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仕事でマウントを取られて悔しい思いをしていませんか?
マウントを取られてはまずい領域
会社の上司や顧客、同僚、後輩など、ビジネスのシーンで相手にマウントを取られ、悔しい思いをした経験は数え出すとキリがない。あなたもおそらくそのような人間の一人であるはず。では、どのようにしたら相手にマウントを取られなくなるのか。
マウントを取られるパターンは色々あると思う。知識や経験のなさを馬鹿にされたり、方針をあれこれと変更されたり、作業を好き勝手に振られたりと。相手から見下される、あるいは馬鹿にされるといった類のマウントは、その場を耐えて右から左へと受け流せば害が少ないが、自分の仕事の進め方や作業量に係る問題でマウントを取られると死活問題だ。一気に自分の仕事がやりづらくなり、心身ともに疲弊していくことになる。
具体的に、何を相手に決められるとやりづらくなるのか、挙げてみる。
目標・スコープ
自分の仕事の目標やゴール設定、スコープを決められると、最終的に作成するアウトプットの質や量に関わってくる。顧客が求めていない過剰な品質や大量の成果物を作成することになると、あなたやあなたが率いるチームはその日からデスマーチに参列することになる。
アプローチ
どのようなアプローチを取るかも重要だ。ボトムアップのアプローチは往々にして、作業量が膨らむ。どのような示唆が出るか分からないけど、とりあえず調査・分析を進めてみよう。そんなアプローチを取られそうになったら、あなたは身体を張ってでも止めなくてはならない。
スケジュール
仕事の期限は言わずもがなである。真のデッドラインを無視し、早く成果物を見たいからという上司や顧客の都合で早い期限を設定されると、自らの首が絞まることになる。また、残業を積み重ね、せっかく早く成果物を提示しても、デッドラインが来るまで内容を見てもらえなかったというのは良くある話。
マウントを取られないために
では、相手にマウントを取られないようにするためにはどうしたらよいか。結論から言うと、誰よりも早く、「先に」物事を考える。これに尽きる。
本当は「深く」考えることも求めたいが、とにかく「先に」考えることが重要である。なぜならば、あなたが相手より「先に」案を出すと、その後の議論は提示した案をベースに進むことになり、自分の仕事の進め方をコントロールしやすくなるからだ。また、自分の仕事を快適な環境に置くために、提示する案のどこを死守しなければならないのか、どこであれば捨てられるかを自分が一番良く分かっているので、議論自体も統制しやすくなる。
些末な例から始めよう。例えば、新規に立ち上がったプロジェクトにおける会議設定。週次の進捗報告会を上司や顧客に月曜で設定されたとしよう。少しでも進捗を出すために、大切な金曜日の夜や週末の時間が消えていくのが目に見える。そうではなく、月~木の間に事前のレビューやチーム別の定例会議を済ませて置き、金曜日に集大成としての進捗会を設定する、そのようなコミュニケーションプランをあなたが早々に立てて提案すべきだ。
他の例として、ブレスト会議を挙げてみる。あなたは「何も用意しなくてよいから、会議を設定してブレストしよう」と誰かに言われた時、それを鵜呑みにして手ぶらで会議に向かっていないだろうか。断言するが、ブレストも含め、あなたが何かの会議に出席する予定になっており、またその会議において発言する権利を与えられているのであれば、それら全ての会議において自分が何を発言・提言するかを予め決めておくべきだ。アジェンダが決まっていなければアジェンダを提言する、決まっていれば各トピックで言うことを1つでいいから用意しておく。そして、会議が始まったら真っ先に発言する。これをいついかなる時も実践する。
「今日、ブレスト会議って言ってたと思うんですけど、こんなアジェンダや論点で議論した方が良いと思うんですよね」
「事前にアジェンダ決まってたと思うんですが、このトピックも入れた方が良いと思うんですよね」
(あるトピックについて)「資料のご説明ありがとうございます。事前に資料に目を通して置いたんですが、この点の理解を深めたいので、もう少し聞かせてもらえます?」 ※単なる質問も主体性の現れ
(あるトピックについて)「ご報告ありがとうございます。色々と記載されている課題の中で、この課題についてしっかり議論すべきと思うんですよね。なぜなら・・・」
もちろん、会議で発言・提言することを予め決めておくためには事前準備が必要だ。ただ、一般的にその準備の時間は過大見積される傾向にある。私のこれまでの経験で言えば、10~15分あれば最低限の準備はできる。30分も確保できれば、パワーポイントで提案紙1枚くらい書けてしまう。とにかく思考の深さは経験を積めば後からついてくるから、先手を打つことだけにまずは注力したい。
そして、会議や職場のちょっとしたシーンでマウントを少しずつ取れるようになれたら、きっとあなたも気づくだろう。
「ちゃんと考えている人って、意外に少ない」
そう、普段からしっかりと物事を考え、きちんと仕事の段取りを組んで前に進められる人は、組織の中にそうそういるものではない。皆、少しでも楽して仕事しようと、誰かの考えた案に乗っかる隙を常に窺っている。そして、その案がなかなか出てこないとなると、「どうなってるんだ!」「仕事が遅い!」「とっととやれ!」という罵声とともに、職場の部下や取引先を小突き始める。要は、誰も彼もが権力を笠に着て、ふんぞり返りたいのだ。
そんな相手に小突かれてから仕事をやるのでは遅し、もったいない。どうせやらないといけない仕事なのだから、小突かれる前に、あなたが相手を小突いてやろう。