退院、そして24時間介助へ ~環境の最適化~
6月2日から免疫療法による治療のために入院していた母が、同月24日に退院した。本人としては3週間ぶりに自宅へ……と言いたいところだろうが、残念ながら自宅には帰れなかった。
病状変化
退院できたといっても母の病状は、入院前に比べてかなり悪化していた。がんによる悪化ともいえるし、免疫療法による一時的な悪化ともいえる。今後どう転ぶかは、母の免疫力次第だ。だが、それがいつどのようなタイミングで訪れるかは、誰にも予想がつかない。
退院調整をする段階で担当医と退院後の生活について相談した結果、ひとまず「いまの段階で元の生活環境に戻るのは難しいだろう」とのことだった。そう判断せざるをえなかった理由に、主に次の2点が挙げられた。
自力歩行に不安がある
容体の急変リスクが高い
入院直前までの暮らし
入院直前まで母は、変わらず一人暮らしをしていた。脚や背中に痛みはあっても、自分の身の回りのことは9割がた自分でできているような状態だった。唯一、一人でできなかったことといえば、買い物だけ。それは病状のせいだけでなく、住環境にも問題があったからだ。
母の住むマンションにはエレベーターがない。移動手段は、非常階段を兼ねた段差の高い階段のみ。ただでさえ脚の痛みで踏ん張りが効きにくくなっているのに、荷物を持った状態で階段を上り下りできるほど、母の脚の調子は良いとはいえなかった。
脚に痛みが出るまでは、背中の痛みを抱えながらでも一人で買い物にも出かけていた。痛みの範囲が広がり、痛みの度合いが増すにつれて、家から出ることを不安視するようになった。それでも、家の中でできることは自分の力だけですべてをこなしていた。
退院後の選択肢
母が元の生活に戻れる状態ではないということで、退院後の生活として2つの選択肢が挙げられた。一つは、介護施設への入所。もう一つは、一時的に家族または親族の自宅にての療養。たとえ看護師相手でも世話になるのを遠慮する人が施設に入所でもしたらどうなるか。それでなくても「退院して帰れる」ということだけを頼りに毎日の入院生活を送っているのに。そう考えると、答えは一つしかない。
近所に住む母の妹(次女)や滋賀に住む母の妹(三女)が引き取り手として名乗りを上げてはくれたものの、それぞれに生活がある。さすがにそこまで迷惑はかけられない。母もそれは望んではいないだろうと思い、娘である私が引き取り人となった。
我が家は、会社員の夫とニートの娘、そしてフリーランスで在宅仕事をしている私の3人家族。それぞれに会社員やパートといった外での仕事を持つ叔母たちと比べて、24時間完全看護ができる環境にある。それに、これまでにも母は、我が家に度々訪れていたから、家の間取りも把握している。それらも、私が引き取り手になった理由でもあった。
そうして6月24日。母が我が家にやってきた。
退院後の生活環境
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