日本の「生産性」が低いのはなぜ?
日本はずっと「生産性」が低いと言われています。これはなぜなのか。
「生産性」低い状況とは、簡単に、利益に対して時間がかかりすぎていることです。
私はずっとこれを考えていました。
まだまだ若輩の私ですが、エンジニア人生を通したテーマだと思います。
web記事や本などで調べてみても、なかなか現場の実情と沿うものは見つけられませんでした。
■ 設計仕様書がない
いくつかの会社を経験して、同じように現場の課題になっていることは、
「設計仕様書」がほとんど存在しないことです。
日々激化する現場では、スケジュールが切迫しています。
エンジニアは、スケジュールを守るために、まず最初に「設計仕様書」を犠牲にします。
FPGA設計でも、ハードウェア記述言語というプログラム言語のようなものを使用してコーディングを行います。
このコードがあれば、モノはできてしまうわけですね。
つまり、ビジネスにおいては、設計仕様書なんて不要なわけです。
■発生する新たな問題
設計仕様書を作らないプロジェクトの進捗は、一見すると良くなります。
しかしこれは、新規に作るものだけです。
問題は、次のプロジェクトです。
次のプロジェクトで、前のプロジェクトの設計物を流用することは良くあります。すべてを新規で作る必要はないからです。
しかし、「変更」は入ります。
ここで、前のプロジェクトの設計物を新しい人が、引き継いだ場合どうなるか。
■ リバースエンジニアリング
コードから設計物を予測する、
いわゆる「リバースエンジニアリング」のような作業が発生します。
自社の自部門の設計物をリバースエンジニアリングするのです。
こんなバカな話はないですよね。
そして、これがとてつもない工数がかかります。更に言うといくら工数をかけても、コードの意味を全て理解することは、不可能です。
前のプロジェクトを流用した、次プロジェクトのスケジュールは基本的には、前のプロジェクトよりも短くなります。
■ いつまでも終わらない設計
そして設計仕様書を作らいない設計では、設計物は自分の手から離れません。
いつまでも自分に問い合わせが降ってきます。
これにもどんどん工数がとられていきます。
■ 負債を作り続ける設計
日本の企業の設計に、設計仕様書は必須ではないんです。
しかし設計仕様書を作らない設計をすることにより発生する見えない工数が発生します。
そしてその工数は、我々現場のエンジニアに降りかかってきます。
設計仕様書を書かないエンジニアは、負債を作り続けています。
次のプロジェクトに負債を渡し続けています。
■ まとめ
日本が生産性が低い理由は、設計仕様書を書かないから、とは誰でも思いつく何とも単純な回答だと思います。
設計仕様書を残さない風習は、どんどん組織を蝕んでいきます。やがては、設計仕様書を書かないことが当たり前になり、リバースエンジニアリング地獄に陥り、エンジニアはやる気を失います。
所属した企業すべてが、そのような状態でした。現場の意欲は低く、生産性は上がりません。そしてエンジニアは新しいことに挑戦しなくなり、同じ業務をやりたがるようになります。
私は、設計とは「作る」ことではなく「残す」ことだと思います。作るだけであれば趣味と変わりません。残したものがつながっていかなくては意味がないと思うからです。
■あとがき
ここまで見ていただきありがとうございます。今回はシンプルに現場の課題を書いてみました。機会があれば、設計仕様書をなぜ書かないのか、どう書けば良いのか。についても深堀っていきたいです。