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今週のサステナブルNews!

9月は、世界中のファッションショーやClimate Week関連のイベントのみならず、サステナブルなビジネス関連も動きが激しい。

今週のサステナブル・ニュースは、広告、リセール、リバース・ロジスティックスをトピックとして挙げる。


WoolmarkのWOW!な広告

人々の目に留まるサステナビリティ関連のコンテンツなどを作る事はとても難しい。そのトピックに興味関心があると質問したら答える人でさえも、実際に気にしてみたり、考えたり、行動を起こす事とは別だからだ。

だが、今月始まったウールマーク(WOOLMARK)の広告は、まさにワオ!
最後まで見たくなる展開で、メッセージ性もとても良く、頭に貼りつく。

(羊毛は、広い土地を使用し、砂漠化を進めるなどといった問題もあるため、(認証などがないものを含む)全体を見たときに、必ずしも環境負荷が低い素材という事は出来ないが、今はそこには触れないでおこう。)

この動画をまずは見てほしい。

最後のメッセージはこうだ。

EVERY SYNTHETIC GARMENT EVER MADE STILL EXISTS IN SOME FORM. 
HAUNTING OUR PLANET
WOOL IS NATURAL, RENEWABLE, BIODEGRADABLE, AND THE MOST RECYCLED APPAREL FIBER
WEAR WOOL, NOT WASTE
WOOLMARK

これまでに作られたすべての合成繊維の衣服は、まだ何らかの形で存在しています
私たちの惑星に漂っているのです
ウールは天然で、再生可能で、生分解性であり、最もリサイクルされているアパレル繊維です
ゴミではなく、ウールを着てください
ウールマーク

WOOLMARK

2030年までに、合成繊維は、世界の衣料品生産の7割以上を占めるようになると言われている。一度生産された衣服は、人々の手から離れたとしても、埋立地やグローバルサウスにわたり、幽霊のように消えることなく、この世界を荒廃させていく。
そんな様子を映画さながらに表現しているこの広告を作成したのは、英国の20(SOMETHING)というクリエイティブ・エージェンシーだ。

多くの人が注意深く気に留めないテーマでも、見せ方次第でその行動は変わる可能性を示している。

COACHTOPIAがインスタント・リセールを開始

Coachの循環型サブブランドであるCoachtopiaは、米国のデジタル再販市場で首位(19%の市場シェア)*のPoshmarkとパートナーシップを組み、インスタント・リセールを開始した。

Sourcingjournalより写真引用

プロセスとしては、こうだ。
1)Coachtopiaローンチ当初から付属されているデジタルプロダクトパスポート(NFCチップ)に携帯をかざす
2)個別の商品情報や環境負荷削減情報などが記載されているページが表示され、「Resale with Poshmark(Poshmarkで再販する)」というボタンが表示される。

NFCチップを携帯にかざすと表示される画面(筆者持ち物)

3)再販するボタンをクリックすると、Poshmarkのサイトに遷移する

60秒で簡単に再販のために出品できることを推している

4)Nextをクリックすると出品ページに詳細や写真が既に記載されているので、Suggested Price(参考出品価格)を参考にしながら、販売したい金額を追加し、出品完了といった具合だ。

Poshmarkの出品ページ

これにより再販の手間が省けるため、購入者は、商品を手放す際に、次の人へ渡す(販売する)という選択をする人が増加する事を目的としている。
Sourcing Journalの記事によると、これにより、ブランドは、どの商品が再販され、どの様な循環をたどるのか、などといったデータを入手できるようになるという。

現在多くのブランドが、様々な方法でリセール市場へ参入しているが、まだ最適な方法は見つかっていないようだ。自社のオンラインサイトで自社製品の再販をしているブランドは、サイトへトラフィックを誘導する事に苦戦している。
米国最大手の再販デジタルプラットフォームであるPoshmarkは、既にCOACHブランドをフォローしている人々が多く、COACH商品のC2C(個人対個人)売買が盛んなため、再販されたCoachtopia商品が多くの目に触れる事は間違いない。
COACHTOPIAが取った戦法は、果たしてモデルケースになれるだろうか。

H&Mがリセール店舗を拡大

PariのH&M店舗
(写真参照)fashionunited.com

H&Mがリセールのリアル店舗を拡大中だ。

2019年には、リセールサイトSELLPYを買収し、ヨーロッパでは主にオンラインで再販ビジネスを行ってきた。また、アメリカでは、昨年THREADUPのリセール・アズ・ア・サービスを活用し、THREADUPで回収したH&Mの服を自社のオンラインで販売してきた。

店舗としては、今年2月、NYのソーホー地区に、新しいコンセプトのH&Mをオープンした際に、店舗内に大々的なリセール区画を設けたのが初めてだ。
それから1年以内に、パリの百貨店LAFAYETTE店舗含む2か所、アントワープ、ストックホルム、ベルリンと、一気に5か国5店舗に拡大した。

H&Mのリセール店舗の特徴は、自社製品の古着だけではない事。ラグジュアリーブランドを含むキュレーションされたお洋服が並ぶ。価格は8ユーロから300ユーロ。毎週新しいリセールアイテムが追加されるという。

自社店舗内でのリセール販売の流れがH&Mに限らず、世界中で拡大中だ。

返品無料の終焉か?ASOSが新たに有料返品企業の仲間入り

(写真参照)https://www.retailgazette.co.uk/

増え続ける返品率、それに伴うコストと温室効果ガス排出量の増加。それらを削減するために、ASOSでは、返品頻度の高い顧客に手数料を徴収する事を決めた。

市場によって施策は異なるが、英国ではH&MやUniqlo、Boohoo、New Lookといったようなブランドが、既に返品無料を廃止している。

ASOSが実施する有料返品については、返品頻度が高い顧客の定義は定められていない。だが、THE GUARDIANの記事によると、一般的には、10アイテム注文した内、9つを返品すると頻度が高いと言われているとの事。

この返品頻度が高い顧客の一度の注文の内、£40分を手元に残さない限り、返品には£3.95の手数料が請求されることになる。

この手数料は、年間日£9.95を支払っているASOSプレミア会員であれば、£15分の商品を手元に残しておけば、手数料が請求されることはない。

ヨーロッパでは有料返品が進んでいるようだが、米国ではまだ進んでいない。これも、各地域での環境に対する意識や、成熟度の違いによるものだろうか。



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