ドラマ『私のトナカイちゃん』
今回は、久々に最近観た海外ドラマの話を書こうと思う。
Netflixで配信されている『私のトナカイちゃん』(Baby Reindeer) という英国ドラマ。全7話で終わる点は観やすい。
とはいえ、テーマはずっしりと重かった…
けど、脚本が非常に良くできているから評価されたのもうなづけたし、引き込まれ目が離せなかった。
私は、実話を参考にしたストーカー物とだけは知っている状態で見始めたけれど随分と印象は違ったかな。
前情報として知っていたストーカー物というよりは、人が負った「傷」についていろんな角度から描写している社会派ヒューマンドラマと捉えた方が良いなと思った。
主人公はコメディアンを目指しているドニーという男性。売れないのでバーで働いている。ある日、客としてバーを訪ねたマーサという女性に少し親切にしたのがきっかけで、ストーキングされてしまう。
これだけ並べると、ストーカーをテーマにした怖い話と思いがちだけど、4話くらいから話が様変わりしてくる。それはある意味、ドニーをつけ回すストーカーよりも根深いテーマとも取れるであろう…
色々な闇が明らかになってくる。
ここら辺を書いてしまうとネタバレしてしまうから良くないので、あんまり書けない人も多いだろうし、だから「ストーカー物」と全面に出されていたのかなとも思える。
(こういう感じの脚本だと、話のメインはストーキング被害では寧ろなくて、単なる付け加えだろうな…)
ところで、この物語の制作、実際に被害にあった本人が書き演じているようだからすごい。
自分の心の痛みを吐き出すのは、一種のセラピーになるという考え方は英国では一般的なので、そういうひとつの活動だろうけど。
まあ、生々しい…
だからこそ作品に、血が通っている。
心に深い傷を負った経験があると、どうしてもそういう同類の痛みに敏感になる特性が生まれる。
社会や人から傷を負わされていない人には、決して分かることがない部分だけど、そういう箇所がこれでもかと作品に入っていて、胸が締め付けられる想いがした。
そういう感情を作品にのせてきているという点が非常に評価できる作品。
きっとこの作者は、深い傷と共に、そしてそれと向き合いながら、乗り越えて生活しているんだろうと思えるから後味は悪く感じなかった。
一定の人は、おそらく酷く堪える人はいるだろうリアルっぽい作り。
いろんな問題提起をしてるのに、グチャグチャとせず綺麗に7話にまとめているのがすごい。
重たいテーマが平気な人には、オススメできる作品です。
英語学習者は、Netflixなので英語字幕がつけれる点も良いです。丁寧な表現からスラングまで広くカバーされてる印象でした。
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観た海外ドラマをまとめています。
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