【読書記録】『後宮小説』酒見賢一
◆『素乾書』は、いくら探してもありません。
素乾国の新帝誕生を発端に、後宮に集められた主人公・銀河たちの物語です。後宮なので、第一の使命は跡継ぎを産むことです。銀河たちはなかなかにデリケートな内容をくっそ真面目に学んでいくこととなります。しかし後半、国を揺るがす事態が起こります。
物語は終始一貫、歴史書のような語り口で進んでいきます。その隙のなさぶりに、読み終えた後、「素乾国」はいつの時代の国だったか、社会の資料集を引っ張り出した覚えがあります。
第一回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、この賞の方向性を決定づけた作品です。