“loving” は正しいのかな?
“i’m lovin’ it.”
(lovin’は、lovingの短縮系)
は、とても有名なフレーズ。マクドナルドがCMで流したものである。
そして、今では多くのネーティブスピーカーもlovingを使うようになった。
正しく言うなら、
“I love it.”
となるはず。
けど、マクドナルドは敢えてインパクトをつけるために異なる表現を使った。
とても利口ですごいなぁとは思う。
因みにマクドナルドが何度もこの“i’m lovin’ it.” を流すまでは、love に動詞としてing をつける人は今ほど多くなかった。
と、いうよりloving なんて言ったら、知識層の間では“この人、なんか変なこと言ってるな…。”と思われただろう。
ただ、視覚効果というのはとても偉大。そして、何度も繰り返されると脳裏に刷り込まれるというその効果はすごいものがある。
何度も聞いてると正しいと思い、それに違和感を抱き難くなるという人間の心理状態をとても良く表している。
マクドナルドがlovinを使う前は、ただの文法間違いかかなり砕けたスラングだったはずなのに、今ではなんとなく使う人もいる事実。
会話で使っても彼らは違和感を抱いていない。そして、現代ではliking も使う人が結構いる。これも文法的には違っているけれどね。
オーストラリアの語学学校に通ってた時に、CMのキャッチーなフレーズについてみんなで話す機会があった。
先生曰く、テストで書いたらもちろん間違いになっちゃうけど、ネーティブスピーカーは会話で気にせずlovingや likingを使ってておそらく間違えだとか変だとかそんな感覚を持っている人はあまりいないだろうなとの事だった。
言葉はこうやって少しのきっかけで簡単に変化すると思うと興味深いなぁと思った。
だから、頻繁に耳にして使っている人にとっては“loving”は正しいことになるんだろう。
ただ、ほとんど耳にしない使っている人が周りにいないと“loving”は違和感しかないんだろう。
“loving” は正しいのかな?
正しいってなんだろうな…。
これは、単に言葉のことだから”こんな使い方もあって面白いなぁ!”とか、“へええ!また新語や流行語が生まれた!使ってみよ!”と軽く捉えてもそんな大きな問題になることはない。
ただ、正しさが良く耳にする事。繰り返し聞く事。有名どころが言ってる事。
でこんなに簡単に変わってしまうとしたら、違った角度から捉えれば結構怖いことでもあると思う。