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チャレンジしてみたから出会えた気持ち、プラハのピアニスト福田美穂コンサート@宇都宮大学を終えて

プラハのピアニスト福田美穂です。1月16日に、念願だった日本でのピアノソロコンサートができました。

会場は、宇都宮大学にある多目的ホール。

日本で自主企画でもなく、ソロコンサートができる日が来るなんて。私にとっては、ほとんど奇跡が起きたのと同じぐらいのことでした。

宇都宮出身でも宇都宮大学の卒業生でも何でもない、いわゆる、どこの馬の骨かわからない私にコンサートのお話をくれたのは、この大学で日本文化を教える松井貴子先生でした。

先生にお会いしたのは、2022年のこと。
チェコ人の友人が宇都宮大学の国際学部の学生さん達のためにオンライン講義を担当し、私も通訳でお手伝いした時でした。
その後、私もチェコに長く暮らし、多文化の中にいるということで、こちらで経験したことや音楽を通してみるチェコと日本の違いなどについてお話する形で、オンライン講義を担当しました。
それが、去年の11月のこと。

コンサートの話は、私の講義の少し前に、オンライン上で先生とお話している時に頂きました。

「12月中旬に、4年ぶりに日本に帰国するんです」と私が言うと、

先生は、

「じゃあ、美穂さんに大学でピアノ弾いてもらわなきゃ!」

と言ってくれたんです。

そして、今回のコンサートが実現しました。

このお話を頂いた時の私は、天にも昇るぐらい嬉しい気持ちでいっぱいになりました。

プラハのピアニストという名前でYouTubeをやっているけど、音楽院を卒業後のこちらでの活動は、ソロではなく、フルートとのデュオがメインだったんです。
なので、ひとりでバリバリ本番で弾くのは、考えてみれば、丸10年ぶりぐらいやれていなかったことになる。

デュオの活動も本当に楽しかったけど、同時にいつも、

”私はいつソロでコンサートができるんだろう”

という気持ちもありました。

小さい頃からずっと、ソロの演奏をメインにやってきたから、その発表の場がないと、何かが足りないという気持ちが拭えなかったんです。

でも、誰もが名を知るスターピアニストではない私にできることは限られていました。
noteやYouTubeでの過去の演奏音源の発信、自宅で演奏した曲を自分で録音してネット上で細々と投稿することなどなど。

自主企画でコンサートをするのは、私は直感的にNOと思っていたし、それじゃあ、この先ずーっとソロコンサートをすることはできないのでは?

そう思うと、自分が情けなくなりました。

こんな背景があったので、今回の宇都宮でのソロコンサートは、私にとって大きなチャレンジの場でもありました。

長いブランクの後のソロコンサート、ずっと願っていた日本での発表の場。

オファーを頂いた日からコンサート当日まで、長い準備期間はないし、本当にできるだろうか?

そんな不安もありましたが、私は、とにかくやりたいと思ったから、コンサートをすることに決めました。

ではさて、何を弾こう?

短すぎず、長すぎない曲で、今弾き曲をリストアップしよう!

ドゥシークのソナタは全部で10分ぐらい。難しくて、ストレスフリーではとても弾けないものの多いスメタナの大好きな曲達を再構築したい。アンコールは、あの曲だよね。

そして、いちばん最初に”森の中で”を弾いて、シンプルな単旋律を空間に広げて絵を描こう。

ソナタでガラッと雰囲気を変えて、そのまま”絶望”でシャウトして、”海辺にて”でクライマックスへ。

最後は、スーッと不死鳥が飛んで、幻想的に、静かに、終わるプログラム。

よし!できた!!

こんな風にプログラムを作った。
できあがってみたら、ひとつのストーリーな流れになって、我ながら気に入っています。笑

コンサート当日は、準備や撮影などを学生さんと、大学の職員さん達がお手伝いしてくださった。

東京から宇都宮に着くと、雪が降っていた。
会場を整えて、打ち合わせをして、と忙しく動いていると、ピアノリハーサルの時間があまりなかった。
短時間で、気分を出して弾いたけど、疲れのせいか、寒さのせいか、音が自由に飛んでいかない気がした。

それでも、それはそれ、本番は飛ぶ。
うなずいて、リハーサルを終えた。

開演まで、色んな思いが自分の内側に込み上げていた。
ほんの一瞬、ひとりで約45分間、弾いて喋ってとコンサートを完結することが

「できる気がしない」

という気持ちになった。でも瞬時に、

「できる気がしないとか言ってんじゃないよ!」

って気持ちが変わった。

大好きな岡本太郎の言葉

”芸術は無目的的な爆発”

それがしたいと思った。

余計なことは全部捨てて、舞台に立つ前には、やさしくて、嬉しくて、すがすがしい気持ちが胸いっぱいにやってきた。

本番で、こんなに曲に集中して、良いコンディションで、楽しく演奏できたことは今までで初めてです。

幸せをかみしめて、喜びも悲しみもおかしみも、全部出し切りました。
あっという間にプログラムを全部弾き切り、思ったのは、

「弾き足りない」

できるかなと不安だったコンサートですが、いざやってみたら、もっとソロが弾きたいと思えた。
それは、このコンサートをしなかったら出会えなかった気持ちです。

ああ、いくらでも弾ける、と思ったし、もっともっと弾きたいと思いました。

こう思えてよかったです。もっともっとこれからもソロで弾いて、皆さんに音楽を届けていきます。

プラハのピアニスト福田美穂コンサート、全編YouTubeにて公開中。
是非、ご視聴お願いします。

美穂


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Miho Fukuda
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