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色彩で光に勝つ——ロメール流儀

どこもかしこもイルミネーションだらけの冬。
観光地は競うようにして、木々やビルを余すことなくピカピカ光らせている。

……我々はイルミネーションの輝きに負けていて良いのか??

「わ〜綺麗〜😍」で済ませられるほど、私は大人ではありません。悔しいです。


眩く煌めくイルミネーションに勝ちたいなら、ジュエリーやラメで戦おうとしてはいけない。
「キラキラ部門」という名の同じ土俵で戦ったところで、電気を通した「キラキラ」に勝てるわけがない。

ここはロメール作品に学び、色彩で対抗しよう。



エリック・ロメール『満月の夜』

鮮やかな色は夏の専売特許だと思われがちだけど、寒々とした冬にこそ纏うべきだと教えてくれる映画が、エリック・ロメール監督の『満月の夜』。

まあ、ロメールは年中鮮やかですけどね

【ストーリー】
インテリア・デザイナーの美女ルイーズは、仕事一筋の男性レミとパリ郊外で同棲中。パーティー好きなルイーズと生真面目なレミは相容れない性格だが、縛られることを嫌うルイーズの自由気ままに対してレミは寛容に接しようとする。そんなある日、美しいゆえ常に誰かと交際し続けてきたルイーズは、孤独になりたくて新たに一人部屋を借りることに。ルイーズは妻帯者の親友オクターブと遊び歩き、やがて彼から関係を求められる。

https://www.thecinema.jp/program/04885


この作品では美術・衣装を主演のパスカル・オジェが担当しているが、しっかりとロメール作品だと分かる、印象的な色遣い。

ダークトーンのアウターに、主役級に目を惹くマフラーの組み合わせ。鮮やかな色は若々しく元気な印象を与えることが多いけど、組み合わせ次第では、都会的に洗練された大人の華やかカラーとなる好例。

一般的に、寒い冬には「重い香り」(=バニラやムスク系の甘い香り)や「重い色」(=明度の低い色)が主流となってくる。もちろん、それらも季節と調和していて素敵だ。

しかし調和するということは、場に溶け込むということであり、つまるところ“目立たなくなる”ということだ。

木々が褪色する冬にこそ、空気が澄んでイルミネーションがいっそう輝く冬にこそ、目の醒める原色で対抗していこう。


そんなわけでオレンジマフラー

なんとなく首が苦しく感じられるから、これまで“マフラーをつける”という行為は自分の選択肢に入ってこなかったけど、今年はイルミネーションに勝つべく購入。面構えが例年とは違うよ。

URBAN RESEARCHのマフラー。
noteに画像をアップロードするとなぜか彩度が落ちるけど、会社につけていくには派手すぎるかなと少し迷うレベルにビビッドなオレンジ。

普段ブラウンの服を着ることが多いので、相性の良いオレンジにした。

エレガンス代表のHERMESも、ブランドカラーはオレンジであるように、オレンジとはなんとも魅力的な色で、元気な印象も与える一方、取り入れ方によってはこれ以上ない上品な色にも見える。



これでイルミネーションに挑む準備は整った。
いざ出陣。



機会に応じてではあるにせよ、間違いな
く、色彩が主導権を握るのである。これらの
作品は、その全体的な雰囲気よりも、いくつ
かのディテール、いくつかの色のついた物に
よって、我々に忘れ難い印象を与える。たと
えば、『河』におけるハリエットの青い服、
あるいは『裏窓』における「ロンリー・ハー
ト」の緑色の服。この青、この緑が、表現を
支えているというだけでは十分ではない。そ
れらは一つの新たな理念をもたらし、定めら
れた瞬間に、それ自身の規則によって、「自
らに特有な」感動を我々のうちに生じさせる
のである。

エリック・ロメール『美の味わい』

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