恋人よ、僕は旅立つ。
聞いたこと、
聴いたことのあるフレーズですね。
そうです。
木綿のハンカチーフ。
ふと、このフレーズを思い出して。
文をしたためます。
ほんの数年前、
私は恋人の元を旅立つ決心をしました。
そう、就職です。
少し遡ると、
恋人が私の恋人になったのは、
私の鬱が2回目に悪化した時です。
そしてあなたは大学生。
私は無職の社会人3年目になる頃でした。
大学生のあなたは、
俺がさ、ちゃんと働くから。
もう無理して、働かなくていい。
一生働かなくていいから。
って、よく言ってくれました。
何言ってんだろな。
君、大学生だよ?
社会に出て、働くのって、すごくすごく
大変なことなんだからね。
言わないけど、心の中で思いました。
でも、
すごく嬉しかった。
自分一人でも生きてくのが辛いのに、
私の分も背負ってくれようとするんだな。
それが例え現実的ではないかもしれなくても、
嬉しかった。今でも覚えてます。
だから私はバイトの身で、
あなたとたくさん色々なところに
行きました。
石垣島、山梨、静岡、
長野、栃木、茨城、群馬、千葉。
漢字にしてしまうと、
なんだから急に余所者みたいですが、
あの時、行った親しみの地です。
貧乏でした。
いつも車を運転してくれるあなたは、
お金がないから、割り勘でごめんね。
そういって、少し情けなさそうに笑う。
それも好きでした。今も好きです。
ごめんね、私もだよ。
歳上なのに、割り勘で。
気の利いた会話さえ、
うつの私には難しいのに。
たくさん色々なところに連れて行ってくれて、
ありがとう。
そうやって、
ちゃんとあなたに伝えたかも分かりません。
ごめんね、ありがとう。
当時は、
ありがとうより、
ごめんねと、
謝ることが多かったかもしれない。
色々なところに出かけて、
そして喧嘩もして、
私は少しずつだけど、元気になった。
再就職を考えました。
私は恋人が、
そして友人が、
社会に出て、
働いていること、
苦しんでること、
それらさえ、
すごく羨ましく思えた。
私には、
出来ないのか。
葛藤した。
バイトでもいい。
パートでもいい。
そうやって、
あなたは言うけれど、
もしあなたに何かあったら?
あなただって、
仕事を辞めたくなることが
あるかもしれない。
そんな時に、
あの時の私にかけてくれた言葉を
今度は私が言ってあげたい。
大丈夫、働かなくてもいいんだよ。
悲しいけど、
そのためにはお金が必要です。
不労所得があれば、いいんだけどね。笑
旅立ちの決意をしました。
あなたは
なんで働くの?
別にいいじゃん、今のままで。
そう言いました。
私がまた社会の中で、
辛い思いをして、
あんな風になってしまうのが怖かった。
そうでしょう。
あとは、意外とやきもち焼きなので、
会社の男性と関わるのも嫌だったとか、
なんとか。
いけない、これは秘密にしておいた方が
よかったかな。
恋人よ、僕は旅立つ。
でもね、
木綿のハンカチーフを聴いて
泣いたりしないで。
恋人よ、僕は旅立つ。
けれども、
私はあの歌と違う道を辿るから。
あなたのことが大好きで、
忘れたりしない。
変わっていく僕を許して、
そして変わらない僕を許して。
旅立つ。
旅立つけれど、
あなたの隣には変わりないから。
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