映画『エルヴィス』感想
この映画、題名のとうりエルヴィス・プレスリーの伝記映画です。
そして、2時間30分以上もある大作でした。ただ、飽きずに観られました。おすすめ!
内容も、昔の話なんだけど現代と通じるところも非常にあるなぁと色々考えた。良い映画と思います。
エルヴィス・プレスリーはとても有名なので、色んなドキュメンタリーなんかあるけれど、この映画は新しい切り口で描いていて新鮮。
ほんと凄いなと思うのが、俳優たちの演技力。現代に当時の雰囲気を呼び戻すみたいにしていて良い仕事してるなあと感じた。
トム・ハンクスってやっぱ、演技上手だなあ。化けてるなあと何度思った事か。
そして、演出も頑張ってるなと。
これは、何らかの賞候補になりそう。そう思いました。主役のエルヴィス演じるAustin Butlerあたりはノミネートされるだろうなと…。乗り移ったように演じていました。
それだけでも、一見の価値はありそう。
エルヴィスは、誰もが知るほどの大スターですが孤独です。見てて胸が苦しくなる。自分の人生をここまでショービジネスに捧げる意味とは…と考えると悲しい気持ちになる。
“人生における答えなんて、そんなにない”そう考えると、ずっと虚無な理由は説明できるしいくらスターに昇り詰めようとも満たされないのは理解できます。
人々の憧れであっても、それと同時に非常に犠牲にしてる部分が多い。虚しいそう思ってしまいます。
そして華やかに見えても、それがいつも正しいとは限らない、という事
「資本主義の光と影」を非常によく表している。
お金があるように見える人は、貧しい事も多い。バランスシートを見ないとサッパリ分からないですよね。きらびやかに見える人がいかに虚構の場合も多いのかという事…。
何かに囚われすぎると、破滅に向かう。そんな事もこの映画では伝えたいのかな。そんな気がした。
キラキラした部分と、暗い部分の対比も非常に上手だった。
彼は、自分の不安や孤独、そして満たされなかった想いを埋める手段として歌を選んだ。ある意味、囚われていた。その気持ちは非常に伝わる。彼のファンもある種、囚われていたのだろうと…。
黄色い女性たちの感性や、彼に釘付けになる聴衆らがそれを非常によく表している。
縋るものが必要な人は多い。しかし、それがいき過ぎるとどうなるのか…。破滅しかないのはエルヴィスが表している。
しかしながら、それを選んだのならばそれも不正解とは言えない。現に彼の歌で救われた人もいるだろう。それも人生。
彼はショービジネスに操られていたのか、否かそれは知る由もない……。
シェークスピアの有名な劇の中で、ある1つの台詞がある。
“All the world’s a stage,And all the men and women merely players.”
「この全ての世界は舞台である。そして、私達は単に演じているだけだ」
当然、エルヴィスも例外ではない。
私達一人一人が、舞台で演じているとしたらどうすれば良いのか。己はどこにいるのか。ただ単に演じるだけとしたら、それほどまでに虚しい事はないだろうと思う。
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