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彼女にフリージアの花束を


【友だちのおはなし】

「米粉を操る女」(こちらの記事見てね)に続き、勝手に友だちシリーズ第2段。


私の幼稚園時代からのママ友、


Mちゃん。


彼女に出会ったのは、まだ息子が入園前の3歳くらいのとき。


私は、3歳の息子を連れて、支援センター主催の「公園で遊ぼう」に参加した。


私は引っ越したばかりでまわりに知り合いが全然いなかった。
息子を遊ばせながら、誰かと友達になれないかなーと、キョロキョロしていた。


私は昔から、男でも女でも、直感で、あ、この人の雰囲気なんか好きだなーから、多くの場合始まる。

その日も、断トツ雰囲気がいいママさんがいた。

黒いキャップをかぶり、おしゃれな眼鏡をかけ、黒と白の服を着ていた。


私は直感で、「あの人と友達になりたい」と思い、何となくその人の近くに移動した。
しかし、彼女には既に何人か友達がいて、楽しそうにおしゃべりしている最中だった。

その輪の中に入る勇気なんぞ、私にはござーせん。

チラチラ気にしつつも、なかなか近寄れず、公園遊びは終わってしまった。
少し残念な気持ちになりながら、息子をベビーカーにのせ、近くのお店にお昼ごはんを買いに行った。
お店から出ると、なんと目の前のテーブルにあのママさんが息子くんと座ってるじゃあーりませんか!(世代出るねー)
彼女は、息子くんとお昼ご飯を食べていた。


あっ!あの方だわ!


私は話しかけようとしたが、なんせ、あちらはご飯中だ。

私は、息子を乗せたベビーカーを押しながら、彼女の前を行ったり来たり行ったり来たり行ったり来たり行ったり来たり。
完全に怪しい子連れである。


ダメだ、、、
なかなかきっかけがつかめずその日は終わってしまった。


それから数ヶ月が経ち、息子の幼稚園のプレ保育が始まった。


私は初めて踏み込む幼稚園の未知なる世界にドキドキしながら、広い園庭で、始まるまで待機していた。

園庭は、元気に走り回り子どもたちと、そのお母さんたちで賑やかだった。


その中に、ふ、と浮き出てくる人がいた。


!!!!!



なんとそこに、私が気になっていた(目をつけていた)あのおしゃれママさんがいるではあーりませんか!

雰囲気が素敵すぎるので、私には彼女がキラキラ目立って見えた。


あの方だわ!!!!!
なんたる偶然!!
あの方もここの幼稚園にするおつもりかしら!


私は狙った獲物(失礼)を今度こそ逃すまい!と、また、彼女に近づいた。

しかし、彼女の息子くんが、んまー元気100倍で、あっちゃこっちゃ走り回ってるもんだから、彼女は息子くんを追っかけるのに必死で、完全に話しかけるタイミングがない。


そーこーしているうちに、入室の合図が出て、みんな散り散りに教室の中へ。

私はまたもや話しかけられないままプレ初日が終わってしまった。


プレは1ヶ月に1度しかない。
私は彼女が諦められず(もはや、恋)、息子以上にプレの日を楽しみにしていた。


しかし、思い虚しく、彼女に話しかけられないままプレ最終日を迎えてしまうことになる。


ここで、ミラクルが起きた。


最後に、彼女と同じ教室になったのだ。


チャンス到来。


私は、わざと彼女と同じテーブルに座った。


彼女は近くで見ると、ますます雰囲気が良く、とても落ち着いていた。
持ち物一つ一つが、なんてゆーか、好きだった。
あー、話しかけたい、と思いを募らせていた

その時!

息子が使おうとしたセロテープに、彼女の息子くんが手を伸ばした。

「Aくん、順番こだよ」
「ごめんねー」

と、言って、セロテープを息子に返してくれた。


「すみません」


と、私にも謝ってくれた。
初めて目があった。


「いえいえー」

と、私も笑顔で返した。


が、私の心の中はテンションぶち上がりだった(完璧、恋してる乙女状態)。


そして、それ以上お近づきチャンスもなく、プレは終了し、帰る前に園庭で遊びたいと息子が言い出すので、砂場へと向かった。

息子は、その時期、不満なことがあると、すぐに手が出てしまったり相手を押してしまうことがあったので、目をギラつかせて監視していた。


ふと、向かい側に、同じく目をギラつかせている人がいた。


彼女だった。


私はチャンス!と思い、近づき話しかけた。


「さっき、同じテーブルだった方ですよね?」

「え、あ、はい」

「もしかして、息子くん監視してますか?」

「そうなんですよー笑。もう、すぐ手が出ちゃったり、噛んだりしちゃうんで、常に見ておかないとで」

「うちもですーーーー」


この、「私たちの息子同じタイプかもしんない感」が、一気に私たちの距離を縮めた。


息子のさまざまな困りごとをシェアし、意気投合。私たちはあっという間に仲良くなった。
なんだろね、同じ波長の人って、初めましてでも、いつまでも話してられるよね。


彼女は「連絡先交換してもらってもいいですか?」と、私に聞いてくれた。
まさかの、逆告白パターンである(告白じゃないけどそんな気分)。


その日から、今も、ずっとMちゃんとは仲がいい。
仲がいいって、、もんじゃない。


前世で、何かあった?ってくらい繋がっている。


とにかくすごい頻度で、バッタリ遭遇する。


Mちゃんに会いたいなーって思ってると、スーパーで買い物してたり、
自転車で何回もすれ違ったり、
電車だって、何度遭遇したことだろう。
小児科だってバッタリ会うし。
先日なんて、私が車で信号待ちしてる前を自転車で横切るもんだから、「Mちゃーん!」と窓から叫んだ。


もう、嬉しい越えて、会いすぎて怖い。


Mちゃんは、私の過酷な幼稚園時代の付き添い登園を全て知っている。
いつも話を聞いてくれた。
一緒に喜んでくれた。
一緒に泣いてくれた。
限界な私を、抱きしめてくれた。

息子のことも特性を理解してくれて、いつも寄り添ってくれる。


息子が久々にランドセルを背負い登校できた日があった(今では考えられんけども)。
嬉しくてMちゃんに連絡すると、美容院に行っていた彼女は、洗面台で目隠しをされながら、ランドセル姿の息子を思い、泣いてくれたそうだ。
アシスタントさんは、さぞ、驚かれたことでしょう。シートの下で、彼女がいきなり泣き出したのだから。


誰かのために、涙を流せるって、素敵だ。


私が初めて彼女を見て惹かれたのは、彼女の優しさと温かさが滲み出ていたからかもしれない。

私は、優しい人が好きだ。

私も、そうありたいと日々思う。


この歳になって、こんなにも分かり合える心の友ができるとは思わなかった。


Mちゃんは、これから何年か、乗り越えなければならないことがある。

私は全力でサポートしたいと思っている。
何かあればすぐに駆けつけるし、
何かあれば全力で助ける。
いつだって話を聞くし、
いつだって彼女の味方だ。
しんどい時は、全力で抱きしめる。


Mちゃんが、私にそうしてくれたように。 

そして、いつの日か、お互い懸命に乗り越えてきた日々のことを、一緒に振り返ろうじゃないか。
お酒でも飲みながら。


おばあちゃんになってもよろしくね。


そんな彼女に、フリージアの花束を。

いつも、ありがとう。

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