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Frohe Ostern!
今日は Karfreitag 聖金曜日で、Ostern 復活祭の始まりです。
復活祭は、イエス・キリストが復活したことを記念する祭日、ということになっていますが、それにまつわる慣習はクリスマスなどと同様、本来キリスト教とは無関係なものが定着しています。中でも典型的なシンボルはウサギと卵です。ドイツ語で復活祭はOstern(オースタン)と言いますが、これはゲルマン民族の豊穣の女神Eostre(エオストレ)のお祭りであるOstara(オースタラ)が語源です。英語のイースター(Easter)もその変形です。つまり、復活祭の名称自体が非キリスト教的なわけです。
また、卵もウサギも古代から豊穣と生命・再生のシンボルでした。キリスト教会は布教の一環として土着の宗教のシンボルを利用し、民衆にキリストの教えを受け入れやすいものにしてきました。復活祭に関しても卵とウサギをキリストの復活に重ね合わせたわけです。ドイツの家庭では現在、ウサギが卵に色を付けて庭に隠したことになっており、子どもたちが隠された卵を探し回ります。
なぜ、ただの豊穣と生命・再生のシンボルだったウサギがこんな役割を負うことになったのでしょうか?
ウサギに限らず、動物が卵を隠すという迷信は実は既に16世紀ころに存在していました。チロル地方では雌鶏、スイスではカッコウ、ドイツの中央部ともいえるチューリンゲンではコウノトリ、その他のドイツ各地ではキツネや雄鶏が卵を隠すとされていました。ただ、イースター前の季節にはウサギが空腹で、本来なら人を避ける動物なのに、繁殖期ということもあって、人家の庭によく姿を現す現象と相まって、1800年ころには「卵を隠すのはウサギ」というのが定番となったようです。
同じころに主にプロテスタント教徒の間で、卵探しが教会とは関係のない家庭の祭日行事となっていました。これは、「カトリック教会による色付き卵の奉献式がイースター信仰の行き過ぎである」というプロテスタント教会の見解から、教会抜きの行事として始まったようです。19世紀には『家庭での卵探し』がカトリック教徒の間にもしっかりと根付いていました。その頃には卵とウサギが切っても切れない関係として定着してしまっていたのです。ウサギにとってはとんだ濡れ衣ですね(笑)