日々、というところに 今日も〈5〉
私の丸缶好きの始まりは、
祖父の傍らにいつも置いてあった
青いブリキの丸缶。
孫の私が遊びに行くと、
祖父は傍らの缶を手に取って、
フタを開けます。すると、
中から出てくるのは…
いつものあめ玉。
からいあめ玉。
(たぶん、大根しょうがあめ)
私の記憶の中で、
おじいちゃんと、からいあめ玉は、
丸缶と一緒に包まれて、
うれしくて、大好きな
記憶の包みになりました。
そして、その記憶は、
あたたかな温度を保ったまま生き続け、
大人になった今、
私は自分の丸缶、茶筒を、
つくってしまいました。
この茶筒をつくって下さったのは、
東京・浅草橋で120年以上缶の製造を
続けていらっしゃる加藤製作所さん。
日々磨かれてきた職人さんの技術、
仕事に向き合う心意気が
込められたモノは、
美しく、あたたかい。
手のなかに、すっと馴染んで、
日々にうれしいひとときを、
つくってくれます。
心地良くて、用もないのに、
ふたを開けたり閉めたり…
したくなります。
(もうおばちゃんと言われるくらい
大人になってしまったので、
やりませんが。)
祖父の日々にあった、
あの青いブリキの丸缶は、
私の記憶の中で
日々、生き続け、
私の日々に、
カタチを少しばかり変えて
やってきました。
そして、今日、
一緒に暮らしています。
……………………………………
「日々というところに今日も(1)」の
茶筒にも詩が付いておりましたが…
またこの茶筒にも、
詩が付いております。
毎日いろいろありまして
坂に 曲がりに 分かれ道
今日もがんばるあなたです
ちょっとひといき ほうとひといき
ここからあなたの とっておき
缶のふたをあけますと
ほうわり じんわり あたたかき
金色のひととき
ときどきだれかと
ときどきひとりで
しばしひととき とっておき
たのしき やさしき ごきげんな
金色のひととき
いつでもそばに ちょこなんと
ひといき ひととき とっておき
ささやかな 金色のひととき
今日も 明日も
ありますように
〈ちょこなんうさぎ より〉
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