スーパーで足が止まった話
好きなこと。思いもよらない場所で気が抜けている時に好きな歌が流れてくること。
今日はスーパーで好きな曲が流れてきた。レジに向かう時間を少しずらして最後まで聴く。
耳心地がいい。
高校生の頃、好きなアーティストが新曲を出すその日を心待ちにしていた。
CDショップのフリーペーパーに曲のリリース日が書いてある。スマホがなかった時代の大切な情報源だ。
今みたいにYouTubeがないから、発売前に聴くことはできない。
発売後、CDを買えばいつでも聴くことはできる、が、
発売前やCDを買うお金がない時、
音楽番組に出演するのを待つか
有線で曲が流れるのを待つか
ラジオでかけてくれるのをリクエストするか
そんな手立てしかなかった。
レンタルは人気のアーティストほどすぐに借りられてしまう。
高校の帰り道、駅ナカの小さな靴屋さんの前を通ると、ゆずの新曲がかかってるではないか。
16:30。制服姿の私は靴が並べられた棚の前でじっと耳を澄まして聴いていた。
なんてラッキーなんだ。
その瞬間にそこに居合わせたのが奇跡のように嬉しい。そんなふうに新曲を待ち侘びたあの時の気持ち。
今日、スーパーで10代の頃に戻ったようにじっと聴き入ってしまった私だった。