評価
まず、介護現場で必要とされる機能や改善点を明確にします。
これは現場スタッフへのアンケート調査やヒアリングをおこない、日常業務で感じている課題や不便さをあらいだします。
ベースの記録が多く情報共有に時間がかかる、緊急時の対応が迅速に解決できないなどの具体的な問題点を特定します。
また、利用者やその家族からの意見も取りいれ、サービス向上のためのニーズを総合的に評価します。
2. ICT機器およびソフトウェアの選定
導入コストや運用コスト・使いやすさ・サポート体制などを総合的に検討します。
例えば、記録をデジタル化するためのタブレット端末や、遠隔での見守りが可能なセンサー、コミュニケーションを協議するための方法など、具体的な内容を比較検討します。
3. デモ機での実証検証
選定した機器やソフトウェアを期限付きで試し、その施設にあっているのかを検証します。検証前と後では選定した機器のイメージが違ったとの意見は少なくはありません。
長い期間を使って機器選びをすることをおすすめします。
各自治体の社会福祉協議会に相談窓口があるので、相談しながら進めていくことができます。
4. スタッフへの研修と教育
新しいシステムを効果的に活用するために、スタッフへの研修を実施します。
操作方法を習得するだけでなく、システム導入の目的やメリットを理解してもらえることで、モチベーションを高めます。
実際の機器を使った実践的なものとして、質問や意見交換の場も設けられます。
また、研修後のフォローアップやサポート窓口の設置も検討します。
5. 実施後の評価とフィードバックの収集
システム導入後、その効果を評価します。
業務効率の向上やミスの減少、スタッフや利用者の満足度など、定量的・安定的なデータを収集します。
これにより、ICT導入の効果を最大化し、継続的なサービスの向上を図ります。
この手順にしたがうことで、導入の際のリスクを最小限におさえICTの恩恵を最大限に引き出すことが可能です。
また、毎年7~9月頃にはICT・ロボットに関する補助金の概要が発表されます。都道府県によって内容は違いますが、補助金を活用していっきにICT化を進められるパッケージ型の内容もあったと思います。
気になる方は自身の県ホームページをご覧になってみてはいかがでしょうか。
ステップ2:介護現場のICT機器導入に向けた手順
介護施設がICT機器を導入するためには、具体的な手順が設定されています。先の内容と重複する部分がありますが、県社協の方にも耳タコのように言われ続けたのであえて記載しときます。
これには、以下のような手順がふくまれます。
1.必要なICT機器の特定
業務分析とニーズの把握
現在の業務プロセスを詳細に分析し、どの部分にICTを導入することで効率化やサービス向上が図れるかを検討します。
機器・システム記録の検討:
電子カルテ、ケアシステム、コミュニケーションツールなど、必要な機器やソフトウェアを具体的に特定します。
セキュリティ対策の検討
個人情報を扱うため、データの安全性を確保するためのセキュリティ機能も大事です。
2.予算の計画と確保
コスト見積もり
機器購入費、ソフトウェア導入費、保守費用など、初期費用とランニングコストを詳細に見積ります。
資金調達の方法
自己資金だけでなく、国や自治体の補助金・助成金の活用も検討します。
対費用効果の分析:
投資に見合った効果が得られるか、長期的な視点で評価します。
3.正しいベンダーの選定
ベンダーの評価
過去の導入実績、サポート体制、信頼性などをベースに複数のベンダーを比較します。
提案内容の比較
提供される機能サービスの内容、価格などを詳細に比較検討します。
契約内容の確認
契約後のサポート範囲や費用、契約条件を明確にし、不明な点は事前に解消します。
4.機器の設置とテスト
設置計画の策定
機器の配置やネットワーク環境の構築など、スムーズな導入のための計画を立てます。
動作確認と試運転
実際の業務スケジュールに沿ってテストを行い、不具合や課題を洗い出します。
スタッフ研修
機器やシステムの操作方法について、スタッフ全員に対する研修を実施します。
5.運用開始
段階的な導入
いきなり全面導入するのではなく、段階的に運用を開始し、問題点をその都度解消します。
フィードバックの収集
スタッフや利用者からの意見を集め、システムの改善に相談します。
定期的なメンテナンス
システムの更新や機器の点検を定期的に行い、安定した運用を維持します。
これらの手順にしたがってICT機器を導入することで、介護現場での情報共有がスムーズになり、より効率的なケアが提供できるようになります。
ステップ3:介護におけるICT活用のポイント
介護現場でICTを有効に活用するには、以下のポイントが重要です
1.補助金を活用する
ステップ1でも話したとおりですが、政府や自治体から提供される補助金を活用し、初期投資の負担を軽減します。
これがまた結構な額で、ちなみに私の県では条件次第では4/5の補助率でした。
2.現場への研修や周知を行う
スタッフがICTを効果的に使用できるように、適切な研修をおこないます。
デモ機を導入するたびに担当者は説明しなくてはいけないので、少し骨は折れますが…。
3.アウトソーシングを導入する
専門業者に一部の業務を委託することで、導入のスムーズさを保ち、継続的なサポートを確保します。
専門的な知識をお持ちの業者さんが間に入ると、私たちの知識も自然と身についてきます。
これらのポイントに注意を払い、計画的に導入をすすめることで、介護現場のICT化は成功へとみちびかれます。
まとめ
介護現場でのICT化について、この記事を通じてICTの基本概念から具体的な導入手順、活用方法まで幅広く解説しました。
今後の介護サービスの質の向上と業務効率化には、ICTの導入が不可欠です。記事の要点をまとめると以下のとおりです。
1. ICTの基本理解を職員全体でふかめる
2. 導入・活用の具体的方法をまなぶ
3. リスク対策と支援サービスをしる
日を追うごとに世間のデジタル化は進んでいきます。
しかし、業界の中では介護現場はまだデジタル化が進んでいないとのことだそうです。(コンサルさんが話してました)
便利なものは使い、限りある時間を少しでも利用者さまに向けれるよう、職員全体で同じベクトルを向いていければいいなと思います。
これらの情報が、皆さまのより効果的なICT導入計画に役立てば幸いです。
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