認知症と警察官
我が家の隣の敷地には、個人所有の畑があります。
一軒家を建てるのにも十分な広さの畑です。
その横に所有者の自宅があり老夫婦が住んでいます。
ここが村だった頃からの地主さんのようで、今では周りは住宅地となっていますが、昔は畑が広がっていたらしい。
四方を住宅に囲まれた、そのおじいちゃんの畑では、毎日のように枯葉や枝、畑で熟した果物などが野焼きされて、もくもくと煙が立ち込めるのです。
風向きによっては、灰が我が家のベランダまで飛んできていたり、洗濯物に臭いが移ったりしています。
窓を閉めていても、煙の臭いは部屋に侵入してくる日々で、仕方なく警察に電話をしたことがありました。
電話をすると、すぐに警察官がやってきて、野焼きを消火するのですが、次の日になればまた煙の臭いが襲ってきます。
嫌がらせ?とも思ったのですが、警察官曰く、おじいちゃんは認知症で注意されたことをすぐに忘れるため、昔の習慣だった野焼きを繰り返してしまうのだと。
家の中にも張り紙をして野焼きしないように努力されているみたいです。
それでも、やめられない野焼き。
煙が出始めると、誰かが通報しているようで頻繁に警察官がやって来ます。
特に、乾燥している日などは近隣に延焼しないだろうかと心配になりますが…
野焼きの近くに座り込んで、おじいちゃん自身が煙で燻製されているんじゃないかと思うぐらいじっとしています。
何かを思い出しているのかな?と切なくなりました。
認知症のおじいちゃんと警察官のやり取りは今日も続きます。
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