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だしまきたまご(何にもいらないよ、それだけでいい)

中学生の頃からだったと思う
だし巻きを巻くのが楽しかった。
母ではなく
祖母でもなく
私にたまごの巻き方を教えてくれたのは
祖父だった。

味付けよりも
何故だか巻くことが面白くて
何度も何度も
練習した。

そしてわたしの得意な料理の
ひとつとなった。

大好きな彼からの連絡
今日、家に来るらしい。
仕事も忙しく
正直めんどくさかった。

しんどいから、と言う
わたしの返事に彼は
〈何もいらないよ、だしまきたまごたけで〉
と答えた。

素直に作れなかった私。
自分の忙しさでいっぱいいっぱいだった。
いつの間にかうまくいかなくなり、
サヨナラした。

だしまきたまご、食べたい?
私の味をまだ覚えてますか?

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