臓器をひとつ失くした話[1]告知からのjapanrumble
〈写真は手術前に撮った傷跡のない胸元〉
この話はノンフィクション。どこにも書いてないし、ネガティブと面白要素ハーフandハーフな話です。レゲエ好きの末路話です。こんな闘病記録もあっていいじゃない?!
2年前、たまたま受けた首のMRIに白い影がうつった。まん丸の、ゴルフボールぐらいの塊が、私の喉元を圧迫していた。それをみた整形外科の先生は、一瞬かたまっていたけど、[これはなんですか??]私がストレートに聞くので、先生は何も答えず、すぐに別の病院の紹介状を書いてくれた。
それから1週間後、向かったのは甲状腺科。しかし、血液検査の腫瘍マーカーの数値が悪く、そのクリニックでは私の症状を扱うことができず、東北で一番大きい病院へ行くことに。
診察の結果、言われたのは。
甲状腺がんの疑いがあります。すぐに精密検査と、手術が必要になる可能性があります。
シングルマザー、息子一人、35歳。
サウンドクラッシュjapanrumble 2019が来月に迫っていた5月。
え、まって?それってサウンドクラッシュ行けるかな?
がんの疑いでここまで医者から迫られてるのに
サウンドクラッシュの心配が頭に浮かんだ私。
唐突に出た言葉が、
[先生?それ、延期したいんですけど。]
もうダメだ。完全にレゲエ大馬鹿野郎だよ。狂ってる。自分で発した言葉に自分で引いた。
こういう時って、死の恐怖がチラついたり不安で泣き崩れたりするもんだと思っていたけど違った。私は、ジャパンランブルに行けるかどうかしか考えてなかった。
患者を動揺させまいと深刻な表情で告げる医者と、ジャパンランブルの心配をしている患者。その会話をひたすらカルテに打ち込む助手。
精密検査だけを先行させることを決めて、その日は退出した。
多分3分ぐらいだったけど、1時間分ぐらい色々考えた。会計後、一応母親に報告した。
案の定、電話口で泣き崩れるうちの母親。だけど、やっぱりどうしても私はジャパンランブルに行きたい。
母親は泣いていて何を言ってるか聞き取れないぐらいだったけど、私の頭の中ではずっと[ララベラリディム]が鳴っていた。jah〜♪ そう、尼崎のサウンドemperorの anthem。
突然、命の危機宣告をされたことで、逆にレゲエスイッチが入った。危機管理意識バッチリだ。
ほかのダンスは我慢できても、日本のチャンピオンサウンドを決める戦いをこの目で見ないわけにはいかない。もし、本当に悪い結果だったとしても、ジャパンランブルに行かずに死ぬのだけは嫌だ。
この時ほど自分のレゲエ魂を感じた事はあとにも先にもない。こうして、私は医者のすすめを押し切り、ジャパンランブルに行くことに決めた。
しかし、病状は私が思っていたより悪く、進行が早かった。
続く。
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