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眠る前の物語(お天気シリーズ)『雨の物語』

最近、僕はこのカフェの常連になりつつあるようで、オーナーから、このカフェには、雨の日に訪れる女性のお客さんがいることを、教えてもらった。

マスターの話を聞いて、僕もその女性のことが、段々、気になってきた。

僕は、このカフェには、天気に関係なく来るけれど、僕も雨の日は、大好きだったから。

「雨が大好き」が確定しそうな、彼女と雨のことを少し話してみたくて、彼女と何の接点もない僕だけど、

急に話しかけて嫌われるかも
しれないけれど‥
いつも、ただ待っているだけの僕だったけれど、

今日は雨。

僕は…

「マスター、今日もコーヒーありがとうございました。おいしかったです。」

カランコロン…
僕は、カフェの扉を開けて、
このカフェに向かっている彼女の元に、
彼女が怖くならないように注意しつつ、気が付くと、少し、駆け出していた。

「僕も雨が大好きなんです」と伝えたくて。