そう来たか!の衝撃が走った、「シン 東洋陶磁」展
陶芸の話を振ると「やきものって解んないんですー」と逃げようとする人がほとんどだ。逆に「李朝がわかる女になりたいんです」と意識の異様に高い女性も少数いるが。
両方のやきもの反応について、必ずおすすめしていることがある。「大阪市立東洋陶磁美術館に行くしかないでしょう」
20年前にうつわの記事を書くことになり、勉強のためにワタシがまず取った行動が、ここの会員になって、時間を見つけて通うことだった。誰からのアドバイスでもなかったが、後から思えば、これはだいぶラッキーだったと思っている。
国宝をふくむ最高のコレクション、世界初の自然光展示で、器物の質感を舐めるように官能的にみることができる。どしどし引き込まれた。
展示はほとんど同じだが、行くたびに見え方が変わるのが不思議だった。照明によって陶磁器が生き物のように変化して飽きさせない。その時々で、自分の見たいものも変わるが、どこに目をやっても完璧な展示で応えてくれる。理想の恋人ってこんな感じか?
ここで優品の姿を目に焼き付けたことは、本当にためになったとおもう。博物館の粗末なガラスケースの中で放置された、カッサカサの茶碗なんかをいくら見ていても、うつわのことが好きにならなかっただろう。
「わからない」から、「フォーリンラブ」へ、最短で導いてくれる美術館がここにある。どなたにもお勧めしたい。
企画展も素晴らしかった。「台北 國立故宮博物院―北宋汝窯青磁水仙盆」(2016年)は、見たことを死ぬまで自慢できる青磁の頂上まつりであった。伝説の蟹のツボが二つ横並びになった「没後100年宮川香山」(2016年)の奇跡の展示を思い返すと、今もアツくなる。
その東洋陶磁美術館が、リニューアルで休館となり、ヘンに変わっていたらどうしよう?と、気が気じゃなかった。
そして、2年ののち、「いよいよリニューアル」の知らせには、目を疑う「シン」のドデカ文字が。、、、、たしかにゴジラ級の国宝も所蔵しているが、これはないんじゃない?とザワザワ来た。
で、実際に行ってみたレポート記事は、こちら。
結論から言うと、同窓会で久しぶりに会った旧友が、なんだか若々しい感じで、いいんじゃない?的な。つまり、びっくりしない程度のほどよいリフレッシュ感ある「リニューアル」。
やきもの好きのオアシスは不滅だった。ホントおかえりなさい。
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