マリメッコの生地でオリジナル足袋
今日は、和装に欠かせないアイテムである足袋についての熱い思いを書いてみたいと思います。
足袋というのは、洋服で言えば、靴下です。
駅ビルやショッピングモールに行けば、さまざまな色や柄の靴下が売られています。
みなさん、その日の気分や着こなしに合わせて、ごく自然に靴下を選んで履いていると思います。
学校指定ソックスでもない限り、白無地の靴下を毎日履いているよ、というかたは少ないはずです。
足袋も靴下と同じで、白無地の足袋ばかりではつまらないですよね。
ふだんのお出かけのときは、お気に入りの色や柄の足袋をはきたい! と思ったわけです。
マリメッコの生地で足袋を誂える
こちらは、徳島県鳴門市の美津菱足袋さんに好きな生地を送って仕立ててもらったオリジナル足袋です。
国内に縫製工場がある老舗の足袋メーカーでは、なんと、持ち込み生地からオリジナル足袋を仕立ててくれるんです!
大阪のゑびす足袋さんでも同じサービスがありますよ。
注文の仕方は足袋メーカーさんによってさまざまで、呉服店や着物専門店が受注の窓口となっている場合もありますし、公式オンラインショップから直接オーダーできる場合もあります。
わたしはいつもお世話になっている着物専門店を通してお願いしました。
注文するときに、サイズ、足型(標準型か細型か)、コハゼの数(4枚か5枚か)、底生地(白色か黒色か)を指定できます。
こちらのマリメッコ足袋は、23センチの標準型、4枚コハゼ、白底というオーダーでした。
「持ち込んだ生地から柄出しはおまかせで取れる分だけ作ってください」とお願いしたら、4足から5足ほど出来上がりました。(完成したのが2018年のことなのでうろ覚えですみません)
納期は長くて3か月程度かかりますので、気長に待ちましょう。
出来上がった足袋のコハゼには「別誂」と刻印してありました。
今回の足袋で使った生地は、フィンランドを代表するファブリック・メーカーであるmarimekkoのお品です。
店頭で量り売りされているコットン100%の生地を買いました。
マリメッコの生地はハンドメイド愛好家の間でとても人気ですよね。
クッションカバーやファブリックパネル、ポーチやバッグ、ワンピースや子供服などを制作されるかたが多いのではと思います。
マリメッコはアパレル・ブランドでもあるので、店頭には既製服も売られていますよ。
この青地に小花柄の生地は、「ブーケ」を意味するPukettiと名付けられた柄です。
Annika Rimalaさんによって1965年にデザインされたそうです。
なんと50年以上も昔!
マリメッコの代名詞であるUnikko柄は1964年に誕生したそうなので、プケッティ柄はウニッコ柄に次ぐロングセラーアイテムということになりますね!
マリメッコには、こういう長く愛され続けているデザインが多くて、タイムレスな魅力という意味で「きもの」と通じるものがある気がします。
気になるお値段は?
さて、気になるお値段ですが……
持ち込み生地で作るオーダーメイド足袋の場合、一般的な縫製費は1足あたり税抜で4000円から5000円の間だと思います。(これはわたしが実際に注文した2018年当時の値段ではなく、現在の相場です)
この縫製費に、材料費(生地自体のお値段)が上乗せになるわけですね。
マリメッコのプケッティ柄生地の現在のお値段は、10センチ当たり税抜800円です。
正確に何センチ買ったのかは忘れてしまいましたが、生地量り売りの最小単位が50センチからなので、最低でも50センチ、多くて100センチ購入したのではないかと思います。
ということは、生地代と縫製代を合わせた1足あたりのお値段は、6000円から7000円の間となりますね。
このマリメッコ足袋を作ったのは2018年のことなので、当時は生地代と縫製代合わせて1足あたり4000円から5000円程度だったと記憶しています。
現在の社会情勢を鑑みると、材料費も人件費も値上がりしているのは仕方ないことでしょう。
これが安いか高いかですが、同じようにブランド生地を使った既製品の柄足袋と比べてみると、妥当なお値段(適正価格)だったなと思います。
安くも高くもなく、既製品の柄足袋よりはちょっとだけお安くすんだかも? という感じですね。
ちなみに、2016年にDOUBLE MAISONが出していたミナペルホネンの生地を使った柄足袋は、1足あたり税抜6800円でした。↓
2020年にDOUBLE MAISONがミナペルホネンとコラボした足袋は、1足あたり税抜8900円でした。↓
やはり年々、お高くなってますね……
きものやまと公式オンラインショップを見てみたところ、現在の色足袋や柄足袋のお値段は1足あたり税抜4500円から8000円の間です。
結局のところ、色足袋や柄足袋の需要自体が少ないので、既製品だからといってそれほどお安くはならないのだと思います。
完成!
そうして出来上がった、オリジナル・マリメッコ足袋。
自分で選んだ生地から作ってもらったため、手元に届いた足袋を履いた時の感動はひとしおでした。
とても愛着が湧き、ふだんのお出かけで愛用の足袋となっています。
この足袋を履いて、食事会や買い物、映画館や美術館、国内旅行や海外旅行にも行きました。
つま先や足首がきつくなく、かと言ってしわが寄るほどゆるくもないので、たくさん歩いても足が疲れないのです。
足袋というものは、コハゼの数や縫製の具合によってフィット感がぜんぜん違うので、自分の足に合う足袋を作っているメーカーさんを見つける必要があります。
白無地の足袋は店頭で既製品がたくさん売られているので、いろいろなメーカーのものを試してみると良いかもしれませんね。
使ったあとのお手入れは、ネットに入れて洗濯機で洗い、形を整えて吊るし干ししています。乾燥機は使わない方がいいです。
完成から6年経った現在でも、縫製のほつれや色落ちがほとんどなく、すごく丈夫で長持ちなので驚いています。
縫製の技術と生地自体の質、両方とも最初に想像していた以上に良いものだったということでしょう。
既製品の足袋を見て回って、どうしても好みの色や柄が見つからなかったら、持ち込み生地でオリジナル足袋を作るというのは、選択肢としてじゅうぶん有りだと思います。
和装の世界では「おあつらえ」、つまりオーダーメイド、オリジナルで作る文化が今でも残っています。
既製品の選択肢が少ない分、オーダーメイドのハードルが低いところが、和装の自由なところだと感じますね!
今回の足袋は、マリメッコの生地をわざわざ買いに行ったので、生地代がお高くなりましたが、ブランド生地を使わないで、家にある余り布などを使えば、縫製代のみで作ることができます。
次回は、そんな余り布を活用した足袋について書きたいと思います。
最後までお読みくださり、どうもありがとうございます。