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【セックスレスを乗り越えて】ホテルデートで解放されて天にも昇る時間を過ごしました

エピローグ


久しぶりの夜とその先に結婚して10年以上が経つと、生活は安定する一方で、夫婦の間には「当たり前」が増えていきます。それは安心感でもあるのですが、時々刺激の少なさを感じることもあります。そんな日々の中で、私たち夫婦は久しぶりに二人だけの夜を過ごすことになりました。

この夜は、特別でした。子どもたちが友人の家に泊まりに行き、家には久しぶりに私たち二人だけです。リビングで夫と向かい合って食事をしていると、いつもとは少し違う空気が漂っていました。そう、今日はふたりだけでベッドに行く日。そう、約束をしていたのです。

いつもは子どもが寝ている中、別の部屋でしていたのですが、今日は本当に特別。「今夜は久しぶりに夫婦としての時間を取り戻す夜だ」ということを。

食事を終え、片付けをして、シャワーを浴びると、夜が更けるにつれて普段はしないような緊張感が少しずつ高まっていきました。そして迎えた夫しかいない家での久しぶりのセックス。それは懐かしくもあり、新鮮でもありました。触れ合う肌の感覚や、言葉にならない心のつながり。その瞬間、私は「ああ、やっぱり夫と過ごすこの時間が好きだ」と改めて思いました。ですが、ふと気づいたのです。久しぶりのこの時間が嬉しいはずなのに、私の中に満たされない感情が、ほんの少しだけ残っていることに。

セックスが終わった後、ベッドで静かに横になりながら考えました。どうしてだろう。この幸せな時間のはずなのに、心のどこかに小さな渇望がある。翌日、夫が出勤していった後、家事をしながら考えを巡らせてみたのですが、その渇望が何なのか、自分でもはっきりとはわかりませんでした。

そしてある瞬間、はっきりと気づきました。私はただ、もっと夫に「燃えてほしい」と思っているのだ、と。家庭という安定した場所で過ごす日常は、それ自体が素晴らしいものです。でも、私の中にはまだ「女」としての自分を夫に見てもらいたいという欲望があるのだと気づきました。

普段はすっぴんでエプロン姿の私ではなく、メイクをして、おしゃれをして、髪をきちんと整えた私を見てほしい。普段の生活の中では意識されなくなってしまった「私らしさ」を、夫の中に再び思い出させたいのです。さらに言うなら、夫にもっと積極的になってほしいのです。

いつもの家ではなく、ホテルに行ってみるのもいいなと思いました。非日常的な空間で二人だけの時間を過ごしてみたいのです。そのためには、ただ流れに身を任せるのではなく、夫自身が行動してくれるのを見てみたい。ホテルを予約して、「今夜は行こう」と誘ってくれる夫を想像するだけで、私は胸が高鳴りました。

それは決して、普段の夫が嫌いとか、物足りないとかいうことではありません。ただ、お金を出してでもそうしたいと思うほどの情熱を夫に感じたい。そして、その情熱を自分に向けられることで、私もまた女性としての自信を取り戻したいのです。

ホテルへのお誘い


思い切って、私はある日夫に言ってみました。「ねえ、たまにはホテルとか行ってみない?」夫は少し驚いた顔をしたのですが、すぐに柔らかく笑ってくれました。

そして、「いいね。今度行こうか」と答えてくれたのです。その一言を聞いたとき、私は心の奥底で嬉しさを感じました。夫も私の気持ちに気づいてくれたのだと思えたからです。その後、私たちは初めてのホテルデートを計画しました。非日常的な空間に身を置き、夫と二人だけの時間を過ごす。その日が待ち遠しいです。

夫に任せた初めてのホテル予約

結婚して10年以上、いつしか「夫婦の時間」は後回しになりがちになっていました。仕事や家事、子どもの世話に追われて、夫婦でデートをするなんて夢のような話。でも、私は思ったのです。「そろそろ二人だけの時間を作りたい」と。そこで思いついたのが、ホテルデートでした。

ただし、今回はどうしても夫に予約を任せたかったのです。私から提案するのではなく、夫が積極的に動いてくれる姿を見てみたい。いつも日常に追われている夫が、私たちのために一歩を踏み出してくれる。その瞬間を感じたかったのです。でも、それが簡単ではありませんでした。

それからの日々、夫が具体的に動いている気配はありませんでした。週末が近づいても何の話も出てこない。私は心の中でもどかしさを感じつつ、あえて何も言わずに待つことにしました。今回は本当に夫に任せたいのです。自分から確認したり提案したりすると、またいつもと同じように私が段取りをつける形になってしまう気がして。それだけは避けたいと思いました。

そんな焦れったい日々が数日続いたある朝、ついに夫がぽつりと「来週の水曜、昼間にホテル行こうか」と言ってきました。その一言に私は思わず顔がほころびました。「予約したの?」と聞くと、夫はスマートフォンを見せてくれました。そこにはシティホテルの昼間プランの予約画面が表示されていました。予約は、平日の昼間の3時間プラン。それでも、私には十分でした。大事なのは時間の長さではなく、夫が自分で動いてくれたという事実です。この小さな「行動」が、私にとってはとても大きな意味を持っていました。

久しぶりの焼肉ランチとホテルデート

子どもを保育園に預け、私たちはいつもと違う時間を過ごす準備を整えます。目的地は、夫が選んだおしゃれな焼肉店。結婚記念日にも来たことがある、高級なお店です。

お店に入ると、ランチメニューに迷うことなくお肉の盛り合わせを注文。焼肉の香ばしい匂いが漂う中、昼間からランチビールで乾杯をするのはなんとも新鮮な気分でした。一口飲むと、ふわっと心がほぐれていくのを感じます。

久しぶりに、子どもの話や生活のあれこれではない話題で会話が弾む時間。それだけで特別な日だと実感しました。お肉が焼き上がる頃には、二人ともすっかりリラックスモード。それでも、心のどこかで次に控えている「ホテルに行く」という予定に胸が高鳴り始めます。夫の表情をちらりと盗み見ると、彼も少し緊張しているように見えました。でも、そんな様子を見ていると、なんだか愛おしい気持ちが湧いてくるのです。

ランチを終えた後、私たちはデザート代わりに近くの紀伊國屋に立ち寄り、ボトルワインとチーズを購入しました。こういうちょっとした準備も非日常感を盛り上げてくれる気がして、なんだかウキウキしてしまいます。そしていよいよ、ホテルへと向かう時間がやってきました。

ホテルの入り口に足を踏み入れると、受付カウンターの近くにはさまざまなカップルがちらほら見えました。こちらも普通の夫婦には違いないのに、不思議と周りの目が気になります。妙におしゃれなスーツの男性と控えめな雰囲気の女性を見ると、「もしかして不倫カップル?」なんて、場違いな想像をしてしまったり。受付を済ませてエレベーターに乗り込むと、私の中で緊張が一気に高まりました。夫もきっと同じだったのでしょう。お互い目が合うたびに、ふっと照れたような笑みを浮かべてしまいます。

緊張の時間…


部屋に入ると、まずはそれぞれシャワーを浴びることにしました。汗を流して、心も体もすっきりさせてから、バスローブ姿でワインの準備をします。向かい合わせに座った夫の顔が、少し赤くなっているように見えました。ワインを注いで乾杯する前の一瞬、なんとも言えない静けさが部屋を包みます。普段の生活ではなかなか味わえない、この静寂と距離感。そして、向き合った夫の姿がいつもより少しだけかっこよく見えるのです。

乾杯のグラスを合わせる音が静かな部屋に響いた瞬間、私は「ああ、こういう時間がやっぱり大切だ」と心から思いました。何でもないような日常から少し離れることで、改めて夫の存在を大切に感じる。そんな特別な一日でした。非日常の空間で、夫婦だけの時間ワインを飲みながら、他愛のない会話を続けているうちに、ボトルは半分ほど空になっていました。 

少しだけアルコールの影響もあったのでしょう。夫の隣に座り直すと、私は思わず腕を伸ばして彼にハグを求めました。いつもの甘えの延長ではありますが、すぐにフッと笑って私を抱きしめ返してくれました。

火照る体、求めあう時間

肩に感じる彼の手の力強さに、心の奥がふわっと温かくなるのを感じます。そして、いつもより長めのキス。唇が触れるたびに、まるで若い頃に戻ったような気持ちになりました。それだけでは終わらず、夫の手が私の肩から徐々に胸へと移動しました。

その瞬間、私の中で何かがはじけるような感覚がありました。ホテルという非日常の空間が、普段抑えていた大胆さを解き放つきっかけになったのかもしれません。家ではどうしても意識してしまう「隣の部屋で寝ている子どもたち」「薄い壁の向こうの隣人の気配」といったものが、この空間にはありません。その解放感が、私たちの心と体をより自由にしてくれました。

彼が私の服を脱がせるとき、私も自分から夫のシャツのボタンに手を伸ばしました。普段なら少し恥ずかしさが先立つような動きも、今この時は自然とできるのです。お互いを確かめ合うような触れ合いが続く中で、私の声や吐息が漏れていくのが自分でもわかりました。「気持ちいい?」と夫が耳元で囁くと、私は素直に「うん」と応じました。その言葉に彼がさらに積極的になってくれるのがわかります。触れる手、重なる肌、そのすべてが普段とは違う高揚感を与えてくれました。いつの間にかベッドに移動していた私たち。

シーツの感触と夫の体温が混じり合い、快感がどんどん高まっていきます。解放された二人だけの世界普段の家でもセックスは心地よいものですが、この日ばかりは全く違いました。非日常的な空間が私たちを大胆にさせ、心の奥底に隠れていた欲望を引き出してくれたようでした。いつもは抑えがちな私の声や吐息が、気づけば止められないほど漏れていました。「今日は大胆だね」と夫が耳元で囁くと、私は恥ずかしさよりも嬉しさを感じました。

彼の手や唇が触れるたびに全身に電流が走るようで、体が自然に反応します。普段なら言葉にしないことも、今日は素直に伝えられる自分がいました。「もっと」「そこがいい」と自分から口にするたび、夫が応えるようにさらに情熱的になります。そんなやり取りを繰り返すうちに、二人の動きはより熱を帯びていきました。汗ばむ肌が触れ合うたびにお互いの体温が溶け合い、シーツがびしょびしょになっていることにも気づかないほど夢中になっていました。こうして夫婦のホテルデートは大満足の時間を過ごすことができました。ホテルに誘うことを躊躇していましたが、勇気と素直さを持って夫にぶつけてみて本当によかったです。

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