髙橋三保子

言編み人/ライター/エディター/エッセイスト。北海道生まれ、図書館そだち。通信社記者を…

髙橋三保子

言編み人/ライター/エディター/エッセイスト。北海道生まれ、図書館そだち。通信社記者を経てフリーランス11年目。執筆は日本文化や人事・HR領域など。人や組織のストーリーを引き出すインタビューが得意です。 https://lit.link/mihokotakahashi

マガジン

最近の記事

  • 固定された記事

あなただけのストーリー、見つけます【プロフィール/お仕事のご相談について】

「言葉」には、人を動かす力があります。 あなたの物語、あなたの会社・商品のストーリーを言葉の糸で編んで、必要な人のもとへ届けることができれば、きっとあなたの周りの世界が変わりはじめます。 はじめまして。言編み人(エディター/ライター)の高橋三保子と申します。 通信社記者を経て、2012年からフリーランスライター/エディターとして活動しています。 ★どんな人?子供のころから文章を書くことが好きで、どうすればわかりやすく、面白く相手に伝えることができるかということを、ずっ

    • 子どもと離れて、気づくこと〜夫婦の時間、親子の心

      子どもらが空手の合宿に出かけ、夫とふたりの週末。 家の中がしんと静かで、耳が痛いくらいです。 自家農園のとれたて野菜を食べさせてくれるレストランで、ゆっくり時間をかけて食事をしました。 野菜の元気が体の中に入ってきて、心身をきれいに洗ってくれるみたい。 そうして、少し余裕が生まれた状態であたりを見回すと、ふだんとは違う景色が見えてきます。 春から新しい生活が始まって、夫も、私もそれぞれにあわただしく、子どもに対しても、どこかあせって余裕のない接し方をしていたと気づい

      • 夏着物でお出かけ〜お茶の稽古から「徳川美術館展 尾張徳川家の至宝」展(サントリー美術館)

        8月最後のお茶の稽古。 半世紀前、母が着ていた夏着物に、紅葉の名古屋帯を合わせました。 着物の生地はシャリ感のある素材で、おそらく正絹100%ではないのですが、麻にしてはやわらか。 素材は母にもわからないそうですが、きっと、昭和の頃に流行したサマーウールや、化繊と綿や絹の混紡に類する着物ではないかなと推測しています。 いずれにしても、現代ではなかなか出会えない楽しいお着物。大切に着てゆきたいです。 お稽古は水差しや柄杓を使わず、お盆の上で点てる盆点前。 正式なお点前を簡

        • ふだん着として浴衣を着てみた、この夏の自由研究まとめ【不器用さんのための、7つの小さなコツ】

          夏休みも終わり。 子どもたちが一生自由研究をまとめているので、私もこの夏のまとめを。 今年の夏は、家にいるときもちょっとお出かけのときも、できるだけ毎日浴衣や夏着物で過ごしてみました。 「やるぞ」と決めて変えたというよりは、身体が心地いいほうを選んでいったら、いつの間にか着物の日のほうが多くなっていたという感じ。 毎日着物や帯を選ぶのは大きな楽しみだし、帯が体幹を支えてくれるので自然と背すじが伸びて、腰まわりが楽。 風を通しつつ、全身をやさしく包んでくれるので、エアコンの

        • 固定された記事

        あなただけのストーリー、見つけます【プロフィール/お仕事のご相談について】

        • 子どもと離れて、気づくこと〜夫婦の時間、親子の心

        • 夏着物でお出かけ〜お茶の稽古から「徳川美術館展 尾張徳川家の至宝」展(サントリー美術館)

        • ふだん着として浴衣を着てみた、この夏の自由研究まとめ【不器用さんのための、7つの小さなコツ】

        マガジン

        • 子どもと一緒に育つ
          35本
        • お茶の時間
          16本
        • めぐる季節
          23本
        • 絵のない美術館
          29本
        • 旅の記録
          37本
        • 大好きなnote
          7本

        記事

          美術館で、滝の音を聴く〜根津美術館「美麗なるほとけ」展

          根津美術館の企画展「美麗なるほとけ」を観にゆきました。 コレクションの中でも、特に希少な仏画を集めた展覧会です。 印象に残ったのは、国宝「那智瀧図(なちのたきず)」(右の絵葉書) 熊野那智大社では滝が御神体なので、山水画のように見えるこの作品も、れっきとした宗教画なのです。 画面の前に立つと、耳の奥で勢いよく滝壺に落ちる水の音が聴こえ、水しぶきを含んだ冷たい風が画面から吹いてくるよう。 理由はわからないけど、手を合わせたくなるような威厳があって、自分の中が洗われていく感

          美術館で、滝の音を聴く〜根津美術館「美麗なるほとけ」展

          高雄曼荼羅の宇宙〜神護寺 空海と真言密教のはじまり展(東京国立博物館)

          東京国立博物館で開催中の「神護寺 空海と真言密教のはじまり」展へ。 関西に住んでいたとき、きっと行こうと思いつつ、時間切れで辿り着けなかったお寺のひとつが神護寺でした。 だから、関東にいながらご本尊をはじめとする寺宝の数々にお会いできる展覧会を、とても楽しみにしていたのです。 「神護寺」の文字に迎えられて会場内に入ると、秘仏、弘法大師像が出迎えてくれます。 空海直筆の品や、空海が師匠から拝領したと言われる法具なども展示されていて、密教の世界へと誘われます。 空海が灌頂とい

          高雄曼荼羅の宇宙〜神護寺 空海と真言密教のはじまり展(東京国立博物館)

          作り手の思いを着る〜着物の愉しみ

          着物で過ごす日が増えて、布というものに興味を持つようになりました。 絹と綿、麻の違いを知識として何となく知っていても、身にまとったときにどう違うのか、以前はあまり深く考えていなかった気がするのです。 正絹の着物のひんやりした手ざわりや、包み込まれているという安心感。 綿が肌に触れるときのやさしさ、吸水性。 麻の風通しのよさ、ざらっとした特有の風合い。 同じ原料の布でも、紡ぎ方や織り方によってさまざまな種類があり、日本各地に産地があることも、全然知りませんでした。 それ

          作り手の思いを着る〜着物の愉しみ

          きものであじさいドライブ

          紫陽花の季節。 梅雨入り前というのに、関東は30度を超える暑さです。 これはお気に入りの、紫陽花柄の浴衣を着るときが来た!と思い、いそいそと着替えて、朝の涼しいうちに出かけてきました。 着物で運転するの、初めてで少しドキドキしたのですが、草履を脱ぎ、裾をからげ、帯はぺたんこの「カルタ結び」にし、袖をたすきがけしたら、洋服と同じ感覚で運転できました。 最初の目的地は、埼玉県加須市の玉敷神社&玉敷公園。 春は藤、夏は紫陽花、秋には銀杏の紅葉と、四季折々の自然を楽しめる場所

          きものであじさいドライブ

          「もの」たちの気配に耳を澄ませる〜「民藝 MINGEI 美は暮らしの中にある」展から日枝神社・神幸祭へ

          「民藝 MINGEI 美は暮らしの中にある」展(世田谷美術館)へ。 「美しさ」に対する価値観が引っくり返るような、素晴らしい経験でした。 このレポートが、これから訪れる方の参考になればうれしいです。 帰りに立ち寄った銀座でラッキーなことが起こったので、その出来事についても書きました。 百人一首が刻まれた「いらかみち」をたどり世田谷美術館へ 会場は、用賀駅からゆっくり歩いて20分弱、砧公園の中にある世田谷美術館。 バスも出ているようですが、気候もいいので、歩くことにしまし

          「もの」たちの気配に耳を澄ませる〜「民藝 MINGEI 美は暮らしの中にある」展から日枝神社・神幸祭へ

          私たちはどこから来て、どこへ行くのか〜「法然と極楽浄土」(東京国立博物館)

          東京国立博物館で、「法然と極楽浄土」展を見てきました。 法然の一周忌につくられた阿弥陀如来立像や、 法然の生涯を描いた国宝の絵巻、 浄土信仰の聖地、奈良・當麻寺に伝わる曼陀羅、 狩野一信が増上寺に寄進した「五百羅漢図」、 香川・法然寺の仏涅槃群像など見ごたえたっぷり。 濃密な時間を過ごしました。 印象的だったのは、當麻寺の曼陀羅。 浄土宗のお経「観無量寿経」を描いたもので、中将姫が蓮の糸で一夜にして織り上げたという伝説が残っているそう。 奈良時代に織られた原本(ご本尊の

          私たちはどこから来て、どこへ行くのか〜「法然と極楽浄土」(東京国立博物館)

          新茶で味わう春〜「茶の湯の美学」展から銀座の隠れ家「茶の葉」へ

          三井記念美術館「茶の湯の美学」展へ。 利休、織部、遠州にゆかりの品々が展示されています。 シンプルな道具だからこそ、美意識の違いが際立ってわかりやすいです。 利休好みのごつごつした樂茶碗でいただくお茶は滋味深そうだなあ…とか、 遠州さんが愛した唐物天目はゴージャスで、抹茶の香りが引き立ちそう…などと想像するのも楽しいです。 銀座に移動して、約束まで少し時間があったので、ふらりと松屋へ。 新茶の季節だなあと思いつつ、地下のお茶屋さん「茶の葉」の前を通りかかると、店の片隅に暖

          新茶で味わう春〜「茶の湯の美学」展から銀座の隠れ家「茶の葉」へ

          子どもとハイキング〜新緑の秩父・寳登山神社から長瀞・岩畳へ

          家族でハイキング。 早起きして、秩父の寳登山神社へ向かいます。 華やかな彫刻が施された麓の本殿から、子どもでも歩きやすい道をゆっくり1時間、満開のツツジを愛でつつ登っていきます。 奥宮まではロープウェイでも登れますが、ロープウェイが動き出す前の時間帯は人も少なく、清々しい空気の中を歩くことができました。 山頂の奥宮は、静寂に包まれた浄らかな聖地。 1900年前、日本武尊(ヤマトタケル)を山火事から守ったという御眷属の山犬さまが、お社をしっかりと守っています。 山頂でひと

          子どもとハイキング〜新緑の秩父・寳登山神社から長瀞・岩畳へ

          藤の樹の下で〜あしかがフラワーパーク・奇跡の大藤

          今年も会えました。 あしかがフラワーパーク、樹齢160年の大藤。 大きく広がった枝から長く伸びた花房が、日差しに照らされてきらきら光っています。 人の手でこの場所に移植され、大切に世話されてきた老木。 枝の下でたくさんの人が笑いさざめいていることを、喜んでいるみたいでした。 園内は大藤のほかにも、たくさんの藤やツツジが咲き乱れ、色彩がまぶしいです。 パークいっぱいに広がる、甘い花の香り。 天国ってこんな場所かもしれない、と思いました。 お土産は足利名物古印最中と、子

          藤の樹の下で〜あしかがフラワーパーク・奇跡の大藤

          新緑の森で深呼吸〜自転車でめぐる武蔵丘陵森林公園

          新緑の武蔵丘陵森林公園へ。 アイスランドポピーにルピナス、ネモフィラも見頃です。 東京ドームの65倍という広大な敷地。 丘陵という名の通り坂道も多いので、電動自転車を借りてサイクリングしながら花畑をめぐります。 園内には自転車道が整備されていて、とても走りやすいのです。 木もれ日の下、緑の風を感じ、鳥のさえずりを聞きながら走るのは本当に清々しくて、森に抱かれているような安らぎを感じます。 ハーブガーデンの近くでおにぎりを食べていたら、尻尾が青色に光るトカゲの赤ちゃんが靴

          新緑の森で深呼吸〜自転車でめぐる武蔵丘陵森林公園

          土公神の休日〜畑仕事の愉しみ

          朝から畑仕事。 本来なら、土公神がつかさどる土用の期間なので土いじりはのぞましくないのですが、4月23、24、27日は土公神が天上界へ出かけてお留守なので、特別に土を触っても大丈夫なのだそう。 くわで土を掘り起こし、雑草の根を取り除くと、ダンゴムシやアリたちが大慌てで逃げていきます(ごめんね)。 野菜の根っこを食べる幼虫たちにも移動してもらって、土に石灰や肥料を混ぜていきます。 2年目なので、いつどんな虫や鳥が出てきて、どの植物を食べてしまうかも何となくわかってきました。

          土公神の休日〜畑仕事の愉しみ

          お茶室に、春

          お茶の稽古。 朝早くお邪魔したら、まだほかの生徒さんがみえておらず、久しぶりに先生のお点前を拝見する幸運に恵まれました。 さくら色の着物に、若草色の帯を締めた先生が旅箪笥の前に座ると、お茶室の畳の上に、春の野原が広がっていくよう。 一切の無駄がなく、どこにも不自然な力が入っていない、流れるような所作にうっとり。 いつまでも、ずっと見つめていたくなります。 湯気の立つお茶碗が「どうぞ」と置かれるまで、一連の動きが舞踊のように美しく、ほーっとため息が出ました。 ほかの生徒さん

          お茶室に、春