見出し画像

刻々と進みゆく時間。

身体を痛めてしまってから、
それまで考えたこともなかった色んな事を
改めて感じるようになった。

一番大きく変化したのは、
「身体」への意識。

手が動くこと。足が動くこと。

歩けること。
物を掴めること、持てること。

こんなにも、こんなにも、
尊いものだったと、知った。


身の回りにある全てが、
当たり前のものなんて、

1つも無かったんだね。


*

未来を案じて過ごす時間が、
何もしない今日を創る。


そして、


今日も何もしなかった…と、
思う瞬間、


時間とは、なんだろうか?
と、つくづく思う。


*

沢山のものを詰め込むこと、
何か、新しいものを得ていくことが、

どこか正しいと信じていた時には、
見えなかったパラレルワールドみたいに、

時空の狭間に、
迷い込んだ気持ちにもなる。


ここは…どこだろう?


「時間感覚」というのは、
音楽の学びの中では、

結構大切な学びに思える。


たった1音の響きの中で、
時空を超える…


2つの音を鳴らすだけで、
流れてゆくテンポ感が決まる。


アンサンブルの伴奏の場合、
これが意外と奥深い。


相手の音を聞き過ぎれば、
流れは後手後手になってしまう。


合わせ過ぎることが、
合わせることでもない、難しさがある。


音になる前に、
見えない拍感を心の中で、
共有する。


稀にお互いのシンクロを
感じられた時には、
奇跡のような体感が訪れる。


ミクロの世界も、マクロの世界も、
音によって旅をする。


もちろん、色んな音楽があるのも、
否定しないし、

あくまでも、
私が信じて学び続けてきたものに対する、
私なりの解釈に過ぎないけれど…。


1つだけポーーーン…と鳴らして、


自分の呼吸が聞こえるくらいに、
じっとする時間体験って、


結構、贅沢なのかもしれない。



自分の中に、じわじわと
何かが沁み込んで来るのを、


待ってみる…。


本当に大切だったのは、
苦しさを感じるほどに追い詰めるより、


小さくても、ゆっくりでも良いから、
一歩一歩、進み続けることだったのかなって、


最近ちょっぴり思う…。



*



もっと若かった時には、
未来が明るかったのに、
それほど希望は持てなかった。


でも、今思うのは、
その苦しさにも、
ちゃんと理由があったということ。


今の時代には、
家から一歩も出なくても、

知りたいものを、ほぼ無償で、
無限に学ぶことが出来る。


地球の裏側の人々の生活や、
知り得なかったリアルな感想や傾向まで、


色んな動画で、色んな価値観を、
知ることができる!



努力の方向性が間違っているというのは、
批判でも、否定でもなく、


光合成したいお花や葉っぱに、
良かれと思って、日傘をさすような、
ものなのかもしれない。


水をあげすぎれば、根腐れしてしまう。
でもそのことにさえ、


人は時々、気付けないもの…。


*


私の中で、一番変わった事は、
多種多様な価値観や物事について、

以前より受け入れられるように、
なったことかもしれない。


傷を負うことも、痛みを感じることも、
もちろん哀しい…。


けれど、時間は戻らない。
祈りも届かない…


…ようにさえ、思える。


「なぜ?」と問いても、
答えのない日々。


それでも、生きている限り、
時間が流れ続ける。


その体感速度は、一定でもない。


恐ろしいほど長い1日があれば、
飛ぶように過ぎる1日もある。



どちらも、過ぎた後に振り返ると、
あんなに目の前にあったのに、
もう触れられない時間となって、



心の中に降り積もっていく。




目にするもの、耳に聞こえたもの、

膨大に積み重ねられた時間の、
僅かな一部分しか、


記憶の中には残らない。


使われなかった機能については、
退化してゆくのが生命体らしい。


時間とは、なんだろう?


きっと、そう思えることが、
生きている証。



忘れたいことも、
覚えていたいことも、


時と共に、流れてゆく。


どんなことも、経験しなければ、
わからないというのは、
皮肉なことだと思うけれど、


その学びを活かして、
次の世代に伝えることで、


人類は進化してきたのだとも思う。


体系化された知識は、
義務でも何でもなくて、

過去の人々が見つけてきた、
努力の結果や遺してくれた恩恵なんだろう。


その触れられる、学べる範囲が、
かつては環境によって全然違ったというのは、


仕方のないことでもある。


誰もがエリクソンの発達理論や、
エビングハウスの忘却曲線を、


知っていた訳でもないのだから…。



沢山ある情報の中から、
本当に必要なものを選び取ることも、

その選択そのものに
知識と経験を必要とするのだから…


色んなことを、
時の回想とともに思う。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?