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お葬式では黒マスクを着けるのがマナーなのか。

コロナ禍の影響もあり、お葬式のときでもマスクを着用することが普通になりました。

そんな中、一部の人は「お葬式のときには【黒マスク】を着けるのがマナーです。」と言います。

たしかに、お葬式で着用するものは基本的に黒色ですから、マスクも黒色の方がよさそうですよね。

お葬式のマナーはたくさんあるので、【マスクの色】のマナーについても気になることでしょう。

そこで、この記事では僧侶(お坊さん)の僕が『お葬式で着用するマスクの色』について解説しています。

マスクの色で悩むことなく、心穏やかに参列できるようになりますので、ぜひ最後まで読んでみてください。


お葬式では黒マスクを着けるのがマナーなの?

新型コロナウイルスの大流行からしばらく経ちましたが、お葬式でマスクを着用している人は今でも大勢います。

そんな中で、一部の人は「お葬式では黒マスクを着けるのがマナーです。」と言います。

いつの間にそんなことが言われるようになったのでしょうね?

とりあえず、お坊さんとしてハッキリ言っておきますが、『お葬式では黒マスクを着ける』なんていうマナーはないですよ。

多くの人が使用している【白色のマスク】でかまわないので、わざわざ黒マスクを購入する必要はありません。

念のため言っておきますが、体調が悪いときはお葬式でも必ずマスクを着けてくださいね。

昔は、マスクを着用すると顔を隠してしまい故人や遺族に失礼だという理由から、お葬式でのマスク着用がマナー違反と言われることもありました。

しかし、コロナ禍を機に、お葬式でのマスク着用はごく普通のことになりましたので、少しでも体調に不安があればちゃんとマスクを着けましょう。

なぜ『お葬式では黒マスクを着けるのがマナー』と言われているのか

お葬式で着用するマスクの色は【黒色】にこだわる必要はなく、普通に白色でもかまいません。

では、なぜ一部の人は「お葬式では黒マスクを着けるのがマナー」と言うのでしょうか。

その理由は、単純に『お葬式だから』でしょう。

ご存じのとおり、お葬式のときに身に着けるものは基本的に『黒色』です。

黒色は【亡くなった人を偲んで喪に服すことを表す色】であるため、お葬式では黒色が使われます。

それで、『参列者が着けるマスクも黒色にするべきだ』という理屈になるのはごく自然なことです。

しかし、お葬式で黒色が適切なのは間違いないのですが、それが【マスク】となると『喪主や他の人に与える負のイメージ』があるのです。

お葬式で黒マスクを着けなくてよい理由

お葬式では黒マスクにこだわる必要はなく、僕としては、むしろ白色マスクの方が無難だと思っています。

ここからは、お葬式で黒マスクを着けなくてよい理由について解説していきます。

■カジュアルなイメージが出てしまう。

あなたは、仕事で取引先の人と会うとしたら、何色のマスクを着けますか?

おそらく『白色』を着けるのではないでしょうか?

それはきっと、あなたの中で「白色の方が無難だ」と無意識に思っているからです。

あなたのその感覚は他の人も同じで、黒マスクは普段着のときに着用するのが一般的なんですよね。

そのため、黒マスクには【カジュアル】なイメージがあります。

お葬式では【カジュアル】な装いを避けるのがマナーなので、あなたが黒マスクを着けていると、他の人から「この人はマナーが分かっていない。」と思われる可能性があります。

ですから、わざわざ黒マスクを着ける必要はなく、白色のマスクを着用した方が無難なのです。

■何となく怖い印象を与える

あなたに質問です。

あなたの方に向かって、以下のような3人のスーツ姿の男性が歩いて来たとします。

  1. 白色のマスクを着けている人

  2. グレーのマスクを着けている人

  3. 黒色のマスクを着けている人

ここで、あなたなら①〜③の誰に対して最も警戒をしますか?

たぶん、【③黒色のマスクを着けている人】ではないでしょうか。

人は『黒』に対して、恐怖・警戒・悪というものをイメージするそうです。

マスクは顔の半分を覆ってしまい、その人の表情がわからないので、ますます怖さや警戒心が芽生えてしまうんです。

そのため、黒色のマスクを着けることで、ほんの少しではありますが周りの人たちに「ちょっと怖いなぁ」という印象を与えてしまいます。

なので、わざわざ黒マスクを着けて周囲の人に余計な負のイメージを与える必要はありません。

■喪服は本来【白色】だった

あなたが持っている喪服は、もちろん【黒色】ですよね?

でもじつは、昔の喪服の色は【白色】だったんです。

正確に言うと、日本の長い歴史の中で喪服の色は【白】と【黒】を繰り返していました。

それが、明治期に諸外国の基準に合わせるようになり、現在のような【黒色】となったのです。

つまり、お葬式で【黒色】の物を身に着けるようになったのは、比較的最近のことなんですね。

なので、本来であればお葬式では白色のマスクを着けるのが正しいということになります。

■白マスクをしている人の方が清潔感もある

多くの人は、マスクの色といえば【白色】を1番に思い浮かべます。

マスクは口に当てるものですから清潔でないといけません。

ですから、マスクは少しの汚れでも分かるような清潔感のある白色なのです。

そして、そのことを多くの人が分かっているので、みんな白色のマスクを着けています。

お葬式では故人を目の前にして手を合わせるのですから、敬意を表す意味でもマスクは清潔感のある色の方がいいと思いませんか?

■他の色や柄が入ったマスクはNG

最近ではいろんな色や柄のマスクが販売されています。

本当に多くの種類のマスクがあるので、今やマスクも『ファッションの一部』です。

でも、お葬式に着けていくマスクは【白と黒以外の色のもの】や【柄が入ったもの】は避けましょう。

お葬式は、すべてにおいて『地味』であることを良しとします。

お葬式では故人を偲ぶために【できるだけ《慎ましやか》にする】のが基本なので、鮮やかな色のものや可愛らしい柄が入ったものはNGです。

たまに、「故人の冥福を祈る気持ちがあれば、マスクの色や柄なんて関係ないでしょ?」と言う人もいます。

たしかに1番大事なのは『故人の冥福を祈る気持ち』です。

しかし、本当に故人の冥福を祈るなら、【故人にとって大切なご家族】に対対して不快な思いをさせないようにするべきでしょう。

お葬式という場面に沿うように、そして、ご遺族への配慮という意味でも白色のマスクを着用した方が無難です。

今後は『お葬式には黒マスク』になる可能性もある?

この記事ではこれまで、お葬式に着けるマスクは、

  • 黒マスクにする必要はない

  • 白マスクにする方が無難

と言ってきました。

でも、これは現時点での話です。

時代というのは移り変わります。

喪服がその時代によって白色と黒色で入れ替わってきたように、マスクの色の常識も変わるかもしれません。

もしかすると、今後は『お葬式には黒マスク着用がマナー』となるかもしれません。

そうなったときには、その時代に合わせてマスクの色や形を変えましょう。

まとめ

コロナ禍の影響で、お葬式でも『マスク着用』が普通のことになりました。

そして、いつの間にか一部の人が「お葬式では【黒マスク】を着けるのがマナーだ。」と言うようになりました。

しかし、わざわざ黒マスクを着ける必要はなく、むしろお葬式に着けていくマスクは【白色】が無難です。

喪服が黒色だからといって、マスクも黒色にする必要はありませんよ、だって本来の喪服は【白色】だったのですから。

しかも、黒マスクは比較的『カジュアル』なイメージがあったり、見る人によっては『怖い』イメージがあります。

その点で【白色】は、弔いの場にも適しており、清潔感もありますし、ご遺族に不快な思いをさせることもありません。

お葬式では、マスクの色のことを気にするのではなく、故人を偲び心を込めて見送ることに専念してほしいものです。

ということで、お葬式に参列するときは、無難に白マスクを着けて行きましょう。

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