「消えものでない、本を贈ろう」
新生活に向けての大掃除。手を止めて自室をふと見回すと、統一感のある6畳間の中で、棚にささる本だけがその和を乱していた。
色も大きさもバラバラで、その背の文字は優しくなく、攻撃的であったりもする。
それは私もおんなじで、人を抱きめることもあれば、ときに人を傷つける。
いろいろな自分がいて、どれが本当の気持ちか分からなくなった時、乱れた心と、私の部屋の小さな棚に収まった本たちは
、なんだか似ているような気がした。
どんな言葉が自分の心に響くのかなんて、その時の自分でないと分からないから。だから私はたくさんの本と、新しい生活をはじめるんだ。