コロナのことはあんまり書きたくないけど
つくづくメルケル首相の演説の影響力はすごい。
新たに私の翻訳文を引用していただいた記事が、真摯なメッセージ性を持つもので、実に光栄。
ドイツでは外出制限、接触禁止で少なくとも感染拡大のスピードを表すR0という数字が下がったというけど、本格的な危機はまだこれからだという。
だから、ドイツ連邦倫理委員会も医師会7団体もそれぞれこれからやむを得なくなる「トリアージュ」に関するガイドラインを出した。
重症患者が増えて限りある集中医療リソースが足りなくなり、誰を助けるか命の選別をせざるを得ない状況を想定して、その決断を現場の医師任せにはしない、厳しいガイドラインと選択理由の透明化のための書式も用意された。
ちなみにドイツは、人口10万人あたり29~30床であるのに対し、イタリアは12床程度、日本は日本集中治療医学会理事長の声明によればたったの5床程度。
つまり、日本の約6倍の集中医療リソースを持ち、また、イタリアの状況を見て病床確保のために早いうちから準備に入ったドイツが、命を選別するトリアージュを不可避としてそのガイドラインを打ち出しているということ。
ドイツはすでに1日PCR検査実施数が5万件を超えているのに、さらに検査実施数を上げて、早期に感染者を発見して隔離する方針を取っているのに対して、日本は1日の検査実施数は微々たるもの。実施数を1日8000件まで上げるとかいう話を安倍首相がしてたと思うけど、ドイツの5万件をさらに増大させる話と比べると、違和感しかない。
もしかして、コロナの感染拡大で日本の方によりひどい惨劇が待ち構えているのではないかと心配している。それに、「緊急事態宣言」出しても危機感が全体的に足りないような気がしてならない。集中病床数の少なさから考えると、トリアージュを真剣に考えなきゃいけないのはむしろ日本の方だと思う。現場の医師任せにするつもりなのかな。