【沖縄】忘れられない空がある。
忘れられない空がある。
これは私が好きなドキュメンタリー番組『アナザースカイ』の一節です。
ギリシャのサントリーニ島で見た夕焼けや、マルタ共和国で見た朝焼けなど、絶景的な意味での“忘れられない空”もいくつかありますが、今回は違う意味でのその空について語らせてください。
人生初の沖縄、人生初のひとり旅
私は10数年前、人生初のひとり旅で、初めて沖縄へ行きました。
宿泊したゲストハウスに南京虫が発生していたことをチェックアウト後に知ったり、台風で1日ずっと宿にいることを余儀なくされたりと色々ありつつも、自分が沖縄にいるという事実だけで嬉しかった記憶があります。
これらはほんの一部ですが、私は約1週間で沖縄本島の様々な場所を訪れました。
そんな中で、一番印象的だったのがこちら。
旧海軍司令部壕
ここは沖縄戦の海軍重要拠点であり、日本海軍が終わりを迎えた場所でもあります。
まず最初に足を踏み入れるのは資料館。当時は戦地の兵士から家族への手紙が何通か展示されていました。娘は元気か、いい子にしているかという父の顔が垣間見える部分は特に切なくて、気づけば涙目に。
引かれるのを覚悟で言いますが、実は今も少し泣きながらこの文章を書いています。あの文面を思い出してしまうと、もうだめですね。
気分は最悪
資料館を見終えた後は、いよいよ壕の中へ。はっきり言って、めちゃくちゃしんどいです。暗くて、狭くて、重くて、怖い。気持ち悪い。吐きそう。閉所恐怖症ではない私でも発狂しそうになりました。誰がいつ過呼吸になってもおかしくないほどの、異様なまでの圧。
ただそこにいるだけでも気分が悪いのに、将校が手榴弾を使って自決した部屋など、生々しい展示を見ると余計に息苦しくなってきます。来たからにはちゃんと目に焼き付けたい、けど直視するのは辛い。その繰り返しでした。
思わず叫び出したくなるような衝動を抑えながら前へ進むと、ようやく出口の案内が。やっとここから出られる、とホッとしながら外へ。
そこには、とてもきれいな青空がありました。
あそこまで瞬間的に平和を実感したのは初めてで、しばらく空を眺めていました。私はあの時の開放感と強烈な空の青さを、生涯忘れることはないでしょう。
沖縄、その後......
それから戦争の歴史に興味を持った私は、いくつかの戦争関連スポットへ行きました。
ゆくゆくは沖縄にあるひめゆりの塔と、鹿児島にある知覧特攻平和会館へも行くつもりです。
また今年の2月には、念願のアウシュヴィッツ・ビルケナウ博物館(ポーランドにあるユダヤ人強制収容所)へ行ってきました。
唯一の日本人ガイド、中谷さんを3時間半も独り占めできたのは、本当に幸運だったと思います。2人きりだったので、アウシュヴィッツ以外にも現在の世界情勢や歴史について話したことはとても貴重な経験になりました。
「30年以上ここでガイドをしているけれど、正直この活動がどこまで平和への抑止力に繋がっているのかわからないんだよね......」と中谷さんは仰っていましたが、私はやはり知ることは大事だと思います。
戦争を知らない私たちが、その歴史を次世代へ語り継いでいくためには、まずは知ること。感じること。
そう思わせてくれたのは、あの日の青空です。
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