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schooで学ぶユーザーインタビュー【設計編】

先日schooにて「よりよい体験設計のためのUXリサーチ」の授業を担当させていただきました。多くの方にご参加いただき、質問やコメントもリアルタイムでお寄せいただきありがとうございました!有料会員の方は録画が見られるそうですので、ぜひ気になる方はご覧ください。

このnoteでは、授業で解説した私のユーザーインタビュー設計方法をご紹介していきたいと思います。schooにて「新規登録者が離脱する理由を明らかにする」という架空のリサーチプロジェクトがあったとして、具体的にどうユーザーインタビューを設計するかみなさんと一緒に考えていきました。(※schooで実際にこのような課題や事実があるわけではなく、インタビュー設計のプロセスを具体的にイメージしていただくために仮にこのような設定をおかせていただきました。)

2つの思考法

まず、大きく分けると以下2つのやり方があります。それぞれメリットデメリットがありますので詳しく説明していきます。

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トップダウンで考える

これは問いから仮説をブレイクダウンしていく方法です。ここでは「新規登録者が離脱する理由を明らかにする」を問いとして、UXを「利用前」「利用中」「利用後」「利用時間全体」という4つの期間で捉えるUXタイムスパンをフレームワークとして活用しオレンジの付箋で記載しました。(UXタイムスパンについて詳しく知りたい方はUX白書をお読みください。)
このように既存のフレームワークを使うのはおすすめです。そこから、例えば「利用前」にまずフォーカスしたとして、「操作がわかりづらいのでは?」といった仮説を思いついたら黄色い付箋で下に書いていきます。私はmiroを使いましたが、ホワイトボードやメモ帳への走り書きでも構いませんし、ロジックツリーやマインドマップなどで整理してもいいと思います。

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この思考法のデメリットとして、自分の仮説やフレームワークの粋を出にくく発散しづらい点を考慮する必要があるでしょう。また、仮説ドリブンで質問を考えていくので、どうしてもインタビュー全般に仮説が強くにじみ出てしまう場合があります。そうすると誘導的なインタビューになってしまいかねないので注意しましょう。

ボトムアップで考える

一方、ボトムアップではフレームワークや軸などは置かずに明らかにしたいことや仮説をひたすら書き出していきます。カテゴリなどは考慮する必要はないので、とにかく質より量でまず出しましょう。

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次に似た質問をグルーピングし、ラベルを付けていきます。ここではトップダウンの例と同じくUXタイムスパンの「利用前」「利用中」「利用後」「利用時間全体」を横軸で整理したうえで、更に縦軸を「サービス全体」「授業」「UI」と分類してみました。そして俯瞰して見てみると、空白のエリアが目立ちます。例えば「サービス全体×利用中」や「授業×利用前」は何か仮説はないかな?と考え、また付け足していってもいいでしょう。

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このように、ボトムアップで整理をすると「サービス全体」「授業」「UI」のように新しい軸が生まれることが良い点です。トップダウンに比べると、発想が広がりやすい方法だといえるかもしれません。

このトップダウンとボトムアップはどちらが正解というわけではなく、状況に応じて上手く組み合わせることで質問の発散と収束を繰り返していくのがおすすめです。わたしはチームみんなでボトムアップで考えていくワークショップを企画することも多いです。

仮説を質問に変換する

次にこれまで考えてきた仮説や明らかにしたいことを質問に変換します。ここではトップダウンで考えた仮説(黄色い付箋)に、対応する質問(緑の付箋)を書き加えています。

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この時、以下に気をつけてみましょう。

①仮説を直接聞かない
これは私観測史上最も多いNGパターンです。仮説を直接聞いてしまうと、誘導的な聞き方になってしまいます。例えば「授業がわかりづらかったから離脱してしまったのでは?」という仮説があったとします。それを直接聞いてしまうと、誘導になってしまいます。そこで「授業どうでしたか?」と抽象的な質問に変換し、そこから具体的に知りたい「わかりやすさ」という観点について深堀りしていくほうがいいでしょう。

✕ 「授業がわかりづらかったですか?」
◯ 「授業はどうでしたか?」

②オープンクエスチョンを活用する

Yes/Noで答えられる質問をクローズドクエスチョン、逆にYes/Noで答えられない質問をオープンクエスチョンと言います。上の授業の例では「授業がわかりづらかったですか?」は「はい/いいえ」で答えられるのでクローズドクエスチョン、「授業はどうでしたか?」は「面白かったです」などと「はい/いいえ」ではない答え方が期待されるためオープンクエスチョンにあたります。

「授業がわかりづらかったですか?」→ クローズドクエスチョン
「授業はどうでしたか?」→ オープンクエスチョン

クローズドクエスチョンがNGというわけではないですが、オープンクエスチョンのほうが話が広がりやすいのでうまく活用していきましょう。

③5W1Hで広げる
おなじみの5W1Hで質問を広げていきましょう。例えば上記で挙げていたように「授業はどうでしたか?」と聞くと、漠然としすぎて答えに困ってしまうこともあるかもしれません。そのような場合に以下のように5W1Hで深堀りしていくといいでしょう。

When / いつ → 「いつ受けたのですか?」
Who / 誰が → 「先生はどなたでしたか?」
What / 何を → 「どういったテーマだったのですか?」
Who / どこで → 「どこで受けましたか?」
Why /(なぜ)→「どうして関心を持ったのですか?」
How / どのように → 「授業を受けてみてどのように感じましたか?」

ここで Why / (なぜ) とカッコをつけたのは、「なぜ」を直接聞きすぎないように注意しなければならないからです。「なぜ」と問われると人はつい論理だった説明をしようとしてしまったり、そもそも「なぜ」「なぜ」と問われ続けると詰められているようで不快に思ったりもします。そのため「なぜ」を問うよりも、「いつ」「どこで」「どのように」などと過去の具体的エピソードを聞き出して、そこから理解を深めていくほうがいいかと思います。

有名な話として、お皿の商品開発のためのグループインタビューの話があります。色や形が個性的なお皿とシンプルな丸い白皿を見てもらった上でどちらがよいかをインタビューすると、みんなが個性的なほうを選び賞賛していたものの、インタビュー終了後に「ひとつ持ち帰っていいですよ」と伝えるとみんな家で使いやすいシンプルな皿を持ち帰ったそうです。ユーザーインタビューで重要なのは、ユーザーが「こうありたい」と取り繕った説明を聞くことではなく、普段の素顔の行動を引き出すことです。

質問を並び替える

そして最後に質問(緑の付箋)を答えやすい自然な流れに並び替えます。いきなりサービスに関する本題を聞かれるよりも、自分自身の話のほうがしやすいのでまずはじめに個人的な質問を並べてみたり、サービス利用のエピソードを思い出しやすいように時系列で並べてみたりと工夫します。

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これでインタビュー項目は完成です!あとはスプレッドシートやdocsなどに整理して当日読みやすいように整理すると良いでしょう。また、はじめから完璧なインタビュー項目など出来るはずはないので、インタビューを繰り返して項目を足したり削ったりとアップデートしていくことも重要です。

ご紹介したのはあくまで私なりのやり方ですが、ご参考になれば幸いです。もっと詳しく知りたい!という方はschooの授業第2回目で解説していますのでぜひ御覧ください。インタビュー後の分析についてはこちらのnoteにまとめましたのでこちらもあわせてぜひ!

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