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【雑記#7】 FF7クラウド・ストライフという男について:頑固で一途な少年の数奇な旅路(ネタバレあり)
こんばんは!
2024年も残りわずかですね。今年は2月末に『ファイナルファンタジーVII』のフルリメイク作品『ファイナルファンタジーVII リメイク』に続く第二弾となる『ファイナルファンタジーVII リバース』が発売されました。
(以下それぞれFF7、FF7R1、FF7R2)
※タイトル画像はスクエアエニックス公式ページより(https://www.jp.square-enix.com/topics/detail/2781/)
本編だけでも大ボリュームだったこちら、ワールドマップの探索やサブイベントを隅々まで楽しもうと思うと、200時間や300時間があっという間に溶けてしまう恐ろしいゲームでありました。
さて、FF7R2では原作ファンお待ちかねのゴールドソーサーが解禁され、セフィロスそっちのけでチョコボレースやクイーンズブラッドのコーナーに入り浸っていた方も多いのでは?
また、原作当時からプレイヤーに大きな衝撃を与えたメインキャラクターの一人であるエアリスの死を迎えるシーンもあり、話が大きく動いた作品でした。
しかーし!
FF7の醍醐味はここからといっても過言ではありません!!
(エアリスの死を軽視するわけではありませんよ)
なにしろ続く物語の終盤では、いよいよ主人公クラウド・ストライフの正体が明かされるのですから。
27年前、幻想的な精神世界で鮮やかに回収された数々の伏線とクラウドからティファへの一途な思いの深さに胸打たれた人も多いでしょう。あの時から比べて、関連作品が数々世に出たことでFF7の世界は随分と進化してきたと思います。グラフィック面は当然のことながら、開発陣はクラウド・ストライフという男のキャラクター造形に磨きをかけてきたと私は感じています。
グラフィックの進化とキャラクター表現の変化
FF7原作が初代プレイステーションで発表された時、広く立体的な世界を自由に動き回るキャラクターの姿に驚いたものです。ゲームの世界に「奥行き」が付与された瞬間だと思いました。
(Nintendo 64で発売された『ゼルダの伝説 時のオカリナ』の立体感もすごかった。Z注目!ヘーイ、リッスン!)
ここぞというムービーシーンではリアルな頭身のキャラクターの美麗な映像が流れ、いくつものシーンが忘れられない体験になりました。
しかしながら、「表情のあるキャラクター」はつまりは「自我のあるキャラクター」です。コントローラーを握っているプレイヤーが怒りを感じるシーンで、操作キャラクターが笑ったとしたらどうでしょう?
操作キャラ=自分というつもりでゲームをプレイしていたとすれば、没入感を削ぐことになりかねません。
FF7は、「操作キャラ=プレイヤー」というそれまで一般的であったゲーム体験とは異なる角度を攻めた作品です。プレイヤーは、あくまでもクラウド・ストライフに寄り添い、その選択と旅路を見届けることしかできないのです。
プレイした人であれば誰でも思い当たるはずですが、FF7原作でもFF7R2でも、クラウドがうまく操作できなくなる演出がありましたね。あのシーンは、内側からセフィロスに乗っ取られつつあるクラウドの異常さを演出するものでしたが、物語後半に向かうにつれて、クラウドはプレイヤーからますます乖離していきます。クラウドはプレイヤーとは別個の存在であり、彼には彼の思惑と人生があるのです。
それでも、ローポリゴンゆえに表情の変化に乏しく、その時々の感情を表現することの叶わなかったFF7原作では、プレイヤーは各々の妄想をクラウドに仮託することができました。
しかし、FF7R1、FF7R2ではそれはできなくなったと言わざるを得ません。両作におけるクラウドは非常に表情豊かで、視線も含めて感情がよく顔に出ていた印象があります。さらに、原作との大きな違いは「声がついたこと」です。
それによって、クラウドが何を感じているのかについて非常に決定的な演出が可能になりました。
元の人格を取り戻していない段階ですら、クラウドの感情に関していえば、プレイヤーの想像が入り込む余地はほとんどないと思います。
(クラウドの感情とは明言されていなかったと思いますが、実際に開発陣がインタビューで「プレイヤーの想像の余地をかなり減らすことになる」と言っていましたね。)
FF7R1から続く、「世界線の分岐」という点に関しても、「星の運命の分岐」はあったとしても「感情の分岐」はあり得ないと私は考えます。メタ的な理由としては、単純に「感情の分岐を無理なく無駄なく矛盾なく表現するのが限りなく難しいから」ということに尽きます。
ティファが好きかも、エアリスが好きかも、ジェシーが、ユフィが、いやバレットが…プレイヤーの操作次第でそんなフラフラした行動を取ってきておいて、成立する物語ではないのです。分作ということもあり、FF7R1から最終作まで、プレイヤーがどんな選択肢を選んだとしても、全ての組み合わせでクラウドというキャラクターが成立する脚本と演出になっているはずです。
また、よく引き合いに出される『ドラゴンクエスト5』の花嫁選びですが、勇者を生み出すために必要だったのは魔物使いの天分と天空人の血筋で、ビアンカを選んでもフローラを選んでも、選んだ花嫁が天空人の血を引いているという流れになるので、ビアンカとフローラは物語上完全に代替可能です(デボラ登場作品は未プレイのため言及しません)。
しかし、FF7に登場するキャラクターたちはそれぞれ固有の役割があり、皆それぞれに代替不可能なのです。
クラウドの性格
では、クラウドとはどんな人物なのか?
FF7原作ではクールでカッコつけな面がよくクローズアップされていたように思いますが、リメイクプロジェクトの彼はむしろ不器用な優しさやちょっと抜けてるところがよく目につき、好ましく思いました。
FF7原作では、ゲーム前半においてのクラウドは、パートごとに分担して別の人がシナリオを書いたためにややチグハグなキャラクターになった、と開発陣は述べています。「その時点ではクラウドは偽りの人格だった」という設定とマッチするのでまあいいかとなったそうです。
そのせいもあってか、クラウドというキャラクターが何を考えているのか、あまりヒントがなかったように思います。
しかしながら、FF7原作が世に出てからはや27年…たくさんの関連作品が発表され、だんだんとクラウドのキャラクター像が確固たるものになっていったような印象を受けます。
FF7の主な関連作品の歴史でクラウドの心情をたどる
1997年1月 ファイナルファンタジーVII (FF7)
2005年9月 ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン(FF7AC)
小説『On the Way to a Smile』
2006年4月 ダージュ オブ ケルベロス -ファイナルファンタジーVII-(FF7DC)
2007年9月 クライシス コア -ファイナルファンタジーVII-(FF7CC)
2009年4月 ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン コンプリート(FF7ACC)
2020年4月 ファイナルファンタジーVII リメイク (FF7R1)
2021年7月 小説『Traces of Two Pasts』
2022年12月 クライシス コア -ファイナルファンタジーVII- リユニオン (FF7CCR)
2024年2月 小説『英雄へ続く2千ギル』
2024年2月 ファイナルファンタジーVII リバース (FF7R2)
多いですねー笑
FF7ではプレイヤーの選択次第で、クラウドが誰に優しく接するのかがある程度コントロールできました。しかし、物語終盤でクラウドが「空っぽの操り人形」ではなくなった時から、プレイヤーとクラウドは乖離していくのです。
「興味ないね」と冷たく言い放ってたクールな野郎が「みんな行こうよ」とか言うんですからね。そのギャップたるやすごかったですよ。子どもの頃からの想い人であるティファに対しても途中までは結構きつい態度で接していたわけですが、実際はみんなびっくりの超激重感情を彼女に抱いていたのがのちにわかりますしね。
FF7ACではそのティファと同じ家に暮らし、小説『On the Way to a Smile』では同衾らしき描写があります。同小説では、FF7の最終決戦後にクラウドがティファに対して「これからはティファとずっと一緒」というようなセリフを言います。もうこれプロポーズだろ。
FF7ACでは病に侵されていた時期にクラウドは家を出ていますが、その一年後を舞台にしたFF7DCでは熟年夫婦のようなやり取りがあります。
FF7AC(2005年)のリメイクとも言えるFF7ACC(2009年)で追加されたシーンで、(おそらく)クラウドは親友ザックスの形見であるバスターソードを、エアリスがいた教会に移します。命を落としてしまった2人がせめて一緒にいられるようにという、クラウドの気持ちの表れのような気がします。
この重要なシーンの追加の背景には、FF7CC(2007年)の存在があるのではないかと私は考えます。この作品の中で、主人公ザックスは想いをよせるエアリスに「会いにいく」と約束し、無謀とわかっていながら彼女の待つミッドガルへと向かい、そしてミッドガルのすぐ近くで残念ながら亡くなります。最後の戦いの結末を知っている状態で、ザックスゆかりの人たちの力を借りて技を放つDMW(デジタルマインドウェーブ)の演出は号泣ものでした。エアリスに会いたくて会えなかったザックス。ザックスに会いたくて会えなかったエアリス。その2人がライフストリームで一緒にいるのを目にして、クラウドは嬉しかったんじゃないでしょうか。彼らの大切な友として。幻のような花畑でクラウドがエアリスを「母さん」と呼んでしまうシーンがありますが、クラウドはエアリスに深い敬慕を抱いていたのではないかなと思います。ザックスの前で見せたエアリスの素の姿は、内気で自信なさげな少女のようでした。ザックスみたいに変わりたいと努力して外の世界で頑張っている、私の目にはリメイクシリーズのエアリスはそんなふうに映りました。ザックスとエアリスが同じような仕草をし、同じようなセリフ(有名な「デート1回!」以外でも、戦闘ボイスなどで多くの類似点を見つけられます)を言うんですよね。エアリスは決して強い人でも積極的なタイプでもないわけです。FF7R2の中でも、「(普段の積極的な振る舞いは)かなり無理をしている」と本人が発言する上に「ぐいぐいいくタイプでしょ?」というサブキャラの質問に不本意そうなリアクションを返します。エアリスは「天真爛漫で積極的に物事を楽しむタイプ」ではなく、「本来内気で自信がないタイプだけど明るい自分を頑張って演じている」んだなと思いました。実はクラウドとエアリスは似たもの同士なのかなって感じですね。
FF7CCでさらに深く描かれたFF7の物語を踏まえて、その先の関連作品は描かれていくことになります。
「なんでも屋」としていろんな人の困り事を解決するというサブイベントとの整合性ゆえかもしれませんが、リメイクシリーズのクラウドはかなりお節介で優しいです。いやいややっているという体を取りながらも、子どもたちには格安で依頼を引き受けるなど、隠しきれない良い人っぷりが出ていました。なんというか、誠実なんですよね。適当に話を合わせたり流したりしないで、誰に対してもきちんと応えようとする。不器用だったり言葉足らずな面はありますが、優しい人なんだなという印象でした。
FF7R1で意外だったのが、クラウドが普通にティファに対して下心を抱いているところです。
やり取りのなかった間の話を聞かせてほしいと言うティファと部屋で2人きりになった時、確実に期待してましたよね。何かが起こるのを。ティファに近寄る男にいちいち威圧的な態度を取ったり、思春期ボーイが炸裂していて面白かったです笑
FF7R2発売前に、ぜひプレイしてほしいと開発陣が猛プッシュしたのが、FF7CCのリメイク作品であるFF7CCRです。FF7R2前に美麗になったグラフィックでザックスの思いと生き様を見届けてほしい、そんなメッセージと私は受け取りました。正直なところ、セフィロスの変貌やニブルヘイム事件に深く関わるはずのFF7CCRのストーリーラインはFF7R2とそれほど関連があったとは思えませんでしたが(ツォンはクラウドの顔知ってるはずなのにスルーなのはなぜ?とかニブルヘイムの魔晄炉にはジェネシスも来ていたはず、とか)、ザックスのかっこよさが伝わればヨシ!なのだと思っています。シスネがFF7R2に出てきて嬉しかったですが、彼女の再登場は単なるファンサービスでないと次作で明かされるのを楽しみにしています。
FF7R2は本当にイベントが盛りだくさんでしたね!
発売前に目玉とされていたゴールドソーサーのデートイベントは随分な気合いの入りようでした。ティファとのデートでキスするシーンに衝撃を受けましたよ。27年越しのキスにおめでとうの声が世界中で飛び交いました。このキスに辿り着くまでにも色々ありました。コスタ・デル・ソルでのサブクエストでは蟹が苦手であることをティファに白状したばかりか、あまつさえ「もっとティファの手料理を食べておけばよかった」などと言い出すのです。付き合いたてか?
(このクエストはエアリスとのクエストと連動して発生するのですが、「デートクエスト」と強調されるもののそちらではクラウドが終始きつめな態度をとっていて、おま、もう少し言い方!ってなりながらプレイしてました…)
ティファの水着姿にポーッとなるシーンがあるんですが、小説『英雄への二千ギル』でよその女性のあらわになった胸元に少年クラウドは嫌悪感を示します。小説『Traces of Two Pasts』でも書かれていたように、ニブルヘイムは古風な価値観の残る村ということなので、その辺も関係があるのかなと思います(奔放な女性に慣れていない)。また、こちらの小説ではセフィロス率いるソルジャー一行がニブルヘイムを訪れる際に村で用意していた炊き出しの準備中に、クラウドの母は「息子がティファにだけソルジャーになる夢を明かしていたこと」を知ります。久しぶりに帰郷した息子が一般兵の制服を着て打ち沈んでいるのを見て、彼女は何を思ったのでしょうね。この前提情報があると、クラウド母の「あんたにはちょっと年上でぐいぐい引っ張ってくれるお姉さんが合ってる」というセリフの意味合いが少し変わってきます。発破をかけようとしたのか、諦めろと暗に伝えたかったのか──この辺りもリメイク第三弾で明らかになると嬉しいですね。
ゴールドソーサーのデートイベントでは、クラウドを各キャラクターの一対一(または一対三)での関わり方を見ることができます。年下のユフィに対してはおふざけに付き合ってあげたり、バレットとは腹を割って話したり。エアリスとのシーンでは、FF7原作のシーンとほとんどセリフが同じで、それでいてエアリスの「ね、クラウド、私あなたを探してる」が「ね、私、あなたを探してる」に変わっていたのが気になりました。目の前にいるから呼びかける必要がなかった? あれほど彼の名を連呼していた彼女が? 「あなた」って一体誰なんでしょうね。もしそれがザックスへ当てた「手紙のような気持ちの吐露」だったら……泣いちゃいますわ。「本当のクラウド」に宛てた呼びかけなんでしょうけど、どうしてセリフが変更されたのかなーって考えると、ダブルミーニングの気配をちょっと感じました。FF7原作から新たに追加されたギ族の里を訪れた際に、ライフストリームを介して別世界線のザックスの存在をエアリスが感じ取るシーンがあります。ゴールドソーサーのデートイベントはその後なので、いつもと全く違う、切なくも美しい表情を浮かべたエアリスが「ザックスに会いたいという願い」を再認識したのかも…と思いました。セトラの力を持つ彼女がザックスの生死についてどう考えているのか私にはあまりわからなかったので、続編でそこも知りたいです。
ティファとのデートシーンではキスが話題になりがちですが、その前のエアリスの歌唱シーンで舞台袖の2人が手の甲を触れ合わせてから手を繋ぐシーンに私は驚きました。あの触り方は完全に誘ってます。ラインを確かめてるんです。キスそのものよりもなんならエロティックな演出だなと思いました。お互いに好意を抱いていると暗に示す態度がいちばんエロいと思いますので。
もちろんFF7は恋愛ゲームではないので、どの関係性がより優れているとかはないのですが、主人公クラウドの正体の鍵を握るという意味で、ティファの存在はやはり重要だなとFF7R2で改めて思いました。
ただ、ティファだけでなく、ティファを含めて全ての人たちとの関わりの中で、クラウドは変わり、人間的に成長します。全ての出会いが大切なのです。そこに優劣をつけられない、気持ちを簡単に切り替えられないのがクラウドという人なのだと思います。その誠実すぎる性格が、FF7AC/FF7ACCである意味あだとなったのかもしれません。
誠実な男、クラウド・ストライフ。長々と語ってしまいましたが、彼を一言で言い表すならこれでしょうね。
精神の最奥でクラウドをさらに知る
FF7R2中盤のゴンガガでは、セフィロスによる支配が強まるクラウドがティファに危害を加えそうになり、その結果ティファはライフストリームのなかに落ちてしまいます。そこでティファは子どもの頃の思い出を一つ取り戻します。
まるで原作の精神世界の予行演習または先取りのようなシーンでした。FF7原作の精神世界では山で転落事故に遭ったティファを助けられなかった後悔からクラウドは彼女を守れるくらい強くなりたいと自分自身に誓います。誰にも明かしたことのない秘密の誓いです。ティファも知らなかったその誓いを取り戻すことで、クラウドは自分の中心にあるものをはっきり認識できるようになり、元の人格を取り戻す、そしてティファもまた自分も忘れていた思い出をクラウドと一緒に取り戻す…これがFF7原作の話の筋でした。クラウドとティファの記憶がなぜ食い違っているのか、5年前のニブルヘイムにいなかったはずのクラウドがなぜ事件の詳細を知っていて、あたかも自身が経験したように振る舞うのか。この大きな謎を、鮮やかに解いて見せたのが精神世界です。ゲーム史に残る屈指の名シーンだと思います。しかしながら、1997年時点から表現されてきたように、記憶の答え合わせが精神世界の主題ではないのです。
Who am I ? がFF7のテーマの一つです。
(BGMにも同名の曲がありますね)
「セフィロスを倒し星を救う外側の物語」と「クラウドが自分自身を取り戻す内側の物語」が複雑に絡み合いながら同時に進行していくのがFF7の物語の魅力だと思います。
この「内側の物語」を内包することこそがFF7の特色であり、最も優れた点だと私は思います。「己を己たらしめるのは一体何か?」は万人に共通するテーマだからです。
「きみはもうクラウドになったかい?」
FF7原作のキャッチコピーですが、これはダブルミーニングで、「きみはもうFF7をプレイしてクラウドとして世界を旅したかい?」と「きみのプレイしたクラウドは本当の自分を取り戻したかい?」両方の意味が込められていると個人的に思っています。
FF7の物語は「クラウドの弱さ」から始まったと言えると私は思います。彼がその心の弱さゆえに魔胱/セフィロスに精神を蝕まれなければ……ifを考え出すとキリがありませんが、あの物語は始まらなかったのです。
等身大の弱い人間が、それでも目の前の困難に向かって顔を上げる瞬間にこそ、人は胸を打たれるのだと思います。長年続くクラウドの人気の秘訣は、その美しい顔立ちでも大剣を軽々と振り回すかっこよさでもなく、この「弱さ」と「弱さを克服しようという彼の誠実さ」にこそあるような気がしてなりません。
(FF7に限らず創作のキャラクターは大抵強くて美しくてかっこいいですからね)
そして、弱さと誠実さを同時に持つクラウドだからこそ、さまざまな危難を自分ごととして責任を感じてしまい、時には潰れそうになってしまうのです。
(そう考えると、親友ザックスの死を真に認識した時にクラウドはどれほど大きなショックを受けるのだろうかと少し心配になるくらいですね。)
私の個人的な考えですが、「己を己たらしめるもの」は「自分自身との誓い」に他ならないと思います。
人に教えていなくても、大声で吹聴していなくてもいいのです。自分の中で静かに光る理想の像、そこへ至る旅路をいく覚悟そのものが「自分」という存在の核なのだ、と。
クラウドの「誓い」の根幹にあるのは「ティファを守りたい」という思いです。
クラウドが魔胱に負けたのは2回。ニブルヘイム事件で母親や多くの村人と共にティファを失ったと思った時(FF7原作、リメイクプロジェクト共通)、それとセフィロスの揺さぶりをかけられたティファから自分がクラウドであると信じてもらえなかった時(FF7原作)です。
前者はティファを肉体的に、後者は精神的に失ったとクラウドが認識しています。
FF7R2のゴンガガで、ティファは「クラウドは自分が守る」と宣言します。直前のライフストリームのシーンを経て、目の前のクラウドは確かに自分の知るニブルヘイムのクラウドであると彼女が確信したというシーンでした。ここをさらに揺さぶって、一度は信じてくれたティファから不信を向けられる展開になるのか、クラウド自身が自分の存在を疑う展開になるのかが個人的に気になっています。
ティファは信じてくれていてもクラウド自身が己の核をはっきりと持てていなければ、自己を取り戻すことはできないと思うので、原作とは異なるこちらの展開もありありのありでは!? と思っています。
FF7AC/FF7ACCに続く物語であると考えると、自責思考が強く抱え込みがちなクラウドのキャラクター像(「一緒に解決策を考えよう」と歩み寄るティファに対して「俺の問題だ」と突っぱねるなど)にも合致する気もしますしね。
ですので、「内側の物語」のクライマックスたる精神世界がリメイクプロジェクトの第三弾でどのように描かれるのか、私は本当に楽しみです!
ちなみに、よく見かける「ループものである」という考察に私は否定的です。時間は都合よく戻らないからです。主人公たちがほとんど死んでいるであろう500年後の緑に溢れたミッドガルの姿が出てくるのがFF7原作のラストシーンです。セフィロスとJENOVA、そしてライフストリームを大量消費してきた人間によって傷つけられた星がゆっくりと再生している様子が示唆されていますよね。星のも時間が流れている。
生き物はみな死んでいくんです。例外はありません。だからこそ、生きているうちに精一杯頑張るしかないんです。
命を大きなテーマに据えたFF7原作のリメイクで、この点を覆すような真似はしないのではないでしょうか。
(過去に戻れるなら、ニブルヘイムでセフィロスを止めればいいし、神羅や宝条博士の悪行を阻止すればいいと思います。仮にループものであるなら、なぜこれらの根本的解決策を取らないのかの理由が合理的かつ理論的に作品内で描かれる必要だと私は考えますね)
世界設定やら何やらでもっと語りたいことはあるのですが、このnoteは「コンピレーション含めて全ての作品内描写を統合してクラウドの心情を自分なりに整理する」ことにフォーカスしているので、ここでは触れないこととします。
おわりに
ゲームはプレイしてなんぼです。モブたちの会話からなる街のざわめきも、いちいち何かにつけて雄弁なクラウドの視線や表情も、広大な世界に足を踏み出した時の高揚感も、文章や他人の動画では味わえません。
また、このnoteは、資料に逐一当たったわけではなく記憶と勢いで書いたので間違い等あったら申し訳ないです。なので、ぜひぜひご自分でプレイして自分だけのゲーム体験を積み重ねることをお勧めしたいです。
昔の攻略本風に言えば「この先の冒険は君自身の目で確かめてくれ!」というやつですね。
私は、FF7R2のワールドマップを全て探索し、神羅課長を含めて全てのサブイベントをこなし、全キャラクターの好感度をMAXにしましたが、トロフィーコンプリートはまだなのです。
(バトルがね…)
お正月休みの間にもう一回トライしてみようかなと思っています。
長くなってしまいましたが、これにて超個人的なクラウド語りを終わりたいと思います。
では!