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このように学びは大きかったのですが、1台でも多くパソコンを売るという使命には、どうしても感情的にコミットできませんでした。感情的なコミットメントがなければ、がんばる原動力がありません。ガス欠です。

そんな状態でしたから、仕事に結果を出せず、評価も芳しくありませんでした。入社10年をすぎて、はじめて仕事で自信を喪失しました。

そして、こんなことを考えるようになりました。

一台でも多くパソコンを売ることの意味ってなんだろう?
上司が売上目標を達成して出世するため? 
日本法人はアメリカ本社の100%子会社。私たちが必死で働いた成果は、つまるところアメリカに召し上げられる。お金持ちの株主の配当金が増えるだけ? 
私の仕事は、いったい誰の役に立っているのだろう? 
お客さんにとっては、パソコンなんてどこのメーカーでも同じなのでは?
そもそも、私がこの会社で働きつづける意味はなんだろう?

自分が好きではないことをやらなければいけない状況になって、初めて視座が高くなり、自分が働くことの意味や目的、社会に果たす役割について、真面目に考えるようになったのです。

また、この時期は昇進についてもよく考えました。

同期入社の中には、30代半ばで抜擢されて部長になる人も出てきました。昇進したことを嬉しそうに話してくれたし、友達としてとても尊敬しましたが、私は昇進に強い憧れを感じることはありませんでした。

IBMは、早くから職場のダイバーシティに取り組んでいて、施策として女性の管理職を増やそうとしていました。でも私があこがれる女性リーダーはいませんでした。

2万人も従業員がいるのに、女性が活躍しているのに、会社の中にロールモデルが見つかりませんでした。男女ともに、だれもが忙しそうで、数字を追いかけていて、幸せそうに見えなかったのです。


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