翻訳トライアルから経済について
今日は最近、私が翻訳トライアルから経済について感じた事を書き留めておきたいと思いました。
翻訳トライアルとは何かというと、分かりやすく言えば翻訳の仕事を取るための試験のようなものです。
仕事を定期的に取るためには、各会社が課題として出している文章を訳して自分の実力を見てもらう必要があります。
そして、各会社毎に決められた評価基準により審査されこの人に仕事を任せたいなと判断されれば、そこで初めて契約を交わし、仕事をまわしてもらえるかもしれない状況になります。
だから、トライアルはとても大事なもので、ちょっと性質は異なるとは思いますが就職試験のようなものと考える人もいるのではと思います。
自分が経験してみて、分かった事はかなり結果が出るまでに時間がかかる会社もあるんだなという事。後は、いつ結果が出るかは明確に分からないという点。
いつまでに結果が出ます!
と明確に記してくれる事は当たり前ではないという事。
尚且つ、一度トライアル結果が契約基準に満たしていないと判断されると、一定期間以上は同じ会社のトライアルを受ける事が出来ないという暗黙上のルールがある事も知りました。
これが、これから翻訳にトライして仕事にしていきたいと考えている人が参入が難しい理由になっているのだと思いました。
もう既に、英語を翻訳する事に長けている人であれば、何か別の事(他の仕事)に取り込みながら、トライアルをちょくちょく受けていけばいい。そうすれば、生活に困る事はありません。
ただこれから集中して勉強して専業にしたいと思い目指したい若い人は、いつ結果が出るか分からない。尚且つ、どれだけトライできるか分からない不透明性によって挑戦しにくい業界になっているのではと感じました。
金銭的余裕が多少なければ、集中しては取り組めないと思いますから、、
それに英語を習得する事とは別で、翻訳もある程度コツのようなものがあってこれは練習しないと感覚は掴めないと思います。
集中すればする程、練習が積み重なればなるほど洗練された訳が出来るのではと。。
時間がある程度取れる時には年取っていて、若いうちは金がないから時間が取れないとなりそうな人も多くなってしまい易いのではと感じました。
トライアルに必ず受かる保証はないし、落ちれば一定期間はまたトライ出来ない。
となれば、恐れて挑戦しない人も増えてしまうのではとも考えられます。
しかも、未経験だとそもそもトライアルさせてもらえる会社が絞られるので、リスクを最小限に減らして“経験者”という肩書きを得る為にともかくは安いクラウドワークなどで仕事を取ろうと考える人もいても仕方がないのかなと感じ、ちょっともどかしい気持ちになりました。
能力の安売りを批判している人も度々いますが、こういう状況であれば私は批判も出来ないのではと思います。
日本ではどの業界も、全体的に給料水準は下がっています。それは、翻訳分野も全く同じ傾向のようです。
私は未来の為に、自分の能力は安売りしたくないと思っています。
安く仕事を取る人が沢山いて、ブラック企業が存在すれば、そういった場所が幅を利かし、どんどん単価が下がるきっかけとなってしまう。
安く速くこなす人が増えれば、質も落ち業界全体の質が下がる。これはどの分野でも言える事です。
もっとも企業でコストを使うのが、人件費であり削ろうとすれば出来るのも今の日本では残念ながら人件費です。
お金はただの紙切れ、特に重要なものと私は思っていません。
シンプルに生きれば、大して金なんてなくても生活は出来ます。
ただ人の人生には価値がある。その時間において適切な評価がなされていなければ、金を信用として取引するこの世においては、人の価値が軽んじられてしまう危険性があると思います。
だから安売りなど必ずしてはいけない。それなりの誇りを持つ必要があると思います。
時間は命の価値と同様。価値があるものは、それなりの手間や心遣いが含まれています。それが信用という話。軽んじていい話ではありません。
だから、みんなが働いた分はちゃんと評価されてその分のお金を儲けたい。そう思わないと健全ではありません。
お金儲けが出来る人はどんどん儲ける事が一種の社会への還元になる。だから、出来る人はその欲を示さないと本来変な事です。
人生は有限でその時間は価値があるはずなので。
安売りでも我慢しなければいけない。そういう風潮が各業界で増えていくのは嫌だなあとちょっと考えました。翻訳業界も含めて…
日本は全体的に残念ながら経済的競争力が落ちていっている国だと思います。
そして金儲けしている人を妬む人も数多くいます。でも考えてみてください。稼げる人はどんどん稼いで突き抜けていく。それが結果、社会を潤す原動力になる可能性もある。今のような金の観念ができた時代においては、金儲けは応援しなければ嘘になります。
人の人生に、価値と信用を持たせる為に…
翻訳トライアルの事から経済について、そして能力の安売りの事までちょっと思いを巡らしてしまいました。