コラム:強迫さんと私
強迫性障害ってなんだろう?と聞かれたらどう答えればわかりやすいだろうか。
近年、特にコロナの流行とともに急激に流行り出した精神疾患の一つが強迫性障害だが、それを簡潔に説明するのは難しい。それに人によっても症状の度合いや内容は異なる。
私の場合は、強迫さんと私が自分の中で同居しているイメージだ。
トイレに行った後手を洗う。
手を洗っていると自分の中で2人の葛藤が始まる。
強迫さん:
「もっと丁寧に!いつものルーティーン思い出して!!」
私:
「もうこれで十分だと思うなー」
こんな感じのまるで天使と悪魔のような囁きが繰り返され、2人の折り合いがつくところまで強迫は続く。
終わりを迎える。
どっと疲れる。
そして、また強迫行為が始まる。そんな日々で体力的にも精神的にも削られていく病気だ。
強迫性障害は、よく自分で馬鹿馬鹿しいと思っていても特定の行為をやめられないという説明がなされている。
馬鹿馬鹿しいと思っているのが 私 で
それを振り切り特定の行為を続けることを強要してくるのが 強迫さん だ。
こうしてみると、強迫さんは悪いやつだ。
でも、それもこれも含めて自分だ。
だから私は強迫が悪さをしないように、まず強迫さんとなんだか一見愛らしい名前をつけて、歩み寄る努力をした。
これが私の治療の第一歩だった。