【短編小説】銀河鉄道の駅
ある真夏の日のことでありました。
休暇を利用して電車の1人旅をしていた僕は誰もいない山奥の無人駅で降りた。
駅のホームの片側は山の急斜面に草木が茂り、もう片側の崖下には大きな川がダムに向かってゴウゴウと流れていた。
山の谷間には蝉の鳴き声がコダマする様にうるさく響いていた。
木の葉の隙間から漏れる眩しい太陽の光の中で、僕は自然の清々しさを感じる反面、誰も居ない山奥に来てしまったことに少々心細くなってもいた。
暑さで額や頬に汗が伝って落ちてくると余計に不安と焦りが心を支配し始