学校で発生した問題は、どこに相談したらよいのでしょう・・を打開するために~私と「学校教育」と政治(試行錯誤編)~!
この記事で伝えたいこと
これまでも諸問題を抱えてきた日本の学校教育現場は、このコロナ禍によってあらゆる場面で問題が健在化しています。
特に流山市は教員不足が深刻化しており、学習内容にとどまらず、先生、生徒双方の心身状態にも影響を及ぼすものとなっています。解決事例が少ない難しい問題ですが、あらゆる立場と向き合うことで地道に試行錯誤を重ね、根本的なところから打開していきたいと考えています。
【問題】:学校で発生した問題をどこに相談したらよいか分からない保護者が増えている。
【なぜ?】:学校は効率的な運営ができにくい鍋ぶた組織。教師は個人の力で頑張ることで成長する風土が長年定着しているため、頑張る方向が実社会の常識とはズレるケースも散見される。結果、当事者間(教師、生徒、保護者)でも何が問題なのかかみ合わず、問題が複雑化深刻化することも。
【どうする?】:教育現場の働き方改革を進め、効率的なマネジメントができる組織づくりを実施することで、教師の時間的余裕と心理的安全性を生み出す。
まずはこの根本的な問題が改善できるよう、めざす教育を「より自分らしく生きる」に、教育大綱にウェルビーイングの概念を導入します。
多くの保護者からの声。近藤みほさん、私は、学校で発生した問題を誰に相談したらよいのでしょうか。
学校で「おかしいな」「困ったな」と思うことが発生した時「どこに相談したらよいのか分からない・・」という声です。代表的な声と場面はこちら。
・先生方は現場で頑張ってらっしゃるのですが、何が問題かを理解いただける方が現場には少ない(いない)のでは?
・特に学校の行事活動の練習などで、生徒の身体に過度な負担を強いる場合がある。生徒が疲れたと発言したり、従わなかったりすると、注意を受けてしまう(先生方からは子ども達の精神的身体的負担が見えにくい、行事への参加姿勢にしか目が向いていないのではないか)
・子ども達もその場の雰囲気に押され、本音や本心は出さない。出したとしても「自分勝手なことを言うな」という注意を受けた結果、同調バイアスしか働かない。軍隊教育のイメージが頭を過ぎるほど。
なぜ、このような状態が発生するのか?
頑張る目的が、いつのまにか実社会の常識とは違う教師が育ってしまう組織文化だからです。教師によっては何が問題なのかが、保護者とまったくかみ合わないケースも発生しています。
私はこの8年間、学校と保護者の間(通訳的役割)に入りながら、先生方がどうしてそのような価値観をもつのか、なぜ保護者とかみ合わないのかを、先生、保護者それぞれと向き合うことで原因を紐解いてきましたが、組織がはらむ問題が大きいと感じています。
子ども達の教育に目が行き届くよう、先生の余裕を生み出すことが重要だと認識した私は、「教員の働き方改革」について以下の取り組みを行ってきました。でも残念ながらこれだけでは改善していません。
中間管理職がいない、いわゆる鍋ぶた組織の問題
これは8年間、場合によっては学校の先生と行動を共にし観察しながら辿り着いた、現時点での仮説です。
ITエンジニアとして勤めていた古巣での人事に関する知見が大いに役立っています。
民間の健全な会社であれば、経験が浅い新人の頃から管理職の指導をあおぎ、試行錯誤しながらキャリアを積みます。しかし学校運営上、法律で規定されている管理職は、たったの2人(校長先生、教頭先生)。問題が多発すればパンクする、中間管理職がいない、いわゆる鍋ぶた組織になりやすい組織構造なのです。
さらに今の先生方は、中間世代の先生が大変少なく、シニアの先生が多いという年齢構成の職場環境に置かれています。経験の浅い先生が「ちょっと、教えてくださいっ」と気軽に頼ることのできる環境でもないようです。
結果、自分で頑張るしかない。
多くの先生は、新人の時から担任を任せられることになります。
こういった組織背景を受けて「クラス運営ができる=(一人前)」という文化が強く、余裕のない労働環境の中、さらに先生は真面目な方が多いがゆえに、自己流で頑張って何とかしようとします。
でも、その頑張る方向が実社会の常識とは違っている場合もある・・そんな風に見えました。
人は誰でも、自分の経験で得たものは大切するため、仮に頑張る方向が誤っている場合でも、自身の学習経験が正当化されがちです。
しかし、このような環境でキャリアを積んだ先生は、結果的に効果的なマネジメントを学ばずに育つことになります。誤った人権感覚で、親御さんとの会話がかみ合わず関係がこじれた場合は、教育行政上、大きな問題に発展してしまうのです。
これからの政策
めざす教育を「より自分らしく生きる」に。教育大綱にウェルビーイングの概念を導入します。
ウェルビーイングとは、経済だけではなく「こころ」の充足を、生活への評価・感情・価値、健康まで含めてとらえる概念で、自分の生きる道だけではなく、家族や友人、自分の住む街・国が、どのようにすれば「良い状態」でいられるのかについて考え、行動できることです。
経済力を持つことで飢餓から救われる人は増えましたが、地球資源を食いつぶすリスクは高まっています。経済価値だけで人生の価値は測れないため、経済価値以外の充足と共に、周りをより良い状態にしていく方が持続的です。
つまり「自分自身が幸せな人生を送ること、周りもより良い状態にできる力を育む」ための教育にシフトしていく必要があります。
オンライン学習が可能となったN高、探索と探究・あそびと学びを大切にした軽井沢風越学園、最近話題となっている柏市に設立されるインターナショナルスクールなど、教育環境の選択肢の裾野が大きく広がってきています。 反面、選択肢が広がることにより、当事者である子どもや親御さんが〝教育現場に求めるもの〟を教育行政が把握することが非常に困難になっています。
この目的や問題が多様化する教育環境において、 昨年開校し、注目を集めるおおぐろの森中学校での取り組みなどを冷静に論理的に分析し、ウェルビーイングの概念をもって他の公教育(公立学校運営)に反映させることが急務です。
これを実現するためには、管理教育からの脱却は必須。よって以下を推進し、絵に描いた餅にしません。
どうする?①マネジメント機能の強化のため、管理職の役割を定義し、コーチング研修を導入します。
管理職の役割を定義
問題を改善するために、国は2007年以降管理職を補佐する中間管理職的な役割として「主幹教諭、指導教諭」を創設しましたが(学校教育法)、機能していません。主幹教諭のねらいは、学校に中間管理職を導入することにより、民間のようなピラミッド型組織にして、より効率的な学校運営ができるようにすることですが、マネジメントについて学ぶ機会がないまま管理職になっても力を発揮できないからです。マネジメントというのは天性で出来る先生もいるのですが、不連続な成長が必要と言われる会得が難しい実践スキルです。自分で学ぼうという先生以外は、会得は難しいでしょう。余裕のない労働環境では学ぶ意欲が無くなることも、事態を悪化させています。
教師に対するコーチング研修の実施を推進
対話型の授業を実現するため、教育現場にコーチング研修を導入します。
あらかじめ決められた答えを指導する〝ティーチング〟より、生徒から答えを引き出す〝コーチング〟。
コーチングスキルは対話型の学習を効率的に進めるための技術でもあります。子どもに問いを与えることで、先生がずっと指導しなくてもよくなるのでクラス運営の負荷が減るという、先生方にもメリットがあるスキルです。
優秀な先生はすでに実践されている方も多いのですが、コーチングスキルとして体系化し研修として実践することで、より多くの先生が会得できるよう環境を整えます。
どうする?②民間のプロフェッショナル人材を学校の先生に!
企業等での実務経験を有する人材が学校に参画することで、教育の担い手の多様化を推進します。教員免許を持っていなくても教員が出来る特別非常勤講師、特別免許状の仕組みを活用し、流山からもモデルケースを創ります。民間人材が学校に参画すれば、彼らが通常であれば普通に持っている効率運営のノウハウを、先生との人間関係を通じて学校に伝えることができます。民間人材の知恵と力を学校の力にできる環境を整えていきます。
どうする③?対話型学習を実践するためにGIGAスクールの環境を最大限活用します。
コロナ禍で整えてきたGIGAスクール環境を最大限活かし、どこにいても学べる環境を実現します。
これまでの授業は、黒板に板書しながら、先生が一方的に生徒に教えるというスタイルでした。しかしICTを使えば、事前に用意した教材で授業ができ、書く時間を減らすことができ、先生が児童生徒に目を配る余裕が生まれます。
また児童・生徒の1人1台の全パソコン画面を共有表示できることにより、児童・生徒同士の対話が瞬時に実現出来るなど、ICTを上手に利用できれば、対話の可能性が広がります。先生が工夫し、主体的にICTの活用が出来るようになります。
世界のどこからでも授業をすることが可能ですし、世界のどこからでも授業を受けることができるようになり、学校という枠を越えて授業を実現できる可能性があります。家庭と仕事を両立したい若い先生も増えているので、この環境を整えるとともに、より多くの子ども達に質の高い授業を届けることができます。
+αの情報提供
①活躍する民間人材から見た日本の教育課題(まちづくりの専門家 木下斉氏との対談)
先日、まちづくり専門家の木下斉氏と対談しました。地方の隅々までみている木下さんとの対談では、日本の教育における課題と理想が見えました。前半(10分)・後半(10分)です。ぜひご覧ください。
②良例(おおぐろの森中学校の取り組み)を、他の学校にも広げる活動。
昨年度開校した、おおぐろの森中学校では、昨年度までの議会からの指摘を全部実行するという挑戦的な取り組みをされています。この両例をより多くの関係者に知っていただくため、2022/10/24、2022/11/2、2023/1/23と議員の視察を重ねました。この両例を地元を持っている議員の方々にご理解を頂きながら、他の学校にも広げていきます。
③外部人材の活用に向けてのこれまでの政治活動
外部人材活用に向けては、令和4年(2022年)9月議会で提案しました。流山市教育委員会でも多様な教育を実現するためにも、またマネジメント上の課題に対応していくためにも必要である、という正式な答弁を頂きました。
これを受けて、幹を強くする千の葉の会の対話会(2022/12/19)で、流山市の見解を直接熊谷知事に情報共有することができました。
また(2023/2/11)に流山市生涯学習センターホールにて行われた【熊谷知事×いざき市長の対談】で流山市で提案してきた外部人材の登用について質問し両トップからご回答を頂きました。(58分48秒からです)。
こういった地道な政治活動も実施しています。
今後は、千葉県議会議員の方含め、あらゆるセクターの方にも情報共有をしていきます。日本の学校教育の構造的な問題を地方自治体から改善していく一人として私も貢献していきます。
皆様が関心を持てば政治は変わります。
近藤からのお願い
近藤みほが考える「政治活動」とは、私が掲げる「ありたい姿」の方針や基本姿勢や賛同いただける方を募り、一緒に「理想のまちづくり」を実現するための推進力を作っていくことです。
地盤・看板・鞄のない私が、活動を継続するためには皆様のお力が必要です。少しでもお力を貸しいただけるとありがたいです。
note経由でのご寄付も大歓迎です。
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【読み放題・見放題】近藤みほのせきらら活動報告
私は議員=タウンマネージャーでありたいという目標をもって以下のポリシーで活動していますが、日々様々な葛藤もあります。 <ポリシー> ①自…
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