⑫一体彼のどこが好きだったのか

私は一体、なぜ彼のことをそんなに好きだったのか。
時々考える。

好きな感情は理屈じゃないんだろうけど。なにか理由はあるはず。

まず、私は初めてあった時に彼の見た目が好きになった。
どストライクってやつだった。
いい年して、ひとめぼれに近かったかもしれない。
初めて会ったのは、知り合いに誘われて飲み会に参加させてもらった時だ。
参加者は10人くらいだったか。

彼は全員に慕われて(るように見えた)、彼はユーモアがあり、会話はテンポがよく、堂々として明るく、気遣いができて、とても人懐っこく見えた。
もし彼と一緒になったら、前向きに楽しく幸せに生きていけるんじゃないかと想像した。

でもその姿は、「よそゆき」の姿だった。
本当は、自分のプライベートを他人に邪魔されたくない、ただ、人とその場限り楽しく酒が飲めればいいと考えているだけなんだと思う。
私がその飲み会の後メールしても全く返事をくれなかった。

彼の職業。
日本人なら誰もが知っているようなところで働いていた。
能力と学歴を持ってないと就職できないような所。

ぶっちゃけ私は、正社員で真面目に働いていれば職業はなんでも良かった。
なぜなら、その前の彼氏がいい年して無職だったから。働く気もなかったニート。

比べる方が申し訳ないが。
でも、職業はなんでもいいと言いながら、彼の職は、興味を掻き立てる類のものだったのは確かだ。

後々、彼の知り合いや飲み友達のような人たちと会ったが、
「なぜこんなちゃんとした人が彼なんかと」と思うことが多かった。
それだけ彼は、外ヅラがいい。

彼は私の誘いを無視して、スルーすると前回書いたけど、それと同じ事を私以外の人達にもしていたのが後にわかった。
それでも、人が離れていかないのが不思議だ。
T氏(彼の友人)もそうだけど。
T氏は「みんな本当はうんざりしてる」とは言っていたけど、なんだかんだ言って離れていかない。

また、なかなか私に対して心を開かない彼に、ムキになっていたところもあるかもしれない。
何としてでも彼にこちらを向いて欲しいと。
私は彼に構ってもらうために、長い時間とたくさんのお金をつかったんだし。

彼の見た目にひとめぼれしたと書いたが、もし好きじゃなかったら、彼には悪いけど「キモいオヤジ」にしか見えなかったと思う。
気持ちが冷めそうになってからは、「なんかこの人、気持ち悪いかも」と思うことが多かった。
タバコを吸って、口を突き出してズルズル音を立てて酒をすすり、盛大にゲップをする。

彼を悪く書いてしまったけど、私は美人かブスかで言ったら確実にブスだ。
だから、こんなブスと二人で会ってくれるなんてありがたいと思っていたところもあるかもしれない。
こういうの、自己評価が低いというらしい。

まあ、とにかく、なんで私があんなに彼にこだわったのかというと、彼が私と付き合ってる風なのに、つかず離れずで嘘ついたり無視したり、私と向き合わないことが許せなくて、こっちを見ろ!と躍起になっていたからかもしれない。
そして時々彼は気まぐれで優しい事を言ってくれたりプレゼントをくれたりしたから、ひょっとしたらまだ希望があるかもと思ってしまい、私はしょっちゅう傷つけられて泣きながらも、なかなか彼のことをスッパリやめられなかったのだろうなと思う。

#依存 #変な彼氏 #冷たい彼氏 #恋愛 #エッセイ #過去日記 #元カレ #嘘つき #キモいオヤジ #自己評価が低い

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?