太陽のパスタ、豆のスープ
私が私に殺されそうなときがある。
自尊心がじゅくじゅくと浸潤してきたり
差し伸べられる手を拒んで愛情を試してみたり
私のことなんて誰もわからない、と悲劇ぶったり
私が私を傷つけて、幸せから目を背けてしまう。
やらなければいけないことを必死に追っていくうちに
いつの間にか一人になっている。
だから、幸せだと断言できる覚悟に、一人でも立っていられる強さに、とても憧れるのだと思う。
*
「太陽のパスタ、豆のスープ」
美味しそうなタイトルとあたたかな黄色。
婚約破棄された主人公が、もう一度自分と人生について見つめ直す。なんてことはないストーリーだったけれど、言葉が瑞々しくて、自分と重なる部分も多くて、感想をnoteにメモしていた。
心に残っているのは、苺をぐちゃぐちゃにして、練乳を混ぜて食べるところ。
美しい苺のままじゃなくて、美味しく食べるには色々な味を足さなくちゃいけない。
理想と現実が分かってきて、折り合いをつけるのか
苦しさや孤独と引き換えに夢見る人のまま生きるのか。
後者がいいとかそんなことではなくて、きっとどちらを選んでも幸せになれるし不幸にもなれる。
選びとる覚悟と、高慢な自分に向き合うことと、正解にする強さを持っていれば。
複雑で芳醇な、色々なものが溶け合う味。
自分がのっぺらぼうなときには恐怖してしまうけれど、
ゆったり味わってくれる誰かがそばにいれば、私はまだ殺されない。
そして摘み取られた苺からすれば、
そんなことどうでもいいのかもしれない。
*
楽しむこと、長く続けること
私にとってはまだまだ難しいけど
まずは私を攻める私をスープに溶かして
今日のおひるごはんに食べてしまおう。
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