![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/81629534/rectangle_large_type_2_d850643ab4439cf570fab986038c370c.png?width=1200)
Photo by
konohanoko
ガラス恐怖症
私はよくガラスを割ってしまう。
ガラスのコップを割ったのは数え切れないほど。
一番後悔したのは、甘酒の一升瓶をスーパーで割ってしまったこと。
雨の日で荷物と傘を手に持っていた。スーパーの棚の間の通路を歩いている時に誤って傘の先が甘酒の瓶に当たってしまったのだ。
「ガッシャーン」
私の周りからみるみる人が居なくなっていく。
ここで困ったのは店員さんを呼びに行くのにそこを離れなくてはいけないことだ。
逃げたと思われるのも嫌だし、誰かが破片で怪我をするのも怖い。
かと言って、モップも雑巾も持ってない私は片付ける術もない。
頭の中で数秒考えた。心臓はバクバクしているし、みんなに避けられて悲しい気持ちもある。それを押し殺して考える。
その時、たまたま近くを店員さんが通った!
1、2歩踏み出して声をかける。
店長さんだったようでものすごく冷静で素早い対応だ。インカムで掃除用具を持ってきてと伝える。「すみません、すみません」と平謝りをして、一緒に片付ける。「弁償します」と伝えると「結構ですよ、大丈夫です。」と言ってくれたがやはりそうはいかない。「いや、申し訳ないです、払わせてください。」と食い下がる。
店長さんは片付けながら「本当に大丈夫ですから。お買い物を続けてください。」と優しいお言葉。
ずっとそこにいるのも邪魔になるだろうし、悩んだ末にお言葉に甘えた。お礼を言って近くに並んでいた高級桃缶を3つカゴに入れて会計をした。
割れた甘酒と同額の何かを買いたかった。
それ以来、私がその店で買い物する頻度は増えた。少しでも売り上げに貢献したいという気持ちから。
一面ガラスの窓やガラス食器のお店を見ると、あの時の背筋が凍った思いが蘇る。
私はガラスを破りやすい。
そう肝に銘じてこれからも生きていく。