沖縄の津堅島は、ひたすらぼーっと出来るステキな場所だった
津堅島は別名「キャロットアイランド」と呼ばれている。島内の8割は畑で、その内の6割はにんじん畑だ。観光地という感じではなく、小さい集落があり、のんびりとした時間が流れている。
沖縄本島の平敷屋港から高速線で30分。片道1000円もかからないで行ける津堅島は今、私が1番恋しい場所だ。
まだ長男が2歳の頃、2度目の沖縄旅行に出かけた。当時、そこまでお金はなかった私たちは沖縄本島から手軽に行ける島を探していた。その時、見つけたのが津堅島だった。
特にリサーチすることなく、近くにレンタサイクルがあるから島を自転車で散策してみよう!というくらいの感じだった。
3月の終わりだったが、その日は真夏の様な日差しだった。津堅島について、レンタサイクルの場所を探す。まっすぐ奥に歩いていくと「あずま商店」という小さな商店があった。レンタサイクルもありそうだ。1日500円で子供乗せ自転車もあったので自転車を2台借りた。
食事もしていなかったので、カップラーメンを買ってお店の前のベンチでお昼ご飯にした。なんだか、ちびまる子ちゃんの昔のオープニングであった「みつや」の風景にそっくりだった。今でも忘れられない。あの時のカップラーメンの美味しさは今までのベスト3には入るんじゃないか。
腹ごしらえをすませ、海が近そうだったので左回りに自転車を走らせた。島内1周のサイクリングに出発だ!小さい集落の中に学校があり、島時間が流れる小さな集落を抜けると目の前にビーチが広がっていた。
3月だからか、貸し切り状態。水温が少し低かったが、日差しは強かったので水着に着替えて海に入った。本島よりも濃い色のブルーがいつまでも続いている。このまま海にずっと入っていたら時間が止まっちゃうんじゃないかと思うくらい穏やかだった。海で遊んだりキレイな貝を見つけたり1時間ほどゆっくりとした時間を過ごした。
海から上がり、サイクリング再開!体が気持ちいい程度に冷えていて日差しが心地よく感じた。
大きなにんじんの灯台の横を通り、ハイビスカスを眺めながら道を更に進んでいく。
だんだん、木が生い茂り山道のようになってきた。すると、夫が「みてー!」と声をあげた。
夫の指をさす方には大人の拳くらいのヤドカリが!捕まえて長男に見せると大きさに少し怖がっていた。(後にそれはヤシガニだった事に気付く)。一気にジャングル探検のようになってきた。これは自転車で行って大丈夫なんだろうか。。という様な道が続く。
私は後ろに長男の乗せていた夫の自転車を心配していた。子供用な好奇心を持つ夫はヤシガニをまた探しながら自転車を押している。後ろの長男を忘れて落としてしまうのではないかとヒヤヒヤした。
無事、トンネルの様な木々の道を抜けると今度は広大な畑が広がっていた。
にんじん畑だ。
ジャングル探検の様な道中は上り坂だったらしく、にんじん畑はゆるやかなくだり坂になっていた。
見下ろす先は一面のにんじん畑。ワクワクしながらペダルを漕いだ。下り坂に身を任せ、思わず足を広げてスピードに身を任せる。
頭の中にはゆずの「夏色」が流れていた。
港に着き、津堅島一周のサイクリングは終わった。港には津堅島で取れたとても大きなにんじんが売られていた。津堅島のにんじんは2月〜4月がシーズンのようだ。お土産に買って帰り、滞在時間3時間ほどの津堅島を後にした。何だかわからないが、満たされた気持ちでいっぱいだった。
***
これが約8年前の出来ごと。私は今、1番ここに行きたい。その場で起きた事を本能のまま楽しめる津堅島へ。
コロナ禍になり1年以上経つ。家族を守らなきゃ行けないし、色々な「しょうがないよね」をたくさん飲み込んできた。出口の見えないこの状況。頭でわかっているのものの、心がついていかない現象が私の中で起きている。
心と頭をフラットにしたい。沖縄本島から手軽に行ける離島はだいたい制覇したが、あの時、津堅島で感じた満たされた気持ちが今の私には必要なんだと思う。
3人家族だったあの時から、4人家族になった。
またいつか、あの変わらない景色を見に沖縄へ行きたい。
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