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アフリカ納豆サミットで、「納豆は和食」の嘘をメクる、ガーシー砲を浴びた。

先日、大いにクサしてしまった国立科学博物館の「和食」展で、「おや?」と思ったことがあった。

「納豆は和食」の旗が、ひっそり下ろされていた、その訳は


「納豆は日本独自の食文化」と誇る人が多いのに、発酵食のコーナーに納豆がないのだ。納豆の「な」の字もない。しかも、そのスルーのされ方、まるで「あわてて消した」かのように不自然だ(と感じた)。
そこで、ワタシは邪推した。
それは、高野秀行さんの著書「幻のアフリカ納豆を追え!」で、納豆がアフリカ、アジアに広がる国際食であることが明らかされてしまったから、ではないだろうか? (証拠ありません)

最後の20ページくらいになったところで、「サピエンス納豆への旅」を終えるのがさみしくて、しばらく目の届かないところに伏せていた。


この本、誰も気づかなかった世界納豆の分布について現地で調べ上げたレポートで、アジア、アフリカを納豆の糸に引かれて訪ね、謎を一つ一つ解いてゆく展開が、まるで旅の映画のように面白い。40年ぶりにナイジェリアで再開する幼なじみの健ちゃん、宗教的不良:バイファルの兄ちゃん、納豆作りの村の酋長とマダムなど、登場するキャラもいちいち濃い。


この本は当然、大変な話題になった。検索していただければわかるが、高野さんへのロングインタビューが、いくつも上がっている。みんな読み終えて「もっと話が聞きたい」と思ったに違いない。ワタシもそうだ。

そして11日11日、細かい原稿の締め切りも、SS席での狂言会の招待もうっちゃって、万障くりあわせたワタシは、この名著のリアル解説版、京都国際マンガミュージアムでのアフリカ納豆サミットイベントの会場にいた。

アフリカの納豆のプロが集結!(2名)糸をひくトークに時間超過。


このイベントは、京都精華大学 アフリカアジア現代文化研究センター主催で、高野秀行さんとアフリカ納豆と呼ばれる「スンバラ」をこよなく愛している京都精華大学 清水貴夫さん、創業98年の京都の納豆会社「藤原食品」代表、藤原和也さん、進行はアフリカのニジェール共和国で活動し、現地のスパイスを日本に輸入しアフリカコーラを作ったりして、アフリ観な価値観を布教する奥 祐斉さん。

本に登場する健ちゃん、ナイジェリアの村での納豆作りの様子が動画で見られる映像あり、そしてお土産は清水貴夫さんが手運びで密輸いやお土産に持って帰ったスンバラ現物が、レシピつきで配られた(上の写真)。
入場の際、スンバラおにぎりが配布されたが、発酵のフレーバーが甘くて美味しい。おまけに、食べたらお腹の調子がよくなった。
これに終わらず、日本とアフリカの納豆交流が盛り上がることを期待する。

「納豆は和食」の嘘はメクられた

で最初の話に戻るが、もし「和食」展から納豆を消したのがこの本だったとしたら、高野さんは「日本の伝統・納豆」を主張する和食イデオロギー論者のウソを、ガーシー砲のように「メクった」ことになる。
「やべえ」と思った和食の研究者さんがいたとしたら、今からでも遅くない。ほかに「日本の伝統」「日本発祥」と、根拠なくドヤっているネタがないか、リサーチを始めてほしい。(出汁も寿司も、やばいんとちゃう?)


左が清水先生、右が高野さん。何人も寄せ付けないアフリカン納豆濃度。

京都国際マンガミュージアムで、アフリカマンガ展も開催中

最後に。
納豆サミットがなんで京都国際マンガミュージアムで?といまごろふと思った方も多いかもしれない。同ミュージアムでは、アフリカ漫画展を開催中、というか、こちらがメーンイベントで、京都国際マンガミュージアム的には、納豆は関連イベントだったのでした。

フランス語圏のアフリカの漫画を紹介。
「マンガ文化の中心は日本」を実感。和食学者が言う「和食のオーセンティシティ」よりも、それは確か。
「アフリカンが薄い」と思った自分に「じゃあ何が見たかったん?」と自問しつつ帰る。



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