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分かりやすく伝える技術
伝えようとしたいのに、ちっとも伝わらなくて困ってしまった経験ってありますか?
日本語であっても、全く相手が知らない物を言葉だけで伝えようとするとすごく大変な場合があります。
分かりやすくするには、出来る限り簡単な単語を用いて時にはエピソードを交えて、また絵や図を描いたりする事でさえ助けになります。
英語でも日本語でもこれは同じ。
けど、分かりやすくしなければ!と工夫するのが重要ということは、意識しないと気づかない場合も多い。
私がそれをはっきりと意識したのは、中学生の頃に地元の個人塾に通っている頃。
英語の先生として、まだ日本に滞在し始めて間もない外国人の先生の授業が開かれ始めた時です。
ある日の授業で、前の晩に何を食べたのか話す時間があって、日本語では通じる食べ物の名前が全然通じなかった経験をした時です。
その時、私は
「昨日は餃子(Gyoza)を食べました」
と英語で先生に言ったけど、全く通じなかったんです。
なんとその先生、餃子をぜんぜん知らなかったんですね。
「え?何それ?どんな食べ物?」
と聞かれました。
興味あるから食べてみたいと言われたので言葉を捻り出しながらなんとか説明した。
「まずは、小麦で作った丸い生地に豚肉、ネギとかを入れる」
「それで包んで、焼く」
「食べる時に醤油をつけて食べる」
「中華料理」
とかいろいろ言いました。
それで、簡単に絵を書いた。けど、全く通じない。
「私は中華料理好きで、よく食べに行くけどそんな物ないし聞いたことない。多分、何かの間違えで日本の食べ物だと思う。」
と言われ、分からないとの事。とても困りました。
今であれば、簡単にスマホなんか見れば分かるだろうけれど当時そんな物はなく、私の次の授業までの宿題になりました。
「今度食べに行く時、参考にしたいから紙に書いてきて欲しい。何処かにあるなら分かるかもしれない」
との事。
家に帰り、母に作り方を聞いて事細かくレシピらしき物を書きました。
けど、その先生は料理をあまりしない人らしく全くイメージできないとの事。
その時、中華料理が好きと言った先生にどんな物を食べているか聞いて初めて「はっ!」とした。
ちょっとずつ、入れ物に入ったいろんな種類をいただくものです。
聞き取れないけど、聞いたことない言い方をしていて書いてもらったらdim sum でした。
そして、なんだか生地に包まれた物を食べているのも分かった。
同じかもしれない。いろいろ聞いたら絶対に焼いていないとの事。もっと表面は柔らかいと…。
よく考えると、餃子らしきものは中華料理にはなくて茹でてるなと…。
「それってどうやって呼ぶの?」
と聞いてみたらdumplingと…
けど、調理方法が違うからそう説明しても違うんですね。
そんなに気にした事もなかったけど、餃子って中華料理になかったな。日本料理だなと彼女と話して初めて気づいたんです。
何気なく食べている物で、そんな考えた事なかったけど小さな発見でした。
私は結局、
Japanese original dumpling is called Gyoza.
日本オリジナルのdumplingは、餃子と呼ばれています。
Chinese dumpling is boiled or steamed,
but Japanese one is fried.
中国のは茹でるか蒸すけど、日本のは焼くんです。
とようやく説明できて彼女も理解してくれました。
たかが、餃子を食べたいと伝えたいだけなのに彼女がどんな物を食べているか聞いたり、食文化についていろいろ考えたりして結構頭使ったし、説明にも時間かかりました。
当時、英語が流暢ではなかったのもあるけど、こんなに身近に食べている物を細かく説明する機会も初めてだった。
英会話って英語だけの問題じゃない事を痛いほど実感しました…。
外国人と話すには、すごく相手のことを理解したりその国の事も知らないと難しいなぁと初めて感じた私の身近な経験の最初がこれ。
当時は、今みたいにスマホがなかったしガラケーも持ってなかったのですぐに答えが出なくて、なんとか相手に聞いてヒントを見つけ、そこから相手に分かるように捻り出して答えるしかなかった。
それで、分かりやすく伝える技術って、相手と自分の状況をどれだけ客観的に理解したかで決まるんだなと身をもって理解したんです。
たかが、餃子だけど大きな事を発見した経験でした。
すぐにサッと説明できなかったけれど、この経験と考え方が今でも、英語で分かりやすく即興で説明する時の大きな助けになっています。