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【保育覚書】考えさせられたこと~無意識に自分の「つもり」を押し付けていた話~

今回は、過去の反省を書いてみようかなと思います。

保育において、遊びや生活の場面でその子らしさを大切にすることはとても大事なことです。私もそのことは常に意識するようにしています。
製作の場面でも、例えば、髪の毛をピンクに塗ってもそれはそれで面白いなと思いますし、子どもにもそう伝えるようにしています。

そんな中で描画活動の時にすごく反省して、考えさせられることがありました。

5歳児クラスを持っていた時のことです。
とても素敵な感性を持っている女の子がいました。名前は仮にアイちゃんとしておきます。
アイちゃんは特別な感性を持っていて、製作や絵を描く時もいつも「そういう色の使い方するんだ」「そういう風に見えているんだ」と思うような表現をしていて、いつも感心させられていました。
私はクラスで製作活動をする時に、基本的には大まかな完成形に向かっていれば、ほとんどのことは子どもたちの自由な発想力に任せて、好きな色で、好きな素材を好きなだけ使って作ってもらっていました。
絵も「人はこうやって書くんだよ」というように”教える”ということはせず、子どもたちが好きなように描くに任せて、「これは何を描いたの?」「これは誰?」「そうなんだ!楽しかったんだね」という声掛けをするようにしていました。
そんな製作活動でアイちゃんはいつも素敵な作品を作り上げていて、それを見ているのがとても楽しかったのを覚えています。

ある時、発表会の後にその思い出を絵に描くことにしました。
アイちゃんははじめ「神様」の絵を描き始めました。(その時、彼女の夢は「神様になること」だったからです。その理由や経緯も面白いストーリーがあるので、チャンスがあればまたご紹介します。)
はじめは見守っていましたが、発表会の思い出ではなかったので、「それも素敵なんだけど、発表会の絵も後で描いてくれる?」と伝えました。アイちゃんは「いいよ」と言って、神様の絵を描き終わった後で発表会の絵を描き始めました。
ところが、、
アイちゃんが描き始めたのは劇で使った砂糖や小麦粉など小道具の絵でした。(「ぐりとぐら」をやったので、そのカステラの材料たちです!)
私はステージで子どもたちが劇をしている様子を描くものだと思っていたので、『えっ?何描いてるの??やっぱり発表会の絵描きたくなかったのかな。どうしよう、何て声かけよう』と動揺してしまって、「みんないないね。お友達描いたら?」と声をかけました。
アイちゃんは「えー。大丈夫。」と答えました。何度か「ほんとにいいの?」と声を掛けましたが、アイちゃんは「いいの」と言って描き続けたので『まあ、いいか…。』と私はあきらめました。でも、何だかずっと心の中がモヤモヤしていました。
アイちゃんは結局カステラの材料と周りにハートをいろいろな色で描いて「できた!」と私のところに持ってきました。
その絵を見て私が「なんでこれ描いたの?」と聞くと、アイちゃんは
「だって、みんなでカステラ作るところが楽しかったから」「だから、ハートも描いたんだよ。いろんな色でかわいいでしょ」と。
その言葉を聞いて私はハッとしました。
『そっか、、私はステージにみんなが劇をしている「発表会の様子」を描くのが正解だって無意識に思っていて、それと違うからモヤモヤしてたんだ…。でも、アイちゃんの中にはちゃんと発表会の思い出があって、それを彼女なりの方法で絵に表現したんだ。』と。
確かに彼女が描いたカステラの材料は、劇で使った小道具そのままを上手に再現していて、細かなところもよく覚えているなと思いました。それに描きながら彼女はすごく楽しそうでした。きっと劇のことを思い出しながら描いていたんですね。
いつも、「子どもたちの思いを先入観なしに受け止める」ということを意識していたつもりなのに、無意識に自分の中の「発表会の絵」の正解を押し付けようとしていたことに気が付いてすごくすごく反省しました。
そして、子どもたち一人ひとりにその子なりの「思い出の形」「表現の形」があるんだということを改めて感じされられました。
せめてアイちゃんが描いているのを止めることはしてなくてよかった…。

やっぱりどんなに意識していても自分の中のステレオタイプを完全になくすのは難しいです。
何年経っても日々勉強です。むしろ、やればやるほど自分がいかに分かっていないかということが分かって、勉強することがどんどん出てきます。
子どもってほんとにおもしろい!!!

自分も一斉保育の中で、しかも割と過保護に育ってきたので、ついつい先回りして手や口を出しそうになるけど、頑張って自分で自分の手や口を押えています。
「子どもには子どもなりの考えがある」「自分で何とかする力がある」と言い聞かせて、日々精進中です!

大事なことに気づかせてくれた出来事だったので、忘れないように記録しました。
ご拝読ありがとうございました😊


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