「できない」が言えない
できない、と言うことが苦手だ。できないであろう事でも引き受けてしまうし、5割しか終わっていなくても、進捗を聞かれると「だいたいできている」と答えてしまう。どうしてこのようなことを言ってしまうのかについてと、それに対して今後どうしていきたいのかを、備忘録として書いていきたい。
「最近どう?できた?」
長い脚を折り曲げて、椅子に座った私と同じ高さに目線を合わせている。人当たりが良く、物事を丸く収めるのが上手いと噂の人。今回私にも配慮してくれたらしく、にこやかにそう聞いてきた。
「あ、はい。だいたいは大丈夫です」
反射的にそう応える。迷う隙はなく、私の口は勝手に動いた気がした。確実に頭では考えていない。
それなら良かった、予定通りだね、と言ってすっと彼は居なくなる。私の頭の中には、ふつふつの嫌な感覚が湧いてきていた。
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5年くらい前、人から「お前がそこにいる価値は何なんだ?」と言われたことがある。ミーティング中、発言しない私にしびれを切らしたのだろう。その人は答えを求めていたわけではなく、真面目にやれよ!という感情を、私に刺さるように疑問形の言葉でそう言ったのだと思う。それでも私はその答えを今も探している。いちよう何個か見つかっているが、それが失われたなら価値が無い。存在価値がないのなら、死んでも仕方ないと思っている。
できない、できていない、という言葉は、人が自分に対して、"期待外れだった"、"無駄だった"と思うきっかけになるものだと思う。それは、自分には価値が無かったと宣言されているようなものだ。だから今回嘘をついて、できていないことを、できたと言ってしまった。
だがそもそも、頼まれたことをできないでいた自分が悪いわけで。また、過去に人から言われた言葉を呪文のように唱え続け、今もその言葉に囚われ続けている自分も、かなりの馬鹿だと思う。
これからは、自分の能力を理解してできないことは断り、またやるべきことは期限内に終わらせて、それが難しかったものに関しては素直にできなかったと言うようにしようと思う。改めて言葉にすると、あまりにもふつうのことで拍子抜けしてしまうが、今日こうやって整理をすることができて、本当に良かった。
本日もお読みいただきありがとうございました。次にすべき行動が、私の頭の中を穏やかに流れています^^