怪物を鏡に人間を知る|NTL「フランケンシュタイン」
2022年の振り返り記事です。
ナショナルシアターライブのフランケンシュタインを見た時の感想文が発掘されたので転載。
NTLフランケンシュタイン見たぞう!
これは良い作品。人間というものが表現されている。美徳も課題も示唆もぎゅぎゅっと。
宇宙人に人間を説明する際にはこちらを見せたら一助になるのではないか。演出はダニー・ボイル。……トレインスポッティングの監督?
両方のバージョン観ましたが、わたくしのおすすめは、
ベネディクト・カンバーバッチ:博士
ジョニー・リー・ミラー:怪物
のバージョンですね!!!
先に観たからというのもあるかもしれませんが。
ベネ氏のノーブルなマッドサイエンティストみがとてもいいですね……とくに氏のシャーロックがお好きな方にはおすすめです。わたしのことだ。時期もシーズン1の次の年ですね。若い。あとかわいい。
それからミラー氏の身体に対する感覚の鋭さと表現能力よ……!!!身体に対するインテリジェンスと、それをどのシーンでどこまで見せるかのバランス感覚を感じました。
ベネ氏は怪物やっててもふるまいがややマッドなんだけど、妙な愛嬌がある。ミラー氏は博士のときもインテリジェントなのよ。数学好きそう。
最初怪物が生まれてから、歩けるようになるまで、尺をめちゃくちゃ使ってるんですよね。
あ、そりゃそうだわ、と。二足歩行、難しいもんな。赤様だって1年くらいかけて習得するところ、赤様より等身が高いので難しかろう。でも昔取った杵柄で習得が早いのであろう。
一番好きなシーンは、朝日を初めて見た怪物が、身体から湧き上がる生の喜びに溢れているところですね。
人間!!!と思いました。
朝日って、なんであんなにパワフルなんだろうか。
最後もとてもよかったなぁ。
ひとりでは死ねない。翻って、お互いが生きる目的になってしまっている。
果たしてそこにあるのは憎しみだけなのでしょうかね。これは二次創作勢歓喜。
歪んだ親子関係だと似たものがあるかもしれませんし、親子でなくともありそうですね。
思わず乱歩を思うなど。
ところで、ダブルキャストはどっちで観るのか迷うのでやめてほしい派なんですよ実は……
レミゼオタクが全然説得力ないのですが、でも芝居はシングルでやれるんならそれに越したことはない派です。
じっくりことこと煮込んだスープが好きですよ。
もちろんフランケンシュタインに関しては、博士と怪物が、表裏一体というか鏡というか、なもんで、これは意義のあるWキャストではあるのですが。
日本でのレミゼ初期は、バルジャンとジャベールが同じ役者さんが入れ替わってやっていたのと同じことかと思います。鹿賀さんと滝田さんですね。
ベネ氏とあまり関係ないのですがずっと気になっていることがあって、NTLの過去ラインナップにベネ氏のハムレット上がってるんだけど……ロリー・キニアのハムレットがないんよ……あとオセロも……両方とも2014シーズン……好きだったんだけど、なんで闇に葬られているのかしら……