『PERFECT DAYS 』の木漏れ日
ある朝テレビをつけたら俳優の役所広司さんが「トイレの清掃員の役をしまして…」と話していた。
朗らかに話す姿が脳裏に焼き付いた。そして微笑みながら東京のあらゆる公衆トイレを見てきました、と言った。それだけで、素敵な映画なんだろうなと思った。
『PERFECT DAYS』
年明け、母を久しぶりに映画に誘った。
母と映画を見るのは何年ぶりだっただろう。
この映画を一緒に見にいけて良かったなぁと思う。
変わらないようにみえる静かな日々
その営みのなかに
少しずつ昨日とのずれを作りながら
変わらない日々を繰り返す一方で
変化の渦は現れそうになっては消えたりする
つながっているようで、つながっていない世界も
つながっていないようで、つながっている
それにはっと気づけたとき
断片的な出来事が全て繋がる映画だった
影と影が重なったとき
影踏みで笑いあったとき
丸バツゲームが完成した時
隣のベンチの人に会釈したとき
同じ音楽を好きだと聞いたとき
誰かを抱きしめたときに
笑顔になったり
照れ臭かったり
涙が溢れたりすること
それは
木漏れ日の、葉と葉が重なる一瞬のきらめきと
似ているのだと感じた
つながっているようで、つながっていない世界と
つながっていないようで、つながっている世界
光と影 鏡合わせの世界がゆらぎながら
いつもの日々が繰り返されていく
揺らがないスカイツリーのそばを流れる雲の影
それをただ見上げる人
自生している木や葉と同じように
一瞬一瞬の営みを続けながら
呼吸をして栄養をとりいれて生きる
そこに現れる木漏れ日のような瞬間に
人は涙するのかなと主人公の平山さんを見て思った
実家の湯船に浸かりながらそんなことを考えていたら
もう一度映画を見たくなってしまった
そんな映画でした。
2024年が心温まる一年となりますように。
本年もよろしくお願い致します。
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