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スクラムマスターとメタ認知

PHONE APPLI Advent Calendar 2023 9日目の記事です。
大遅刻してごめんなさい。翌日担当のKyon氏に心配されて気づきました。

要約

 メタ認知は認知についての認知という意味で、メタ認知的知識とメタ認知的活動に大別できる。これらはチームの学習促進のためのテクニックに、ファシリテーションやコーチングに、内省に活用ができる。

はじめに

 私が駆け出しスクラムマスターのとき先輩から「スクラムマスターはメタ認知が大事」と言われました。当時は「自分がどういう認知してるのか把握した上で他人とやりとりするんだぞって意味かな」ぐらいに考えていましたが、改めてメタ認知とは何か?を整理することで少し解像度が上がったのでここにまとめます。

メタ認知とは (辞典より)

 まずはメタ認知の意味を確認しましょう。有斐閣現代心理学辞典によるとメタ認知とは「認知についての認知、すなわち自らの行う認知活動を対象化して捉えること」を意味し、「メタ認知的知識」と「メタ認知的活動」に大別できます。それぞれ整理すると以下のようになります。

メタ認知的知識とメタ認知的活動

 メタ認知的活動について補足します。メタ認知的モニタリングとは認知状態をモニターすることです。認知についての感覚で、気づき・予想・点検が含まれます。メタ認知的コントロールとは認知状態をコントロールすることです。認知の目標設定や認知の計画・修正が含まれます。

スクラムマスターとメタ認知

 辞典の意味を一通り確認すると、日々様々な場面でメタ認知を活用することができそうです。例えば、人間の認知特性についての知識を踏まえた活動を行うことでチームで学習した内容の定着度を高める、課題についての知識を踏まえて事前にヒューマンエラーの危険性を下げる、コーチングやメンタリングの際に自身の認知に気づき調整することで適切な見立てや支援に繋げる、などが考えられます。
 あるいはもうすでに活用している人も多いでしょう。メタ認知的知識について、例えば「チームで新しく学習した内容が定着するように次は他の人に説明してみよう」とか「人の集中力は20分しか持たないらしいからモブプロの役割を20分ごとに交代しよう」とかいう言葉をチーム内で聞くこと、ありますよね。またメタ認知的活動について、例えば「私たちモヤモヤを抱えているからまずはこれを共有しようよ」という提案をしたり、プレゼン中に心のなかで「やばいやばい導入に時間を使いすぎたから次のパートで時間を調整しよう」と計画を練り直したりということ、ありますよね。
 上記を踏まえて「スクラムマスターはメタ認知が大事」というアドバイスを見直すと次のようになるかと思います。「人間の認知特性や課題方略についての知識を持っておけばチームの学習促進やより効果的な運営に役立てることができるのでキャッチアップし意識して使うべし。さらに自身の認知について気づき、コントロールすることが大事」。後者について、自身の認知について気づいてコントロールするというのはなかなか難しい、特に対人関係の場では人の話や場の情報処理と並行するためかなり難しいため、継続してトレーニングすることが必要そうです。

参考文献

子安増生・丹野義彦・箱田裕司 監修 2021年 「有斐閣 現代心理学辞典」有斐閣



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